DTガール!

Kasyta

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がっこうにいこう!

152話「噂の場所」

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「ただいまー。」

 寮の部屋へ帰ると、皆の視線が一斉にこちらへ向いた。

「ア、アリスぅ~・・・・・・!」
「わっ・・・・・・長い間空けててゴメンね。」

 抱き着いてきたフラムの頭を撫でながら部屋の扉を閉める。

「お帰りなさい・・・・・・って、どうしたのよ、その瞳は!?」

 リーフの驚く声に釣られて、他の皆もわらわらと集まってきた。
 代わる代わる眼を覗き込まれ、圧倒される。

「えーっと・・・・・・”塔”に所属した証みたいなものかな。痛みがあったりする訳じゃないから、問題は無いよ。」
「ほ、本当に・・・・・・だ、大丈夫?」

 瞳を潤ませたフラムと視線が絡む。

「へ、平気だって。もし痛かったりしたら、その辺でのたうち回ってるよ。」
「なら、いいのだけれど・・・・・・そ、それで、”塔”はどんな所だったのかしら?」

 リーフが食い気味に迫ってくる。

「確かに気になるな。私もそういうモノがあるという噂しか知らない。」
「ボクも聞きたい!」

「美味しいものあったにゃ!?」
「・・・・・・あるの?」

 学院で手に入る”塔”の情報は、「成績優秀者だけが招待される秘密の場所がある」といった程度の噂か都市伝説みたいなものである。
 そんな所に仲間が行ってきたと言うのだから、気になるのも仕方ないだろう。

「え、ええっと・・・・・・そうだねぇ・・・・・・大きさは校舎を縦に幾つも積み重ねたくらいかな。」
「そんなに!?」

「その部分が居住区で、地下に研究施設があったよ。」
「そ、想像もつかないわね・・・・・・。」

「食べ物は口に合うか分からないけど・・・・・・コレ、お土産ね。」

 そう言いながら鞄に詰めていたカップ麺を取り出し、サーニャに手渡した。

「コレ・・・・・・何にゃ?」

 サーニャが容器をグルグルと回しながら観察する。
 その度に中からカサカサカラカラと乾いた音が鳴った。

「その容器にお湯を入れて少し待てば食べられるようになる、保存食とか携帯食の一種・・・・・・かな。」
「ふーん・・・・・・食べていいにゃ!?」

「えっ・・・・・・もうお昼過ぎてるけど、食べてないの?」
「食べたけど、おなかへったにゃ!」

「えぇー・・・・・・ま、まぁサーニャなら晩ご飯が食べられなくなるって事は無いか・・・・・・。」
「・・・・・・わたしのは?」

 ジロリとフィーが睨んでくる。

「ちゃ、ちゃんとみんなの分あるから・・・・・・。食べる人は?」

 サーニャ、フィー、ヒノカ、ニーナの四人が手を上げる。
 まぁ・・・・・・予想通りか。

「よく食べられるわね、貴女たち・・・・・・私は遠慮しておくわ。」
「ゎ、私も・・・・・・。」

「じゃ、四人分ね。」

 魔法でお湯を作り、それぞれの容器へ注いでいく。

「もういいにゃ!?」
「早いよ!」

「・・・・・・もういい?」
「だから早いって!」

 埒が明きそうにない。
 だが俺だって何も用意してない訳では無い。この子たちとは短い付き合いではないのだ。
 俺は鞄の底からラーメンタイマーを取り出してセットし、テーブルに置いた。
 塔の自室から拝借しておいて正解だったな。

「何これ何これ?」

 ニーナが興味深そうにタイマーを拾い上げる。

「短い時間を計る為の魔道具だよ。そいつの音が鳴れば食べ頃だから、それまで我慢してね。」
「うう~っ、まだにゃ~っ!?」

 少し騒がしいけど、やっぱりこっちの方が落ち着くな。

「ぁ、あのっ・・・・・・アリス!」
「どうしたの? フラムも食べたくなった?」

「う、ううん・・・・・・ぁ、あのね・・・・・・今日、か、可愛いね・・・・・・髪。」
「へっ・・・・・・・・・・・・? そ、そそそ・・・・・・そう、かな?」

「うん・・・・・・に、似合ってる・・・・・・よ。」

 ヤバい・・・・・・自分でも分かるくらいに頬と耳が熱い。

「ふふっ、何照れてるのよ。」
「い、いやだって・・・・・・あんまりそんなの言われたこと無いし・・・・・・そ、その・・・・・・ありがとう、フラム。」

「瞳の方に気が行ってしまっていたけれど、随分さっぱりしたのね。」
「もう必要なくなったからね。こっちへ戻って来る前に”塔”で切ってもらったんだよ。」

「・・・・・・”塔”ではそんな事もやっているの?」
「研究内容は多岐に渡るんだってさ。」

 要するに、それぞれが好き勝手にやりたい事をやっている訳である。
 嵩じて街に店を構える者もいるようだ。

 俺のヘアメイクをしてくれたのは”塔”に引き篭もっている自称カリスマ美幼師。
 フラムたちの反応を見る限り、腕は確からしい。
 髪型はいつもと変わらないツインテに”ゆるふわ”なカールが付いた程度で、俺としてはそんなに違いを感じないのだが。

「へぇ・・・・・・他にはどんな事をしているの?」
「一番多いのが魔道具の研究。この学院・・・・・・いや、この街にある魔道具の殆どは”塔”で研究開発されたものじゃないかな。」

「他の場所では見かけない物ばかりだものね、そう言われると納得だわ。・・・・・・・・・・・・はぁ。」
「どうしたの、溜息なんか吐いて。」

「いえ・・・・・・私なんかじゃ到底叶わないなと思って。」
「あぁ・・・・・・いや、”塔”は噂で言われてるような場所じゃないから、そんなに落胆する必要は無いよ。」

「どういう意味?」
「詳しくは言えないけど、”塔”に所属するにはある生まれつきの性質が必要で、それが無ければどんなに優秀な人でもダメなんだよ。逆に言えば、その性質さえあれば学院の成績なんか関係無く所属出来る。要するに、その性質を持つ人が集まる為の場所ってだけで、研究施設云々はオマケなんだよ。」

 ”性質”というのは、言うまでもなく”転生者である”ということだ。
 転生者なら成績もそこまで悪くなる事は無いから、噂で流れているような話になったのだろう。

「私に・・・・・・それは無いの?」
「うん。あれば入学の時に学院長に呼ばれているだろうしね。」

「そう・・・・・・なのね。・・・・・・ねぇ、生まれつきじゃなくても、その性質が備わることはあるのかしら?」
「んー、多分無いと思うよ。」

 仮にそんな事が起こってしまえば、今のリーフでは居られなくなる可能性が高い。
 流石に神サマもそこまではしないだろう。

「そっか・・・・・・。」

 うぅ・・・・・・随分落ち込んでるな。
 噂の”塔”が存在と同時に、自分が行けない事も知ってしまった訳だしな・・・・・・。
 リーフは努力して良い成績を収めているし、尚更だろう。
 ・・・・・・かける言葉が見つからない。

 ――ジリリリリリリ!!
 セットしていたラーメンタイマーが鳴り響く。

「な、何にゃ!?」
「あぁ、もう食べられるよ。熱いから火傷しないように気を付けてね。」

 皆がペリペリと蓋を剥がすと、部屋の中にモワッとスープの香りが広がる。
 微妙な時間にこんな匂いを嗅いだら俺も食いたくなってくるじゃないか・・・・・・。
 ふぅふぅと冷ましながら皆が麺を啜る中、フィーがフォークを持ったまま固まっている。

「お姉ちゃん、食べないの?」

 カップ麺には手を付けず、リーフの袖を引くフィー。

「・・・・・・リーフお姉ちゃん、一緒に食べよう?」
「フィー・・・・・・。ふふっ・・・・・・えぇ、頂くわ。」

 流石うちの姉ちゃん。
 ・・・・・・なんか安心したら本格的に腹が減ってきた気がする。

「ねぇ、フラム。私たちも一緒に食べようか?」
「う、うん!」
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