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最終章
ウィル:俺の嫁
「…シエナ。これはなんだ。」
「私が作りました!飲んでくださいませんか…?味見は先程もしましたが、目の前でも飲みましょうか…?」
今日は初夜というのに、夫婦の寝室に行けば、強い酒精の匂いがした。
シエナの前に置かれたグラスに入った液体から発する匂いはシエナからも香っていた。
「君が酒を飲むなんて珍し、い」
シエナからグラスを渡され、1口飲んで強めの酒じゃなかったことに気づいた。
「飲んでくださらないのですか?…」
「これは…なんだ?」
「ウィル様はもう一口飲んでしまったら正解しちゃうと思うので返してください…!」
シエナは俺からグラスを奪おうと手を伸ばしてきた。
どうやら答える気はないらしい。
グラスに入っていた液体全てを飲み干してやった。
「ふふっ…飲みましたね…。精力剤です。」
「なっ!なんでそんなものを!」
「ちゃんと子作りしたかったからです!しないおつもりでしたでしょう?…」
セオに魔力量の近しい者同士の出産は母胎に負荷がかかると聞いていた。
だから俺は自分の子どもは諦めていたし、シエナも年齢的に諦めているだろうと思っていた。
「私の父は宮廷医師とも仲が良くて、出産時における母胎の負荷についても研究していました。そして、私も研究しました。その上で、出産は可能だと推測しています。お願いです…。私と子作りしてくださいませんか?…」
最後の方は顔が赤くなり、目も潤んで懇願しているようなシエナに負けてしまった。
いや、薬が回っていたのかもしれない。
シエナの薬は…二度と使わない。
3日間あった休みの内、2日もベッドにシエナを縛り付けてしまった。
---
「ウィルは獣だったんだなぁ…」
「私のせいではありません。妻が…。」
「惚気か…。」
「盛られました…。」
「えぇ…流石だなぁ…。」
---
あの手この手を使ってシエナは薬を盛ってきた。
初夜の時ほど強い薬はなかったけど、理性を飛ばされるには十分な効き目のあるもので、結婚して3ヶ月でシエナは妊娠した。
出産も俺を立ち会わせ、自分の胎内に術式を組み込んで、俺にも魔術を使わせて無事に女の子を出産した。
「私の推測は正しかったでしょう?…ウィル様と二人でならできると思ったんです。私…今とっても幸せです!」
生まれたての娘に授乳をしながら、満面の笑みで俺を見上げるシエナは、この世界の誰よりも美しかった。
「…俺も、俺もずっと…。シエナに出会ってからずっと幸せだ。ありがとう。」
声が震えて、涙ぐんだ情けない俺の手をシエナが握った。
俺の手を握って微笑んだと思ったら、ゆっくりと瞼を閉じた。
「…あの、私、魔力切れと体力切、れでして…ミ、アを…」
「は?…え、おい!ミアを抱えたまま寝るな!」
シエナがミアを抱えたまま、寝息をかきだしてしまった。
慌ててミアを取り上げてシエナを横にさせた。
初めての抱っこが慌ただしくて思わず笑ってしまった。
「ミア、お父さんだよ。約束するよ、何があっても2人を必ず守るって。」
小さな娘は大きく欠伸をして返事した。
「私が作りました!飲んでくださいませんか…?味見は先程もしましたが、目の前でも飲みましょうか…?」
今日は初夜というのに、夫婦の寝室に行けば、強い酒精の匂いがした。
シエナの前に置かれたグラスに入った液体から発する匂いはシエナからも香っていた。
「君が酒を飲むなんて珍し、い」
シエナからグラスを渡され、1口飲んで強めの酒じゃなかったことに気づいた。
「飲んでくださらないのですか?…」
「これは…なんだ?」
「ウィル様はもう一口飲んでしまったら正解しちゃうと思うので返してください…!」
シエナは俺からグラスを奪おうと手を伸ばしてきた。
どうやら答える気はないらしい。
グラスに入っていた液体全てを飲み干してやった。
「ふふっ…飲みましたね…。精力剤です。」
「なっ!なんでそんなものを!」
「ちゃんと子作りしたかったからです!しないおつもりでしたでしょう?…」
セオに魔力量の近しい者同士の出産は母胎に負荷がかかると聞いていた。
だから俺は自分の子どもは諦めていたし、シエナも年齢的に諦めているだろうと思っていた。
「私の父は宮廷医師とも仲が良くて、出産時における母胎の負荷についても研究していました。そして、私も研究しました。その上で、出産は可能だと推測しています。お願いです…。私と子作りしてくださいませんか?…」
最後の方は顔が赤くなり、目も潤んで懇願しているようなシエナに負けてしまった。
いや、薬が回っていたのかもしれない。
シエナの薬は…二度と使わない。
3日間あった休みの内、2日もベッドにシエナを縛り付けてしまった。
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「ウィルは獣だったんだなぁ…」
「私のせいではありません。妻が…。」
「惚気か…。」
「盛られました…。」
「えぇ…流石だなぁ…。」
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あの手この手を使ってシエナは薬を盛ってきた。
初夜の時ほど強い薬はなかったけど、理性を飛ばされるには十分な効き目のあるもので、結婚して3ヶ月でシエナは妊娠した。
出産も俺を立ち会わせ、自分の胎内に術式を組み込んで、俺にも魔術を使わせて無事に女の子を出産した。
「私の推測は正しかったでしょう?…ウィル様と二人でならできると思ったんです。私…今とっても幸せです!」
生まれたての娘に授乳をしながら、満面の笑みで俺を見上げるシエナは、この世界の誰よりも美しかった。
「…俺も、俺もずっと…。シエナに出会ってからずっと幸せだ。ありがとう。」
声が震えて、涙ぐんだ情けない俺の手をシエナが握った。
俺の手を握って微笑んだと思ったら、ゆっくりと瞼を閉じた。
「…あの、私、魔力切れと体力切、れでして…ミ、アを…」
「は?…え、おい!ミアを抱えたまま寝るな!」
シエナがミアを抱えたまま、寝息をかきだしてしまった。
慌ててミアを取り上げてシエナを横にさせた。
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小さな娘は大きく欠伸をして返事した。
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