DTガール!

Kasyta

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がっこうにいこう!

103話「モフモフと合成」

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 やっとの思いで辿り着いた30階。
 10階、20階と様相は変わらず、店も沢山並んでいる。
 目立つ位置に二枚の紙切れが落ちていた。
 一枚は賞状と、もう一枚は――

「学校の・・・・・・権利書?」

 権利書を貼り付けた扉から、あの学校へ行けるようになるらしい。
 青い顔で皆が拒否したため、その権利書は自動的に俺の物となった。
 そんなに怖かったのか・・・・・・。

 まぁ、幽霊の出る事故物件だとしても、悪くない報酬だ。
 あの規模の土地と建物が丸々手に入るのだし。

 ともあれ、時間はそろそろ飯時。
 長い長い議論の時間が幕を開けるのだった。

*****

 ザーッと宿の浴室内にシャワーの水音が響く。
 温度がぬるくなったのを確認し、目の前にある頭から泡の塊をすすいでやる。

「わぷっ! 目に入ったにゃ!」
「ちゃんと閉じてないからだよ・・・・・・・・・・・・はい、終わり。」

 シャワーを止めると、ふるふるとサーニャが頭を振って雫を飛ばす。

「うわっ・・・・・・! すぐ乾かすんだから大人しくしてよ、もう。」
「だってにゃー・・・・・・。」

 濡れてキラキラと光るサーニャの純白の髪が褐色の肌に貼り付き、中々に艶っぽい。

「早くするにゃー、あるー!」

 背を逸らせるようにして、後ろにいる俺に頭をこすりつけてくる。

「あはは、ちょっと・・・・・・くすぐったいって!」

 ぺしん、とサーニャの後頭部にデコピンを食らわせ、同時に魔法をかけた。
 濡れていた髪はふわりと軽さを取り戻し、サラサラとサーニャの背を滑る。

「終わったよ。上がったらちゃんと服を着てね。冷蔵庫にミルクが入ってるから、飲んじゃって良いよ。」
「あの冷たい箱にゃ? やったにゃー!」

 ドタドタと浴室を飛び出して行ったサーニャ。・・・・・・ありゃ絶対服着てないな。

「まぁ、あとで良いか・・・・・・俺は少しゆっくりしよう。」

 シャワーの温度を少し上げ、頭から被る。
 雫が頭を打ち、頬を撫で、身体を伝い、疲れを流し去っていく。

「ふぅ~~・・・・・・、今回も疲れたなぁ。って言っても、まだボスが残ってるか・・・・・・。」

 今までの相手はアイテムの力で何とかなったが、今回も上手くいくとは限らないのだ。
 楽に終わればいいんだけどね・・・・・・。
 まぁ、それはそれでヒノカ達が文句を言いそうだが。

 シャワー止め、半分ほどお湯を張った浴槽にダイブ。
 大きな浴槽ではないが、俺のサイズなら十分くつろげるスペースだ。

「ま、夏休みはまだ残ってるし、しばらくはここで滞在かな・・・・・・。」

 拾った武器やらの合成も一日あれば終わるだろうし、その後はゆっくり出来そうだ。
 風呂を堪能し終わった俺は、魔力で体を乾かしてから洗面所へ出て、着替え用に置いておいた籠の中を確認する。

「・・・・・・やっぱり着てない。」

 サーニャの浴衣を持って洗面所を出たが、当人は既に二段ベッドの上で裸のまま丸まって、グースカと眠っていた。

「しょうがないな、もう。」

 そっと布団を掛けてやる。
 その内蹴って退かしてしまうそうだけど。

「今日はもうやることないし、私もさっさと寝ようかな。」

 明かりを消し、下側のベッドに身体を預ける。
 この分ならすぐ眠れそうだ。
 目を閉じてまどろんでいると、静かな部屋にギシギシとベッドが軋む音が響き、ストッと何かが床に降り立った。

「ん・・・・・・? サーニャ?」

 サーニャが起き出して二段ベッドの上から飛び降りたらしい。
 サーニャは寝ぼけ眼をこすりながら、俺の隣で体を丸めた。

「・・・・・・どしたの?」
「こっちの方があったかいにゃ。」

「・・・・・・そか。」

 頭を撫でてやると、ゴロゴロと身体を擦りつけてくる。
 ついでにパタパタと振っている尻尾の方も撫でてやる。

「んにゃぅ・・・・・・。もうちょっとゆっくり触ってほしいにゃ・・・・・・。」
「ん、分かったよ。」

 このあと滅茶苦茶モフモフした。

*****

 合成器の中に迷宮で拾った良く分からないアイテムを適当に投げ入れて、鑑定していく。

「お、今のに何か能力が付いてる。・・・・・・てか、今の武器だったのか。」

 合成器のモニタに映し出された能力名は【かまいたち】。

「ほう、どういうものなのだ?」
「んーと・・・・・・振ると斬撃が飛ぶ、みたいな事が書いてあるね。試してみようか。」

「おお、是非試してみよう!」

 合成器に入れた、見た目はただの草刈り鎌を取り出す。
 土で案山子を作り、皆を下がらせてからその鎌を軽く案山子に向かって振ってみた。

「・・・・・・何も起こらないぞ?」
「いや~・・・・・・一応起こってはいたけど、ヒノカが期待するようなものじゃないみたい。」

「そうか・・・・・・。」

 鎌を振った瞬間、切っ先から微弱な魔力の塊が飛び出し、案山子をすり抜けていった。
 あれはおそらく、”斬撃”というより”攻撃判定”。
 迷宮のモンスターに当たればダメージが与えられる、という能力だろう。
 5メートル程で消えてしまうようだが、ノーリスクでそれだけ間合いが伸びると考えれば相当強い筈だ。
 ヒノカ達には必要なさそうだし、ラビの護りがまた硬くなると思えば良い。

 他にめぼしい物はなかったため、そのまま武器は全てラビの短剣の強化に充てることに。
 結果、ラビのナイフは攻撃力が少々強化され、【かまいたち】の能力が付与された。

「それじゃあ、お次はコレかな。」

 言いながら鞄の中から腕輪を取り出す。

「そ、それ・・・・・・バザーで買った腕輪?」
「そ。買ったというか、買わされたというか・・・・・・だけど。」

 ポイッと合成器へ腕輪を投げ入れると、モニタに情報が表示される。

「能力名【ペタ】・・・・・・? 説明は・・・・・・”希少価値を生み出す”?」

 映し出された情報からも効果は検討が付かず、結局何も分からずじまい。
 触ったものを金にでも変えてくれるんなら嬉しいんだがな。

「とりあえず、着けてみるよ。」
「大丈夫なの?」

「これを売ってた人も着けてたけど、何もなかったし、多分大丈夫。」

 迷宮内でしか発動しない、という可能性もあるが。
 意を決して腕輪をはめてみる。

「・・・・・・・・・・・・うーん、特に何も感じない、かな。」

 鞄の中の傷薬を腕輪を付けた手で合成器に入れてみるも、特に何か付与された様子もない。

「ふむ、では私も着けてみよう。」

 今度はヒノカが腕輪を装着してみる。

「確かに、何も・・・・・・うおっ!?」

 いきなりヒノカが素っ頓狂な声を上げた。

「ど、どうしたの!?」
「あぁ、いや・・・・・・すまんな。さらしが落ちてしまっただけだ。」

「ちょ、ちょっとヒノカ! 貴女・・・・・・胸、胸!」
「む? ・・・・・・心なしか、縮んだような。」

「”ような”じゃなくて小さくなってるわよ、それ!」

 リーフが当人よりも驚いてるな。

「あぁー、なるほど。ぺったんこの【ペタ】ね。腕輪を外したら戻るんじゃない?」
「・・・・・・おぉ、本当だ。戻ったぞ。」

 Aぐらいになっていたヒノカの胸は、腕輪を外した途端にC手前くらいまでに戻った。
 そりゃ胸のない俺やおっさんが着けたところで変化する筈ないわな。
 使い道としては・・・・・・団の娼婦たちにオプションとして使わせるくらいか。需要があるかは謎だが。
 ・・・・・・いや、きっとあるだろう。なにせ”希少価値”だし。
 人によっては値千金の価値となるだろう。多分。

「しかし便利だな。私に譲ってくれないか?」
「それは構わないんだけど・・・・・・ずっと着けるつもりなら止めておいた方がいいと思うよ?」

「む、そうなのか?」
「身体にどういう影響があるか分からないしね。身体の形を変えちゃうわけだから。」

 ましてやヒノカもまだ成長途中。
 そんな時期にこんな道具を使っているのは良くないだろう。
 唯でさえこの迷宮には碌なアイテムがないのだし。

「ふむ・・・・・・確かにそうか・・・・・・。」
「戦う時だけ着けるにしても、逆に普段動き慣れてる身体の方が良いんじゃない?」

「それもそうだな・・・・・・。やはり道具に頼るのは良くないか。」
「そういう極端な話ではないんだけどね・・・・・・。」

「ね、ねぇアリス・・・・・・他にも腕輪は無いのかしら? ・・・・・・例えば、その・・・・・・それと逆の効果の物とか。」

 胸が大きくなる腕輪か。
 需要としてはそちらが大きいのかもしれないが・・・・・・。

「えーっと・・・・・・、私はそのままのリーフが一番可愛いと思うよ。」
「ば・・・・・・ばかっ!」

 どの階級だろうと自然体が一番だと思うよ、俺は。うん。
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