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21 『癒し』って具体的に何なんですかっ?
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「えっとぉ・・・ルシオさん。もう一回言っていただいてもいいですか?」
「いいよ。シブキの為に何度でも言うよっ。」
「いやいや、取り合えず一回でいいですから。」
何とか落ち着こうとしている紫沫の気持ちを汲まず、ルシオはにこやかな顔で平然と言い放つ。
「だからね。シブキの魔力はズバリ『癒し』だよ。潜在的な魔力量は見た事ないぐらいあるみたい。」
「いやいやいや、ないです、ないですって。」
「どうしてぇ?」
「だって、魔法でしょ。俺今まで一度として魔法を使えた事なんてないですし、第一魔力なんて持ってませんって。」
「って事はシブキは僕の選定能力を疑ってるって事?」
「は?!!そ、そういう事じゃなぁないんですって。」
焦ってルシオに訂正を入れるが、一度捻くれた魔法使いは滅多な事では機嫌を直さない。
「いいって、いいって。まだまだ僕も修行が足りないって事の表れだと思うからさ。シブキが僕の選定を信じ切れていないのもしょうがない事だよね。」
それもネチネチ言ってくるから堪らない。
「そりゃぁそうだよね。シブキが信じられないのも無理はないよね。ただ水晶玉に手を当てるだけで何が分かるかって思われたってしょうがないよね。」
「そんな事思ってませんからっ。」
選定士ってとっても偉いんじゃなかっただろうか。目の前でやさぐれてる選定士サマにはそんな威厳も何もないけれど。
それでも紫沫は冷や汗が額に浮かんでくるのを感じた。
ここでルシオの機嫌を損ねてしまったら、一体自分はどうなってしまうのだろうか。
琅が”保護者”でいてくれる限りそこまで酷い事にはならないだろうが、ルシオの機嫌を損ねたままなのはまずい。
「ル、ルシオさんの力を疑がってる訳じゃなくて、思っても見ない事に驚きすぎてるだけですって。さっきパっとルシオさんが飛び出てきた時だって僕ビックリしちゃって固まったぐらいですよ。」
「はは、あんなの大した事ないよ?ちょっとしたコツさえ分かれば誰でも出来るし。」
「そっ、そんな、大した事ですよっ。だって一瞬でしたよ目の前に現れてっ。空中に浮かんでたんですよっ。」
思わず熱が入ってしまう。
だって一瞬で好きな場所に行けるとか。空に浮かんで飛んでいけるとか。
現実(ほんとう)に出来るならなんて羨ましいんだって思うから。
先輩に怒鳴られた時も。
終電を乗り過ごして家まで歩いて帰らないとならない時も。
もし一瞬で移動できる魔法が使えたら。
もし空を飛んでひとっ飛びで何処かに行ってしまえたら。
そんな風に思った事が何度もあったから。
だからルシオの魔法は『大した事ない魔法』じゃなくて『大した事ある魔法』なんだと紫沫は思う。
もちろんこの世界の魔法がどんなものか紫沫には分からないのだけれど。
でもきっと、琅の幼馴染みとしてだけじゃなく、テスやフラニーたちの態度から見てもルシオは優秀な選定士なんだと思う。
だから、凄いって気持ちは嘘じゃない。
そんな気持ちを素直に出した紫沫の瞳はキラキラとしていた。
「うっ。そんな純粋な瞳で見ないでっ。罪悪感に駆られるから。」
「じゃ、じゃぁ僕がルシオさんの事疑ってないって分かってくれましたかっ。」
「分かったよ、っていうかそろそろいい加減にしないとそこで睨んでいる誰かさんに噛みつかれそうだし。」
ルシオに指摘された場所には琅がジトっとした目でルシオを見ていた。
(あ、機嫌悪そうだな。)
一緒にいる内に少しは琅の気分の浮き沈みも分かるようになったと思う。
今はイライラしているって感じだ。
きっと早く選定内容の詳しい話を聞きたいのだろう。
「あ、あの僕の魔力の事、もう少し詳しく教えてもらいたいんですど・・・。」
もうこの際自分に魔力があるのかないのかは置いておいて、話を先に進めようと思う。
紫飛がおずおずと切り出すと、ルシオはにっこりと紫沫に笑いかけた。
「シブキの魔力は『癒し』の力。凝り固まった身体も心もシブキの力があれば生まれ変わったようになれるはずだよ。傷そのものを治癒するような事もシブキの魔力なら出来そうなんだけど・・・。」
「ええっ、傷を治すってもしかしてあの魔石みたいに撫でただけで傷口が無くす事が出来たりするって事ですかっ。」
前に琅に使ってもらった魔石の威力を思い出す。
岩肌で傷つけられた紫沫の身体も魔石でスーッと撫でるだけで傷口が塞がり痛みも引いた。
あんな力を持っているというのだろうか。
「そう。シブキの力は治癒とはちょっと違うけれど魔力量が多いって事はそれだけ多様性も生まれるって事だから上手く利用する事で治癒と併用できると思うんだよね。」
「そうなると、シブキはお前たちの管轄になるのか?」
いつの間にか琅が紫沫の肩に手を置いて横に立っていた。
置かれた手の平が暖かい。
「そうなる可能性は大きいかな。とはいっても”保護者”はロウだからね。決定権はロウにある。シブキみたいに魔力が多い人間はちゃんとその力の制御法を学んでもらわないと暴発しかねないからね。いずれにしろ一度は僕たち預かりになることは間違いないと思うよ。」
「そうか・・・。」
そう言ったきり琅は黙り込んだ。
ルシオと琅が話していた事は自分のこれからの事だろうと思うけれど、やっぱり具体的にどうしたらいいのか分からない。
『癒し』の魔力があったと言われても自分の事だとはついぞ思えないのだからしょうがないけれど。
でも、希代の選定士が選定してくれたのだ。
自分に出来る事をするしか道はないのだ、と紫沫は思った。
「あ、あの・・・結局僕ってこれからどうしたら良いんでしょう。選定していただいて『癒し』の力があるって言われても、それをどう使っていけばいいのかも分かりませんし・・・。」
「ああ~そうだよね。急に言われても困っちゃうよね。使った事ないんでしょ?手とか光った事も?」
「ある訳ないでしょうっ。」
「どうして?今まで生きてきて・・・。ああ、分かった。紫沫の世界って魔法がない世界なんだ。」
「えっ、どうしてそれを・・・。」
「嫌だなぁ。君がこの世界の獣人じゃない事なんて見れば分かるでしょ。だから僕さっきも”人間”って言ったじゃない。」
「そ、それじゃ最初から分かってたんですかっ。」
「分かってたのはロウが大切そうに”迷い人”を連れて帰ってくる事。連れてくる子がどうやらこの世界のどこにも属してない種である事。それぐらいだよ。」
ルシオの話は紫沫を驚かせた。
選定士というのはそんな事も分かるのだろうか?
いや、もしかして選定をするというのは、その本人が隠している全てを暴いてしまう事と同義なのだろうか。
「ああ、そんなに怖がらなくてもいいからね。シブキの全てが分かる訳ではないんだから。その証拠に、君がどうやって『癒し』の力を使えるようになるのかは分からないから。」
「・・・え?」
「魔法はね、本人の資質に寄る所も大きいから使い方も人それぞれなんだ。指を鳴らして発現させる者。ウインク一つで成せる者、呪文を唱えて叶える者。やり方に似通った所は多くてもどこが取っ掛かりになるのかは本人次第。だからシブキに力の制御を学ばせるつもりではいても、まずは発露を探さないといけないって事なんだ。」
「それが分からないと魔法は使えないって事?」
「そう、その通り!シブキってば理解が早いっ。きっと魔法が使える日も早いよっ。」
そ、それってすっごく他人任せじゃありませんかっ。
そう思わないでもなかったけれど、自分に本当に魔力が備わっているのかも半信半疑の紫沫にとってみれば、発露は自分次第と言われた事で出来なくてもしょうがない、と言う気持ちにもなった。
流されるままに生きてきた自分らしいとも思う。
「じゃぁ、紫沫の身柄は俺預かりって事でいいな。シブキが魔力を使えるようにならない内はお前たちは必要ないだろうから。」
「あれ?って事は自分は必要だって言いたいのぉ、ロウ?」
ニヤニヤとそう言われた琅は顔を真っ赤にして怒鳴り返している。
「俺はただシブキも俺が一緒にいた方が安心するだろうって思っただけでっ。」
「そう、ロウの傍だと安心するんだ。」
「だ、だからっシブキが知らない場所で不安にならないようにだな。」
「知らない場所って、ロウの家だって知らない場所でしょうが。」
「そっ、そう言う意味じゃない。それに俺の家って事はシブキの家でもあるんだ。」
「ぼ、僕の家?」
「ああ、”保護者”である俺の家なんだからな。シブキにとっても自分の家だろう。帰ってくるのは俺のいる場所になるんだから。」
「ロウ・・・。」
ごほん、ごほんっ。
琅と紫沫が見つめ合っている所に無粋な咳払いが聞こえる。
「あのねぇ、イチャイチャはここじゃなくて、君達の家でしてくれる?もう、こっちが恥ずかしくなるって。」
「そ、そんなイチャイチャなんて。」
「そうだぞっ。」
「そんな2人で顔を真っ赤にして照れないでよ。ロウ、何かキャラ変わってるけど。まぁいいや、ロウの言う通りシブキが魔法を使えるようにならないとどうしようもないし。取り合えずしばらくはこの世界に慣れてみて。何か心配事があったら相談に乗るからね。」
ルシオはそう言うと来た時と同じように空中に浮かぶとボムッという音と共に一瞬で姿を消してしまった。
「あっ。」
「おいっ、ルシオっ」
2人で伸ばした手の先は何も掴むことが出来ず空を切ったけれど。
「「勝手に消えるな(いでっ)」」
出てきた言葉は同じだったから、2人で顔を見合わせて思わず笑った。
「いいよ。シブキの為に何度でも言うよっ。」
「いやいや、取り合えず一回でいいですから。」
何とか落ち着こうとしている紫沫の気持ちを汲まず、ルシオはにこやかな顔で平然と言い放つ。
「だからね。シブキの魔力はズバリ『癒し』だよ。潜在的な魔力量は見た事ないぐらいあるみたい。」
「いやいやいや、ないです、ないですって。」
「どうしてぇ?」
「だって、魔法でしょ。俺今まで一度として魔法を使えた事なんてないですし、第一魔力なんて持ってませんって。」
「って事はシブキは僕の選定能力を疑ってるって事?」
「は?!!そ、そういう事じゃなぁないんですって。」
焦ってルシオに訂正を入れるが、一度捻くれた魔法使いは滅多な事では機嫌を直さない。
「いいって、いいって。まだまだ僕も修行が足りないって事の表れだと思うからさ。シブキが僕の選定を信じ切れていないのもしょうがない事だよね。」
それもネチネチ言ってくるから堪らない。
「そりゃぁそうだよね。シブキが信じられないのも無理はないよね。ただ水晶玉に手を当てるだけで何が分かるかって思われたってしょうがないよね。」
「そんな事思ってませんからっ。」
選定士ってとっても偉いんじゃなかっただろうか。目の前でやさぐれてる選定士サマにはそんな威厳も何もないけれど。
それでも紫沫は冷や汗が額に浮かんでくるのを感じた。
ここでルシオの機嫌を損ねてしまったら、一体自分はどうなってしまうのだろうか。
琅が”保護者”でいてくれる限りそこまで酷い事にはならないだろうが、ルシオの機嫌を損ねたままなのはまずい。
「ル、ルシオさんの力を疑がってる訳じゃなくて、思っても見ない事に驚きすぎてるだけですって。さっきパっとルシオさんが飛び出てきた時だって僕ビックリしちゃって固まったぐらいですよ。」
「はは、あんなの大した事ないよ?ちょっとしたコツさえ分かれば誰でも出来るし。」
「そっ、そんな、大した事ですよっ。だって一瞬でしたよ目の前に現れてっ。空中に浮かんでたんですよっ。」
思わず熱が入ってしまう。
だって一瞬で好きな場所に行けるとか。空に浮かんで飛んでいけるとか。
現実(ほんとう)に出来るならなんて羨ましいんだって思うから。
先輩に怒鳴られた時も。
終電を乗り過ごして家まで歩いて帰らないとならない時も。
もし一瞬で移動できる魔法が使えたら。
もし空を飛んでひとっ飛びで何処かに行ってしまえたら。
そんな風に思った事が何度もあったから。
だからルシオの魔法は『大した事ない魔法』じゃなくて『大した事ある魔法』なんだと紫沫は思う。
もちろんこの世界の魔法がどんなものか紫沫には分からないのだけれど。
でもきっと、琅の幼馴染みとしてだけじゃなく、テスやフラニーたちの態度から見てもルシオは優秀な選定士なんだと思う。
だから、凄いって気持ちは嘘じゃない。
そんな気持ちを素直に出した紫沫の瞳はキラキラとしていた。
「うっ。そんな純粋な瞳で見ないでっ。罪悪感に駆られるから。」
「じゃ、じゃぁ僕がルシオさんの事疑ってないって分かってくれましたかっ。」
「分かったよ、っていうかそろそろいい加減にしないとそこで睨んでいる誰かさんに噛みつかれそうだし。」
ルシオに指摘された場所には琅がジトっとした目でルシオを見ていた。
(あ、機嫌悪そうだな。)
一緒にいる内に少しは琅の気分の浮き沈みも分かるようになったと思う。
今はイライラしているって感じだ。
きっと早く選定内容の詳しい話を聞きたいのだろう。
「あ、あの僕の魔力の事、もう少し詳しく教えてもらいたいんですど・・・。」
もうこの際自分に魔力があるのかないのかは置いておいて、話を先に進めようと思う。
紫飛がおずおずと切り出すと、ルシオはにっこりと紫沫に笑いかけた。
「シブキの魔力は『癒し』の力。凝り固まった身体も心もシブキの力があれば生まれ変わったようになれるはずだよ。傷そのものを治癒するような事もシブキの魔力なら出来そうなんだけど・・・。」
「ええっ、傷を治すってもしかしてあの魔石みたいに撫でただけで傷口が無くす事が出来たりするって事ですかっ。」
前に琅に使ってもらった魔石の威力を思い出す。
岩肌で傷つけられた紫沫の身体も魔石でスーッと撫でるだけで傷口が塞がり痛みも引いた。
あんな力を持っているというのだろうか。
「そう。シブキの力は治癒とはちょっと違うけれど魔力量が多いって事はそれだけ多様性も生まれるって事だから上手く利用する事で治癒と併用できると思うんだよね。」
「そうなると、シブキはお前たちの管轄になるのか?」
いつの間にか琅が紫沫の肩に手を置いて横に立っていた。
置かれた手の平が暖かい。
「そうなる可能性は大きいかな。とはいっても”保護者”はロウだからね。決定権はロウにある。シブキみたいに魔力が多い人間はちゃんとその力の制御法を学んでもらわないと暴発しかねないからね。いずれにしろ一度は僕たち預かりになることは間違いないと思うよ。」
「そうか・・・。」
そう言ったきり琅は黙り込んだ。
ルシオと琅が話していた事は自分のこれからの事だろうと思うけれど、やっぱり具体的にどうしたらいいのか分からない。
『癒し』の魔力があったと言われても自分の事だとはついぞ思えないのだからしょうがないけれど。
でも、希代の選定士が選定してくれたのだ。
自分に出来る事をするしか道はないのだ、と紫沫は思った。
「あ、あの・・・結局僕ってこれからどうしたら良いんでしょう。選定していただいて『癒し』の力があるって言われても、それをどう使っていけばいいのかも分かりませんし・・・。」
「ああ~そうだよね。急に言われても困っちゃうよね。使った事ないんでしょ?手とか光った事も?」
「ある訳ないでしょうっ。」
「どうして?今まで生きてきて・・・。ああ、分かった。紫沫の世界って魔法がない世界なんだ。」
「えっ、どうしてそれを・・・。」
「嫌だなぁ。君がこの世界の獣人じゃない事なんて見れば分かるでしょ。だから僕さっきも”人間”って言ったじゃない。」
「そ、それじゃ最初から分かってたんですかっ。」
「分かってたのはロウが大切そうに”迷い人”を連れて帰ってくる事。連れてくる子がどうやらこの世界のどこにも属してない種である事。それぐらいだよ。」
ルシオの話は紫沫を驚かせた。
選定士というのはそんな事も分かるのだろうか?
いや、もしかして選定をするというのは、その本人が隠している全てを暴いてしまう事と同義なのだろうか。
「ああ、そんなに怖がらなくてもいいからね。シブキの全てが分かる訳ではないんだから。その証拠に、君がどうやって『癒し』の力を使えるようになるのかは分からないから。」
「・・・え?」
「魔法はね、本人の資質に寄る所も大きいから使い方も人それぞれなんだ。指を鳴らして発現させる者。ウインク一つで成せる者、呪文を唱えて叶える者。やり方に似通った所は多くてもどこが取っ掛かりになるのかは本人次第。だからシブキに力の制御を学ばせるつもりではいても、まずは発露を探さないといけないって事なんだ。」
「それが分からないと魔法は使えないって事?」
「そう、その通り!シブキってば理解が早いっ。きっと魔法が使える日も早いよっ。」
そ、それってすっごく他人任せじゃありませんかっ。
そう思わないでもなかったけれど、自分に本当に魔力が備わっているのかも半信半疑の紫沫にとってみれば、発露は自分次第と言われた事で出来なくてもしょうがない、と言う気持ちにもなった。
流されるままに生きてきた自分らしいとも思う。
「じゃぁ、紫沫の身柄は俺預かりって事でいいな。シブキが魔力を使えるようにならない内はお前たちは必要ないだろうから。」
「あれ?って事は自分は必要だって言いたいのぉ、ロウ?」
ニヤニヤとそう言われた琅は顔を真っ赤にして怒鳴り返している。
「俺はただシブキも俺が一緒にいた方が安心するだろうって思っただけでっ。」
「そう、ロウの傍だと安心するんだ。」
「だ、だからっシブキが知らない場所で不安にならないようにだな。」
「知らない場所って、ロウの家だって知らない場所でしょうが。」
「そっ、そう言う意味じゃない。それに俺の家って事はシブキの家でもあるんだ。」
「ぼ、僕の家?」
「ああ、”保護者”である俺の家なんだからな。シブキにとっても自分の家だろう。帰ってくるのは俺のいる場所になるんだから。」
「ロウ・・・。」
ごほん、ごほんっ。
琅と紫沫が見つめ合っている所に無粋な咳払いが聞こえる。
「あのねぇ、イチャイチャはここじゃなくて、君達の家でしてくれる?もう、こっちが恥ずかしくなるって。」
「そ、そんなイチャイチャなんて。」
「そうだぞっ。」
「そんな2人で顔を真っ赤にして照れないでよ。ロウ、何かキャラ変わってるけど。まぁいいや、ロウの言う通りシブキが魔法を使えるようにならないとどうしようもないし。取り合えずしばらくはこの世界に慣れてみて。何か心配事があったら相談に乗るからね。」
ルシオはそう言うと来た時と同じように空中に浮かぶとボムッという音と共に一瞬で姿を消してしまった。
「あっ。」
「おいっ、ルシオっ」
2人で伸ばした手の先は何も掴むことが出来ず空を切ったけれど。
「「勝手に消えるな(いでっ)」」
出てきた言葉は同じだったから、2人で顔を見合わせて思わず笑った。
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