Untold Quest

尼子猩庵

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第二十二話 賢いやり方

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○大モグラの集落(引き)

   広大な平野の中、こんもりとした森に《侵された地》特有のうねうねとした禍々しいオーラがかぶさり、木々は枯れて、スカスカになって中は丸見え。
   建物が点在するのが確認できる。
   《大モグラの集落(タルニコの故郷)》のテロップ。
   少し離れた丘の上から、カフィンたち一行とスパリグたち一行、這いつくばって見下ろしている。

○大モグラの集落(寄り)

   枯れ木の森の端っこに大さかずきが置かれており、今、大モグラのゾンビたちが整然と一列に並んでいる。
   一人ずつ、大さかずきに並々と注がれた《聖水》の前にひれ伏し、そっと口をつけ、少量飲む。
   それから立ち上がり、枯れ森の外へ向かって歩き出す。
   歩いて行くうち、一足ごとに、壊死していた皮膚に血色が戻り、露出していた骨に肉が巻き付き、傷跡に皮が張り、垂れこぼれていた目玉が引っ込み、抜け落ちていた体毛や歯や爪が生えそろってゆく。
   枯れ森の外には、すでに戻った大モグラたちが、胸元に手を組んで待っている。
   新たに出て来た仲間と、うれし涙のハグを交わしている。

○丘の上

   光り輝く瞳でじっと見つめているタルニコ。

○大モグラの家の中(タルニコの回想)
   
   タルニコの両親と思われる大モグラの夫婦。
   寝床でうごうごしている幼いタルニコ。

タルニコの母親「ほんとに。この子ぐらい寝相の悪い子ったらないわね」
タルニコの父親「おまけに、底なしの体力だもんな。そのうち、眠ったまま地の底まで行ってしまうよ」

○丘の上(現在)

   ぽろぽろと涙をこぼすタルニコの肩に、カフィンが腕を回している。

○枯れ森から遠く離れた花畑

   タルニコを両側から抱きしめ、むせび泣くタルニコの両親。
   (回想時より年老いている)
   後ろでは、大モグラたちから握手され、キスされ、ハグされるカフィンたち、スパリグたち。
   タルニコが両親にかくかくしかじか。
   カフィンを見る両親。
   駆け寄り、カフィンに両手で握手する父親。
   ハグし、頬にキスする母親。
   照れくさそうに後ろ頭を掻くカフィン。
   ニコニコ見ているタルニコ。

○木々の点在する草原(夜)

   遠く近く、枝のたわめられた木々。
   たくさんの焚火。

○大きめな樹上の寝床・内部

   タルニコの両親、タルニコ、カフィン、ロクパンク、サトバク、パチミト。

タルニコの母親「(自分の体をあちこち見回し)おお、臭いこと。まあ、しかたないわね。さすがに、完全には戻らないか」
タルニコの父親「みんな、腕や足の一本ぐらいは、切らねばならんかもしれんな。――ともあれ、ほかの集落へしばらく避難だ」
タルニコ「避難、受け入れてくれるかなァ」
タルニコの父親「(タルニコをなでて)なァに。どこも、誰かしらの親戚やきょうだいが、少なからずいるし、なにより大モグラの団結は固い」

○木々の点在する草原(朝)

   なにもない空間に、スパリグと現れるタルニコの父親。
   どこかから《空間移動》で帰って来た様子。
   母親と寄り添って待っていたタルニコが見つめると、父親、大きな指でまるを作る。
   その奥では、別の大モグラが、スパリグの仲間と《空間移動》で現れる。
   そちらも指でまる。

○近くの川辺

スパリグ「さすがに全員を《空間移動》で送るのはキツいな」
カフィン「足腰の弱いのだけなら?」
スパリグ「それなら、二、三日もあれば」
カフィン「じゃあそれで頼むよ。あとは徒歩で、大モグラの大移動だ」
スパリグ「そっちの護衛にはまったく手を貸せんけど」
カフィン「もう十分過ぎるほど、三回生まれ変わっても返せんほどだよ」
スパリグ「――まあ、わりと楽しかったからな。この一生だけでカンベンしてやらァ」

○見果てない荒野、草原、湿原、岩場、砂漠、等々(夜明け)(星空)(雨)(日照り)(雪)(強風)等々

   大モグラの大移動。
   前後左右、カフィン、タルニコ、ロクパンク、サトバク、パチミト、護衛している。
   大モグラの群れを、モンスターたちは虎視眈々と狙っている。
   木々の陰から、小型のモンスターが。
   岩の陰から、中型のモンスターが。
   水や雲の中から、奇形のモンスターが。
   大樹の陰から、大型のモンスターが。
   山の陰から、懸賞金クラスのモンスターが。
   しかし、カフィンたちの血走ったメンチや、じっさい武器に手をかけて噴出する、燃え盛るようなオーラに、みんなタジタジとして手を出せず。

○別の大モグラの集落

   広やかな大地、点在する森林の中に特別こんもりとした森。
   《大モグラの集落》のテロップ。
   (寄り)カフィンたち一行と向かい合う、タルニコの両親。

タルニコの母親「ちょっとバタバタするし、タルニコ、手伝ってくれるかい?」
タルニコ「もちろん」
タルニコの父親「(カフィンを見て)それでは、娘をお借りします」

   タルニコ、両親と一緒に、ウキウキと行ってしまう。
   見送るカフィンたち。


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