22 / 26
第二十二話 賢いやり方
しおりを挟む○大モグラの集落(引き)
広大な平野の中、こんもりとした森に《侵された地》特有のうねうねとした禍々しいオーラがかぶさり、木々は枯れて、スカスカになって中は丸見え。
建物が点在するのが確認できる。
《大モグラの集落(タルニコの故郷)》のテロップ。
少し離れた丘の上から、カフィンたち一行とスパリグたち一行、這いつくばって見下ろしている。
○大モグラの集落(寄り)
枯れ木の森の端っこに大さかずきが置かれており、今、大モグラのゾンビたちが整然と一列に並んでいる。
一人ずつ、大さかずきに並々と注がれた《聖水》の前にひれ伏し、そっと口をつけ、少量飲む。
それから立ち上がり、枯れ森の外へ向かって歩き出す。
歩いて行くうち、一足ごとに、壊死していた皮膚に血色が戻り、露出していた骨に肉が巻き付き、傷跡に皮が張り、垂れこぼれていた目玉が引っ込み、抜け落ちていた体毛や歯や爪が生えそろってゆく。
枯れ森の外には、すでに戻った大モグラたちが、胸元に手を組んで待っている。
新たに出て来た仲間と、うれし涙のハグを交わしている。
○丘の上
光り輝く瞳でじっと見つめているタルニコ。
○大モグラの家の中(タルニコの回想)
タルニコの両親と思われる大モグラの夫婦。
寝床でうごうごしている幼いタルニコ。
タルニコの母親「ほんとに。この子ぐらい寝相の悪い子ったらないわね」
タルニコの父親「おまけに、底なしの体力だもんな。そのうち、眠ったまま地の底まで行ってしまうよ」
○丘の上(現在)
ぽろぽろと涙をこぼすタルニコの肩に、カフィンが腕を回している。
○枯れ森から遠く離れた花畑
タルニコを両側から抱きしめ、むせび泣くタルニコの両親。
(回想時より年老いている)
後ろでは、大モグラたちから握手され、キスされ、ハグされるカフィンたち、スパリグたち。
タルニコが両親にかくかくしかじか。
カフィンを見る両親。
駆け寄り、カフィンに両手で握手する父親。
ハグし、頬にキスする母親。
照れくさそうに後ろ頭を掻くカフィン。
ニコニコ見ているタルニコ。
○木々の点在する草原(夜)
遠く近く、枝のたわめられた木々。
たくさんの焚火。
○大きめな樹上の寝床・内部
タルニコの両親、タルニコ、カフィン、ロクパンク、サトバク、パチミト。
タルニコの母親「(自分の体をあちこち見回し)おお、臭いこと。まあ、しかたないわね。さすがに、完全には戻らないか」
タルニコの父親「みんな、腕や足の一本ぐらいは、切らねばならんかもしれんな。――ともあれ、ほかの集落へしばらく避難だ」
タルニコ「避難、受け入れてくれるかなァ」
タルニコの父親「(タルニコをなでて)なァに。どこも、誰かしらの親戚やきょうだいが、少なからずいるし、なにより大モグラの団結は固い」
○木々の点在する草原(朝)
なにもない空間に、スパリグと現れるタルニコの父親。
どこかから《空間移動》で帰って来た様子。
母親と寄り添って待っていたタルニコが見つめると、父親、大きな指でまるを作る。
その奥では、別の大モグラが、スパリグの仲間と《空間移動》で現れる。
そちらも指でまる。
○近くの川辺
スパリグ「さすがに全員を《空間移動》で送るのはキツいな」
カフィン「足腰の弱いのだけなら?」
スパリグ「それなら、二、三日もあれば」
カフィン「じゃあそれで頼むよ。あとは徒歩で、大モグラの大移動だ」
スパリグ「そっちの護衛にはまったく手を貸せんけど」
カフィン「もう十分過ぎるほど、三回生まれ変わっても返せんほどだよ」
スパリグ「――まあ、わりと楽しかったからな。この一生だけでカンベンしてやらァ」
○見果てない荒野、草原、湿原、岩場、砂漠、等々(夜明け)(星空)(雨)(日照り)(雪)(強風)等々
大モグラの大移動。
前後左右、カフィン、タルニコ、ロクパンク、サトバク、パチミト、護衛している。
大モグラの群れを、モンスターたちは虎視眈々と狙っている。
木々の陰から、小型のモンスターが。
岩の陰から、中型のモンスターが。
水や雲の中から、奇形のモンスターが。
大樹の陰から、大型のモンスターが。
山の陰から、懸賞金クラスのモンスターが。
しかし、カフィンたちの血走ったメンチや、じっさい武器に手をかけて噴出する、燃え盛るようなオーラに、みんなタジタジとして手を出せず。
○別の大モグラの集落
広やかな大地、点在する森林の中に特別こんもりとした森。
《大モグラの集落》のテロップ。
(寄り)カフィンたち一行と向かい合う、タルニコの両親。
タルニコの母親「ちょっとバタバタするし、タルニコ、手伝ってくれるかい?」
タルニコ「もちろん」
タルニコの父親「(カフィンを見て)それでは、娘をお借りします」
タルニコ、両親と一緒に、ウキウキと行ってしまう。
見送るカフィンたち。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
看病しに行ったら、当主の“眠り”になってしまった
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全36話⭐︎
倒れた当主を看病する役目を振られた使用人リィナは、彼の部屋へ通うことになる。
栄養、灯り、静かな時間、話し相手――“眠れる夜”を整えていく。そして、回復していく当主アレクシス。けれど彼は、ある夜そっと手を握り返し、低い声で囁く。
「責任、取って?」
噂が燃える屋敷で、ふたりが守るのは“枠(ルール)”。
手だけ、時間だけ、理由にしない――鍵はリィナが握ったまま。
けれど、守ろうとするほど情は育ち、合図の灯りはいつしか「帰る」ではなく「眠る」へ変わっていく。
看病から始まった優しい夜は、静かな執着に捕まっていく。
それでも、捕獲の鍵は彼ではなく――彼女の手にある。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる