妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio

文字の大きさ
41 / 47
最終章

家族会議


「家族会議をするわ!」

父上と母上が領地に帰る前日、仕事から帰ると母上が玄関に立っていた。

「家族会議…ですか?」
「旦那様とウィルは準備出来てるから、早く汗を流して応接室にいらっしゃい。」

それだけ言うと母上は去っていった。
急いで入浴だけ済ませ、応接室に向かうと父上と母上とウィルとクロエがいた。

「お仕事お疲れ様。それで今回家族会議をするに至ったのはハンナがセオが心配で領地に帰らないと言いだしたんだ。」
「だって、こんなにやつれて可哀想なんですもの!」
「まぁ…でも大分良くなった方なんですよ。前は部下の方たちに恐れられてましたので。」

元々、俺は公私を分けるタイプで、身内以外には一線引いた付き合いしかしていなかった。
友人という友人もいなくて、騎士団に入っても同期のアダムとしかまともに話してなかった。
それがエミリアが死んで半年ほどで魔物を倒して尽くして副団長にもなれば、恐怖の対象だろう。
その上、寝不足で目付きが悪い、顔色が悪い、態度が冷たい。
団員からはエミリアが亡くなって自暴自棄になっていると思われていた。

「ウィルがいながら、まったく…お兄ちゃんなんだから守ってあげないとだめでしょ?」
「セオが自分でルカを育てると言ったのですから、見守るのべきかと思ったので。」

ウィルは当たり前かのように家族会議に参加していて、母上に言い返している。
数年前まではこういう団欒の時間があって、俺はこの時間が好きだった。

「ウィルが言ってることは間違ってない。セオがやると言ったんだ。見守って困った時に助けてあげるのが兄の役目であり、親の役目だよ。」
「俺が悪いんです!早く副団長にならないと後妻を娶れと言われる可能性があったので--」
「そんなことを心配してたの?だったら相談ぐらいして欲しかったわ。ウィル、セオに縁組みの話が来ても潰してるのは貴方ね?」

ウィルがそんなことをしているなんて知らなかったし、母上と父上に睨まれたウィルはため息をついた。

「…祝福ギフトを使いました…。」
「そういう使い方をしなさいと言った覚えはない。」

子どもの頃に父上に怒られたことはあまりない。
喧嘩をして母上のお気に入りの花壇を少しだけ燃やしてしまった時に、こんな感じで怒っていた気がする。
父上の周りの魔力の圧が上がっている。

「イーライ、怒らないで。ウィルなりに守りたかったのよ。でも、そんな守り方はよくないわ。ウィルが婚約するだけですむ話でしょ?」
「なんでウィルの婚約が関係あるんですか?」
「ウィルがウィリアム・シェラードだからだよ。」

父上がなんでもないような顔で言った。
感想 3

あなたにおすすめの小説

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめる事にしました 〜once again〜

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【アゼリア亡き後、残された人々のその後の物語】 白血病で僅か20歳でこの世を去った前作のヒロイン、アゼリア。彼女を大切に思っていた人々のその後の物語 ※他サイトでも投稿中

聖女を怒らせたら・・・

朝山みどり
ファンタジー
ある国が聖樹を浄化して貰うために聖女を召喚した。仕事を終わらせれば帰れるならと聖女は浄化の旅に出た。浄化の旅は辛く、聖樹の浄化も大変だったが聖女は頑張った。聖女のそばでは王子も励ました。やがて二人はお互いに心惹かれるようになったが・・・

〈完結〉【書籍化&コミカライズ】悪妃は余暇を楽しむ

ごろごろみかん。
恋愛
「こちら、離縁届です。私と、離縁してくださいませ、陛下」 ある日、悪妃と名高いクレメンティーナが夫に渡したのは、離縁届だった。彼女はにっこりと笑って言う。 「先日、あなた方の真実の愛を拝見させていただきまして……有難いことに目が覚めましたわ。ですので、王妃、やめさせていただこうかと」 何せ、あれだけ見せつけてくれたのである。ショックついでに前世の記憶を取り戻して、千年の恋も瞬間冷凍された。 都合のいい女は本日で卒業。 今後は、余暇を楽しむとしましょう。 吹っ切れた悪妃は身辺整理を終えると早々に城を出て行ってしまった。

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】 私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。 2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます *「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています ※2023年8月 書籍化

ボロ雑巾な伯爵夫人、やっと『家族』を手に入れました。~旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます2~

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
 第二夫人に最愛の旦那様も息子も奪われ、挙句の果てに家から追い出された伯爵夫人・フィーリアは、なけなしの餞別だけを持って大雨の中を歩き続けていたところ、とある男の子たちに出会う。  言葉汚く直情的で、だけど決してフィーリアを無視したりはしない、ディーダ。  喋り方こそ柔らかいが、その実どこか冷めた毒舌家である、ノイン。    12、3歳ほどに見える彼らとひょんな事から共同生活を始めた彼女は、人々の優しさに触れて少しずつ自身の居場所を確立していく。 ==== ●本作は「ボロ雑巾な伯爵夫人、旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます。」からの続き作品です。  前作では、二人との出会い~同居を描いています。  順番に読んでくださる方は、目次下にリンクを張っておりますので、そちらからお入りください。  ※アプリで閲覧くださっている方は、タイトルで検索いただけますと表示されます。

悪役令嬢発溺愛幼女着

みおな
ファンタジー
「違います!わたくしは、フローラさんをいじめてなどいません!」  わたくしの声がホールに響いたけれど、誰もわたくしに手を差し伸べて下さることはなかった。  響いたのは、婚約者である王太子殿下の冷たい声。  わたくしに差し伸べられたのは、騎士団長のご子息がわたくしを強く床に押し付ける腕。  冷ややかな周囲のご令嬢ご令息の冷笑。  どうして。  誰もわたくしを信じてくれないまま、わたくしは冷たい牢の中で命を落とした。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。