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17 さて、城へ。
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「という訳で城に行かなきゃならないんだ。」
琅が少しだけ申し訳なさそうな顔でそう言った。
紫沫にしてみれば特に異論などあるはずもないのに、どうしてそんな顔をするのか疑問だったが。
「疲れてるだろうに悪いな。あいつらが城にいる内に済ませておきたくてな。」
「それはいいけど・・・。選定士の人たちって城にずっとはいないの?」
「うーん、あいつら変わってるからな。一応所属は城勤めになるんだけど割と自由な奴らでな。年寄り連中は城にいる事が多いが若いやつらはなぁ・・・。」
「琅はえっと、治安部隊の隊長さんなんでしょ。初めて知ったけど。」
「あれ、言ってなかったか?」
琅は今度は困ったように耳元を描いた。
ピクピクと動くケモ耳の動きを目で追いながら紫沫はちょっとだけ不機嫌な声で答えた。
「聞いてないって。まぁ、言われても分からなかったかも知れないけどさぁ。」
「ははっそうか。治安部隊ってのはまぁこの平たく言えばこの国を守る用心棒みたいなもんだ。悪い奴がいないか見張って街の住人を守るってのが仕事だ。第二っていうのはそのまんま順番を表わしていて第一と第二は王都と王都周辺。そして東西南北を守る第三から第六までの治安部隊がいる。」
「ふえぇ。って事は琅ってもしかして偉い人だったりするの?」
「偉いって訳じゃないさ。まぁその辺の獣人よりは強いと思うけどな。」
旅慣れた様子からもっと風来坊みたいに様々な土地を渡り歩いているイメージだった琅の職業が割と堅いものだった事に紫沫は驚いた。
「隊長なんて名ばかりさ。俺の所は下のやつらが有能なのが多くてな。まぁだからこそ俺がここを離れて壁の間近まで行くなんて事が出来るんだけどな。」
セスがその琅の話を聞いて口を挟む。どうやらこっちはとても怒っているらしい。
「隊長が勝手に行ってしまったんでしょう!少なくとも私はテスからそう聞いてますけどっ。」
「そう怒るなって。」
「これが怒らずにいられますかっ。お陰でテスはこのところずーーーっと帰ってこないんですよっ。家に帰る暇があるなら仕事して少しでも消化したいって。信じられますかっ。私たち結婚したばかりなのにっ。」
セスの言葉に驚く。そうか、だからセスはずっと機嫌が悪かったのか。
てっきり琅に好意があるから自分の事を気に入らないのだと思っていたのに、実際は琅のせいで伴侶が帰ってこない事に怒っているのだと分かる。
「やっと帰ってきたと思ったら、そんなちんちくりんの訳分からない子どもを連れて帰ってくるし。”迷い人”ってのがあなたらしいですけど、それでも私の大切なテスが身体を壊したらどうしてくれるんです!!」
積りに積もっていた文句なのか。セスの口から後から後から溢れてくる言葉たち。
まぁ確かに長く王都を開けていた琅のせいなのだからしょうがないのだろうけれど、余りの勢いに琅は紫沫を引き寄せてじりじりと後退していく。
「やっ、わっ、悪かった。そう、悪かったよっ。テ、テスにはちゃんと埋め合わせするからっ。」
「本当ですねっ。口だけって事ないですよねっ。」
じりじりと琅が下がれば下がっただけセスが前に進んでくる。
冷や汗がじっとりと浮かんできて琅は紫沫の腕を掴んで踵を返した。
「分かってるよっ。じゃ、またな。」
「ああっ!まだ話ている途中です!!」
「隊長、また来てくださいよ~。」
逃げられた!という悔しそうな顔のセスと笑顔で手を振るジャックに慌てて頭を下げて紫沫は登録所を後にした。
走るように建物を後にしながら、琅の焦った顔に笑いが抑えられない紫沫だった。
◇◇ ◇◇
「はぁ、はぁ、はぁ。ねぇ、琅。ど、こ、まで、走れば、いいのっ。」
手を握られたまま必死に琅に付いて走り続けた。
そう言えばグレース達はどうしたんだろう。
登録所までグレースに乗ってきたはずなのに、それからどうしたのか記憶がない。
とはいえ、自分の馬をそのまま捨て置くような無責任な事を琅がするとは思えないのできっと誰かにグレースの面倒を見るように頼んでいるだろう、と紫沫は思った。
それなら、これから城まで歩いて行くのだろうか、とそろそろ息が切れて限界になりそうな紫沫は切れ切れの声で琅に問いかけた。
「もっ、ぼ、僕っ、は、はしれ、走れなっ、いっ。」
はぁ、はぁ、と忙しない息の合間に訴えると琅は紫沫の手を離して歩く速度を緩めた。
付いて行きたいと思ったが、足は何だかブルブルと震えるばかりで紫沫は力尽きてへたり込んでしまった。
「もっ、む、無理れすっ。はっ、はっ。」
肩で大きく息をしている紫沫の様子を見て琅は傍らまで戻ってくると、周りをサッと見渡して紫沫を抱き上げた。
「うわっ。」
紫沫が驚くのも無理はない。
だって、琅が抱き上げたのは所謂お姫様抱っこだったから。
バランスを取ろうと紫沫も慌てて琅の首へ手を回す。
「ろ、琅っ。」
「ほら、暴れんなって。」
「そんな事言っても。」
身体付きの大きな琅に抱き上げられると地面との距離が広がる。
がっちりと抱えられてはいてもぶらぶらとした脚が不安定さを感じさせる。
思わず抱き着くように回してしまった首への手は、まるで恋人に対する仕草のようで、恋をしたことさえない紫沫にとって身の置き所のない気まずさを感じさせた。
ましてや周りにはたくさんの獣人がいて、興味深げにこちらを見ている。
「ご、ごめんなさいっ。重いよねっ。」
「いいからって。それにお前軽すぎだろう。全然重くないんだけど。」
確かに琅の足取りは力強く、まるで重さを感じていないようだった。
何か魔法でも使っているのかと思ったけれどそんなの今の琅には必要なさそうだ。
逞しい腕、厚い胸板。
大きく温かい体躯は紫沫の全てを包み込むように抱いていて安心できる。
「このまま城まで行くか。」
「へ?」
「いや、登録所からそれ程離れてないんだ、城は。正面から入ろうと思うと遠回りになるんだけど、裏口があってな。」
ニヒヒと笑う琅は悪戯っ子のそれで思わず紫沫もぷっと笑ってしまう。
「ふふっ。琅、それって良いの?治安部隊の隊長さんなんでしょ。」
「ああ、良いって、良いって。裏口ったって俺だけじゃなくて知ってる奴は結構いるし、ちゃんとした門なんだぜ。利用しても問題ないって。」
降ろしてもらおうか、と一瞬思ったが、時間がないような事を言っていた琅の言葉も気になるし、このまま楽ちんさせてもらおう、と開き直った紫沫は最後の足掻きとばかりに、少しでも周りからの視線から隠れるように琅の胸に顔を埋めた。
ほどなくして、城の裏口と思わしき小さな門に着いた。
なるほど、小さいけれど門としては充分機能していてるようだ。
門番とおぼしき身体の大きな屈強の獣人が2人、門の前に立っている。
ここを突破するにはそれなりに腕が立つか、もしくは身元がしっかりしてなければ入れないだろう。
表にある正門がどれほど大きく、利用するまでの時間を要するのか分からないが、それでも紫沫一人ではきっと入れてもらえなかった事は分かる。
例え、迷い人として登録済の身分を手に入れたとしても、だ。
「よぉ、ご苦労さん。」
「あっ、ロウ隊長っ。お戻りになったんですね。」
「ああ、さっき帰ってきたばかりなんだ。」
「そうですか。早く副隊長達に会ってきて下さいよ。俺、毎日セスさんからチクチク言われまくってもう限界ですから。」
セスは毎日嫌味を言ってネチネチ門番たちを困らせていたらしい。
「部署まで行っても忙しすぎてテス副隊長は相手にしてくれなかったらしく。そのとばっちりが俺たちに来て大変だったんですから。」
ほとほと困り果てたような顔で訴えるのはバッファローのような硬く大きな角を持つ獣人だった。
ぐるぐると巻き毛の髪の毛が髭と同化して見えて恐ろし気だが、気の良さそうな声で琅と話す姿は微笑ましい感じがした。
「っと、その方は?随分小さな方ですけどどこの種族でしょう?」
自分に興味が移ったのを感じて、紫沫は咄嗟に琅の胸元に顔を埋めて見られないようにしてしまった。
何だか自分の顔を見せるのが怖くなったのだ。
この世界にいる獣人とは明らかに違うらしい自分の容姿に、他人に埋没するように気配を殺して生きてきた紫沫はどう受け止めたらいいのか分からなくなってしまったのだ。
「ああ、迷い人だったんだ。」
「そうなんですか。良かったな、坊主。ロウ隊長に見つけてもらえて。」
「そうだぞ。感謝しろよ。」
「は、はいっ。」
小さな声でそう返事をするのが精いっぱいだったが、琅は狼狽している紫沫の気持ちを察してくれたのか、2人から隠すように紫沫の身体を再度抱え上げ、そのまま門をくぐった。
「じゃ、テスに労いの言葉でもかけてくるか。」
腕の中の紫沫に向けて言ったのか。
颯爽と歩きだす琅の腕の中からチラリと覗いた先には、敬礼をして琅を見送る2人の門番の姿が見えた。
琅が少しだけ申し訳なさそうな顔でそう言った。
紫沫にしてみれば特に異論などあるはずもないのに、どうしてそんな顔をするのか疑問だったが。
「疲れてるだろうに悪いな。あいつらが城にいる内に済ませておきたくてな。」
「それはいいけど・・・。選定士の人たちって城にずっとはいないの?」
「うーん、あいつら変わってるからな。一応所属は城勤めになるんだけど割と自由な奴らでな。年寄り連中は城にいる事が多いが若いやつらはなぁ・・・。」
「琅はえっと、治安部隊の隊長さんなんでしょ。初めて知ったけど。」
「あれ、言ってなかったか?」
琅は今度は困ったように耳元を描いた。
ピクピクと動くケモ耳の動きを目で追いながら紫沫はちょっとだけ不機嫌な声で答えた。
「聞いてないって。まぁ、言われても分からなかったかも知れないけどさぁ。」
「ははっそうか。治安部隊ってのはまぁこの平たく言えばこの国を守る用心棒みたいなもんだ。悪い奴がいないか見張って街の住人を守るってのが仕事だ。第二っていうのはそのまんま順番を表わしていて第一と第二は王都と王都周辺。そして東西南北を守る第三から第六までの治安部隊がいる。」
「ふえぇ。って事は琅ってもしかして偉い人だったりするの?」
「偉いって訳じゃないさ。まぁその辺の獣人よりは強いと思うけどな。」
旅慣れた様子からもっと風来坊みたいに様々な土地を渡り歩いているイメージだった琅の職業が割と堅いものだった事に紫沫は驚いた。
「隊長なんて名ばかりさ。俺の所は下のやつらが有能なのが多くてな。まぁだからこそ俺がここを離れて壁の間近まで行くなんて事が出来るんだけどな。」
セスがその琅の話を聞いて口を挟む。どうやらこっちはとても怒っているらしい。
「隊長が勝手に行ってしまったんでしょう!少なくとも私はテスからそう聞いてますけどっ。」
「そう怒るなって。」
「これが怒らずにいられますかっ。お陰でテスはこのところずーーーっと帰ってこないんですよっ。家に帰る暇があるなら仕事して少しでも消化したいって。信じられますかっ。私たち結婚したばかりなのにっ。」
セスの言葉に驚く。そうか、だからセスはずっと機嫌が悪かったのか。
てっきり琅に好意があるから自分の事を気に入らないのだと思っていたのに、実際は琅のせいで伴侶が帰ってこない事に怒っているのだと分かる。
「やっと帰ってきたと思ったら、そんなちんちくりんの訳分からない子どもを連れて帰ってくるし。”迷い人”ってのがあなたらしいですけど、それでも私の大切なテスが身体を壊したらどうしてくれるんです!!」
積りに積もっていた文句なのか。セスの口から後から後から溢れてくる言葉たち。
まぁ確かに長く王都を開けていた琅のせいなのだからしょうがないのだろうけれど、余りの勢いに琅は紫沫を引き寄せてじりじりと後退していく。
「やっ、わっ、悪かった。そう、悪かったよっ。テ、テスにはちゃんと埋め合わせするからっ。」
「本当ですねっ。口だけって事ないですよねっ。」
じりじりと琅が下がれば下がっただけセスが前に進んでくる。
冷や汗がじっとりと浮かんできて琅は紫沫の腕を掴んで踵を返した。
「分かってるよっ。じゃ、またな。」
「ああっ!まだ話ている途中です!!」
「隊長、また来てくださいよ~。」
逃げられた!という悔しそうな顔のセスと笑顔で手を振るジャックに慌てて頭を下げて紫沫は登録所を後にした。
走るように建物を後にしながら、琅の焦った顔に笑いが抑えられない紫沫だった。
◇◇ ◇◇
「はぁ、はぁ、はぁ。ねぇ、琅。ど、こ、まで、走れば、いいのっ。」
手を握られたまま必死に琅に付いて走り続けた。
そう言えばグレース達はどうしたんだろう。
登録所までグレースに乗ってきたはずなのに、それからどうしたのか記憶がない。
とはいえ、自分の馬をそのまま捨て置くような無責任な事を琅がするとは思えないのできっと誰かにグレースの面倒を見るように頼んでいるだろう、と紫沫は思った。
それなら、これから城まで歩いて行くのだろうか、とそろそろ息が切れて限界になりそうな紫沫は切れ切れの声で琅に問いかけた。
「もっ、ぼ、僕っ、は、はしれ、走れなっ、いっ。」
はぁ、はぁ、と忙しない息の合間に訴えると琅は紫沫の手を離して歩く速度を緩めた。
付いて行きたいと思ったが、足は何だかブルブルと震えるばかりで紫沫は力尽きてへたり込んでしまった。
「もっ、む、無理れすっ。はっ、はっ。」
肩で大きく息をしている紫沫の様子を見て琅は傍らまで戻ってくると、周りをサッと見渡して紫沫を抱き上げた。
「うわっ。」
紫沫が驚くのも無理はない。
だって、琅が抱き上げたのは所謂お姫様抱っこだったから。
バランスを取ろうと紫沫も慌てて琅の首へ手を回す。
「ろ、琅っ。」
「ほら、暴れんなって。」
「そんな事言っても。」
身体付きの大きな琅に抱き上げられると地面との距離が広がる。
がっちりと抱えられてはいてもぶらぶらとした脚が不安定さを感じさせる。
思わず抱き着くように回してしまった首への手は、まるで恋人に対する仕草のようで、恋をしたことさえない紫沫にとって身の置き所のない気まずさを感じさせた。
ましてや周りにはたくさんの獣人がいて、興味深げにこちらを見ている。
「ご、ごめんなさいっ。重いよねっ。」
「いいからって。それにお前軽すぎだろう。全然重くないんだけど。」
確かに琅の足取りは力強く、まるで重さを感じていないようだった。
何か魔法でも使っているのかと思ったけれどそんなの今の琅には必要なさそうだ。
逞しい腕、厚い胸板。
大きく温かい体躯は紫沫の全てを包み込むように抱いていて安心できる。
「このまま城まで行くか。」
「へ?」
「いや、登録所からそれ程離れてないんだ、城は。正面から入ろうと思うと遠回りになるんだけど、裏口があってな。」
ニヒヒと笑う琅は悪戯っ子のそれで思わず紫沫もぷっと笑ってしまう。
「ふふっ。琅、それって良いの?治安部隊の隊長さんなんでしょ。」
「ああ、良いって、良いって。裏口ったって俺だけじゃなくて知ってる奴は結構いるし、ちゃんとした門なんだぜ。利用しても問題ないって。」
降ろしてもらおうか、と一瞬思ったが、時間がないような事を言っていた琅の言葉も気になるし、このまま楽ちんさせてもらおう、と開き直った紫沫は最後の足掻きとばかりに、少しでも周りからの視線から隠れるように琅の胸に顔を埋めた。
ほどなくして、城の裏口と思わしき小さな門に着いた。
なるほど、小さいけれど門としては充分機能していてるようだ。
門番とおぼしき身体の大きな屈強の獣人が2人、門の前に立っている。
ここを突破するにはそれなりに腕が立つか、もしくは身元がしっかりしてなければ入れないだろう。
表にある正門がどれほど大きく、利用するまでの時間を要するのか分からないが、それでも紫沫一人ではきっと入れてもらえなかった事は分かる。
例え、迷い人として登録済の身分を手に入れたとしても、だ。
「よぉ、ご苦労さん。」
「あっ、ロウ隊長っ。お戻りになったんですね。」
「ああ、さっき帰ってきたばかりなんだ。」
「そうですか。早く副隊長達に会ってきて下さいよ。俺、毎日セスさんからチクチク言われまくってもう限界ですから。」
セスは毎日嫌味を言ってネチネチ門番たちを困らせていたらしい。
「部署まで行っても忙しすぎてテス副隊長は相手にしてくれなかったらしく。そのとばっちりが俺たちに来て大変だったんですから。」
ほとほと困り果てたような顔で訴えるのはバッファローのような硬く大きな角を持つ獣人だった。
ぐるぐると巻き毛の髪の毛が髭と同化して見えて恐ろし気だが、気の良さそうな声で琅と話す姿は微笑ましい感じがした。
「っと、その方は?随分小さな方ですけどどこの種族でしょう?」
自分に興味が移ったのを感じて、紫沫は咄嗟に琅の胸元に顔を埋めて見られないようにしてしまった。
何だか自分の顔を見せるのが怖くなったのだ。
この世界にいる獣人とは明らかに違うらしい自分の容姿に、他人に埋没するように気配を殺して生きてきた紫沫はどう受け止めたらいいのか分からなくなってしまったのだ。
「ああ、迷い人だったんだ。」
「そうなんですか。良かったな、坊主。ロウ隊長に見つけてもらえて。」
「そうだぞ。感謝しろよ。」
「は、はいっ。」
小さな声でそう返事をするのが精いっぱいだったが、琅は狼狽している紫沫の気持ちを察してくれたのか、2人から隠すように紫沫の身体を再度抱え上げ、そのまま門をくぐった。
「じゃ、テスに労いの言葉でもかけてくるか。」
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