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第十五話 手がかり
しおりを挟む○ガリテン・町中
石畳の往来を歩き回るカフィンとロクパンク。(矢印「聞き込み中」)
聞き込み。薄暗い地下の酒場。
賭場。保安官事務の内部の檻の前。
○情報屋の住処
《情報屋の住処》のテロップ。
薄暗い半地下の部屋。
雑多な物の山積みになった机に、かろうじて顔を出して座り、丸眼鏡を反射させる少年。
情報屋の少年「もう勝ったようなもんだよ。そもそもみんな、ここの存在を知らないんだから」
カフィン「これで、どれぐらい教えてくれる?」
と、金貨の山を差し出す。
情報屋の少年、金貨の真偽・質を確かめ、数を数えて、なにやら書き込むと、重そうに、ざらざらと袋に入れて、
情報屋の少年「なくなるまで聞き放題だけど、一生分は余裕で、ある」
ロクパンク「大モグラの集落の場所を教えてほしいんだが」
隠者に描いてもらった地図を出し、
ロクパンク「まず、これが合っているかどうか――」
情報屋の少年「(地図をちらりと見て)迫害や狩猟が目的ではないと、ここに手を置いて誓って」
なにか模様の描かれた紙を差し出す。
情報屋の少年「ちなみに嘘ついてたら、手が焼け焦げるから」
カフィンとロクパンク、紙の上に手を乗せて誓う。
どちらの手も無事。
情報屋の少年、満足そうにうなずいて、
情報屋の少年「さて、その地図は正しい。そして、その地図のも含め、集落と呼べるくらいの規模のものは、全部で三つある」
カフィンとロクパンク、見つめ合う。
「三つ?」「ちょっと希望が見えたかな」と笑う。
カフィン「滝壺の洞窟に住んでるジジイによると、《侵された地》になってるそうなんだけど」
情報屋の少年「《侵された地》になった集落は一つ。地図に描かれてるのがそれだね」
カフィン「昔々、寝相の悪い女の子が、寝てるあいだに行方不明になった集落なんだけど、それがどこかわかる?」
情報屋の少年「何年前の話?」
カフィン「えっと…………(指折り数えて)今何歳だ? ひい、ふう、みい、――十二、三年前かな」
情報屋の少年「十二、三年前の、大モグラの女の子の失踪事件――」
棚の引き出しを開け閉めし、年代別、ジャンル別の資料を漁る。
情報屋の少年「――あった。特定」
カフィンとロクパンク「(前のめりになって)それで!?」
情報屋の少年「(言いづらそうに)《侵された地》になった所だ」
○サトバクの実家(夜)
カフィンの部屋。机の上に、カフィンとロクパンク連名の置手紙。
サトバク、バルコニーから星空を見上げる。
タルニコ、執事のお爺さんと笑いながら話している。
○荒野
カフィンとロクパンクが歩いて行く。
背後には大型モンスターの死骸と、それに群がるモンスターたち。
○大モグラの集落(タルニコの故郷)
《大モグラの集落(タルニコの故郷)》のテロップ。
広大な平野に、その一帯だけこんもりとした森があるが、その木々は枯れきっている。
空間にうねうねと漂う禍々しいオーラと、枯れている森はほぼ一致している。
木々が枯れているため、スカスカになって森の中に建物の散在するのが見える。
ギリギリの所まで行って、口元を布切れで押さえているカフィン。
やがて中からロクパンクが駆け戻って来る。
カフィン「ゾンビは?」
ロクパンク「いたのいなかったの。そして全部、大モグラだった……」
カフィン「襲って来た?」
ロクパンク、破れた背中を見せる。
カフィン「(顔をしかめて)――それにしても、なんでゾンビの時だけダメージ食らうんだろうね。なんにも効かない『ロクパンク最強説』なのに」
ロクパンク「おそらく、先方が半分死者だからだろう。……それか、わしの気の持ちようだ」
カフィン「とりあえず、いったん帰ろう」
○サトバクの実家(夜)
カフィンの部屋。
カフィンとロクパンクが話している。
と、ノック。顔を覗かせるタルニコ。
ロクパンク「(立ち上がり)それじゃ、明日。タルニコもおやすみ」
タルニコ、ロクパンクに手を振ると、カフィンに這い寄り、小さな舌でカフィンの鼻先を舐める。
タルニコ「――おかえり」
カフィン「ただいま」
それから、タルニコの目を見つめる。
タルニコの瞳、光はまだ戻っていないものの、おだやかな色をたたえている。
カフィン「――おかえり」
眠るカフィン。
布団の上から抱きしめて添い寝するタルニコ。
○サトバクの実家(朝)
廊下。カフィンと手をつないで歩くタルニコ。
うつむいてすれ違おうとするサトバクに「おはよう!」とハグするタルニコ。
三人手をつなぎ(端からカフィン・タルニコ・サトバク)大広間へ向かって歩いて行く。
○情報屋の住処
薄暗い半地下の部屋。
雑然とした机の向こうから丸眼鏡を光らす情報屋の少年。
カフィンとロクパンクが向かい合って立っている。
情報屋の少年「――そういうことなら、ご隠居に聞くのがいいと思うね」
カフィン「ご隠居」
情報屋の少年「そう。滝壺の隠者とは比べようもない、立派な人だ。この人は、《侵された地》に入る方法をもう見つけてる」
カフィンとロクパンク「!」
情報屋の少年「(ゆっくりとうなずいて)そもそも《侵された地》は、モンスターの死骸の腐ったのから、おぞましい疫病を生む毒ガスが出るわけだね。糞なんかは最高の肥料になるくせに。このあたり、まだなにも解明できていないわけだが、そこを押さえるよりも、ご隠居は、実用だけを急いだ。それで、モンスターのミイラを精製した粉、遺灰を吸収剤に用いたガスマスク、糞から芽吹いた草を押し固めた噛み煙草、この三つが発明されたわけ」
N『三種の神器。粉を全身に塗り込み、ガスマスクを被り、噛み煙草から染み出る汁を飲み込み続けることで、長時間、《侵された地》の空気に耐えられる』
○サトバクの実家・中庭
噴水の前にカフィン、タルニコ、ロクパンク、サトバク。
カフィンとロクパンクが、これまでの収穫をかくかくしかじか。
話を聞くうち、座っているタルニコの目に、だんだん光が戻る。
立ち上がる。カフィンを見つめる。
カフィン、ほほ笑んでうなずく。
こちらもほほ笑みながら、静かに座っているサトバク。
○奇妙な荒野
荒れ果てた大地に、大型モンスターの糞や、懸賞金クラスの糞の、古いのが点在し、そこから大樹のような花や、塔のように固まった森が生えている。
その中の一つ、脳ミソに似た巨大ブロッコリーに、窓や扉や煙突がついている。
○ブロッコリーの中
ご隠居。意外に若々しい痩身の男性。
ご隠居「まだ、データが足りなくてね。使ってくれるのなら、貸すことにはなんの問題もない。ほんとならこっちが頼まねばならないことだ」
カフィンたち、頭を下げて三種の神器を借り受ける。
○木々の点在する草原(夜)
樹上の寝床。
向かい合って座るカフィン、タルニコ、サトバク。
壁の隙間から外をうかがうロクパンク。(矢印「見張り・交代制」)
タルニコ「――やっぱり、いきなり故郷は、行くのこわい。別のとこで試すほうが、あたしはラク」
そう言って、カフィンを見る。
カフィン、うなずく。
○荒野
(ロクパンク以外)粉を塗りたくり、噛み煙草を噛み、ガスマスクをかぶって、或る《侵された地》に入って行く一行。
○禍々しいオーラの充満する町
平気で進んで行く一行。
時々襲い来る人間のゾンビたち。
倒せないわけではないが、心理的に、攻撃できない。
(ロクパンクがやられて来た理由がわかる)
とりあえず、すっ転ばしすっ転ばししては進み、中央広場。
宝箱をあけて、平凡な武器だけ手に入れ、引き返す。
ゾンビの中には、子どもや老人もいる。
タルニコ、悲しげに見やる。
○ブロッコリーの中
ご隠居「ゾンビを戻す方法か――」
○情報屋の住処
情報屋の少年「ご隠居でダメなら、ごめんだけど……」
○サトバクの実家
中庭。タルニコが立っている。
サトバクとロクパンク、正面に体育座り。
カフィン、噴水の金魚に釣り糸を垂れている。
タルニコ「ゾンビを元に戻せる方法が見つかるまでは、いったん、まるまる保留にすることに、したいと思います」
サトバクとロクパンク、うなずく。
カフィン、釣り上げた金魚がポチャッと水に戻る。
カフィン「――ゆっくり探そうよ。ゾンビは不老長寿だしさ」
タルニコ、腰に手を当てて、不謹慎な発言にムッとするも、結局ほほ笑む。
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