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第三章 おねえさまだいすきっ
(20)おねえさまだいすきっ その2-2
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「ただいまー、愛子ー」
優菜は自分の家のように真野家の敷居を跨いでいく。
「おかえりっ、優菜。ご飯にする? お風呂にする? そ・れ・と・も……?」
「やだぁ、愛子、それ古いよぅ」
「ふふっ、ちょっとやってみたくなっちゃった。あ、その子ね」
優菜の後ろからちょこんと、顔を出す和歌子。そして、愛子の顔を見ると、急にはっとした表情になる。
「あ、あなたはもしかして……、お姉さま!?」
「えっ!?」
優菜と愛子は、その言葉に顔を見合わせてびっくりする。
「えっと……、とりあえず紹介すると、南和歌子。うちの後輩で、雄哉くんの彼女よ。で……」
「私は真野愛子。昔は、優菜と同じ会社にいたの。ちょうど和歌子ちゃんと入れ替わりだったのね。で……、たぶん初対面だと思うんだけど……」
ふたりは一通り紹介を終えた後、和歌子の顔を見る。
「いいえ、間違いないわ。私のあこがれだった、『シェリーフルール』のお姉さまっ!」
「シェリーフルール……、ああっ、もしかして……」
「思い出してくれましたか。お姉さまっ」
和歌子の顔が、ぱぁっ、と輝く。
「え? 愛子、知り合いだったの?」
和歌子の様子を驚きながら見ていた優菜が、愛子に聞く。
「子どもの頃ね、うちがお花屋さんだったから、よく遊びに来てた女の子がたくさんいたんだ。きっとその中の……、ちょっと待ってね。……うん、思い出した。わかちゃん!」
「そう! そう呼んでいただいてましたっ! またお目にかかれるなんて……」
和歌子は興奮収まらない様子で愛子から目を離さない。
「わかちゃん、お姉さまは照れくさいから、愛子でいいよ。あと、ふたりとも、どうぞあがってっ」
愛子はリビングへふたりを招じ入れた。
今まで見たことのない和歌子のはしゃぎっぷりに、ただ呆然とするだけの優菜と、そんなふたりを苦笑いしながら、もてなす愛子。リビングでは愛子の花屋時代の思い出話を和歌子が興奮冷めやらぬ様子で語り続ける。
「愛子お姉さまは、街中の女子の憧れだったんですよ。誰もがみんな、お姉さまみたいになりたいって。今のアイドルとか目じゃないくらい、わたしたちの目にはキラキラして輝いて映ってました」
「愛子、とんだカリスマだったんだねぇ……」
優菜は若干食傷気味に感想を述べる。
「あはは……。私はそんなことになってるなんて知らなかったよ。ただ、いつも女の子がたくさんいて、にぎわってるなぁくらいにしか……」
「まさか愛子自身が、客寄せパンダだったとは。ってことかぁ」
「私が高校出てから、お店たたんじゃった理由、今わかったような気がするよ」
愛子がため息交じりに呟く。
「あ、ふたりともご飯まだでしょ。シチュー作ったから、食べてってね」
愛子がソファーから立ち上がってキッチンへいそいそと向かうと、和歌子も立ち上がって愛子の後に続く。
「お姉さまっ、わたしも手伝いますっ!」
そんなふたりを見て一つため息をつき、この後どうしようか優菜は考えをめぐらす。
優菜の頭の中は様々な選択肢で埋まっていた。このよく分からなくなった状況を打破するためには……、
その1・完全に頭が百合になった状態の和歌子と、このまま帰って出直す。
その2・この場で私がグーパンチをくりだして和歌子の目を覚まさせる。
その3・愛子と協力して最初の計画通り、ベッドへ和歌子を引きずり込む。
『うーん、この後の雄哉くんのこともあるし、やっぱり、その3しかないのかぁ……』
そんなことを考えていると、思わぬ方向から助け船が出る。
「そういえば優菜、今日って何の話をしに来たの?」
愛子がシチューをよそりながら、優菜に向かって問いかける。
ナイス愛子っ! と、心の中で思いながら、優菜は和歌子と愛子に向かって答える。
「そうだよ和歌子っ。本題を忘れちゃだめだよっ」
和歌子もはっ、と我に返る。
「そ、そうでした。でも、あの話をお姉さまにするのは……」
和歌子は難しい顔になる。
「うん、雄哉くんの彼女さんっていうことなら、大体想像はついてるよ。ご飯食べたあと、ゆっくりお話し聞かせて。ね」
愛子は優しく和歌子に話しかける。
「はい。ではお食事の後に聞いていただくことにします」
優菜は自分の家のように真野家の敷居を跨いでいく。
「おかえりっ、優菜。ご飯にする? お風呂にする? そ・れ・と・も……?」
「やだぁ、愛子、それ古いよぅ」
「ふふっ、ちょっとやってみたくなっちゃった。あ、その子ね」
優菜の後ろからちょこんと、顔を出す和歌子。そして、愛子の顔を見ると、急にはっとした表情になる。
「あ、あなたはもしかして……、お姉さま!?」
「えっ!?」
優菜と愛子は、その言葉に顔を見合わせてびっくりする。
「えっと……、とりあえず紹介すると、南和歌子。うちの後輩で、雄哉くんの彼女よ。で……」
「私は真野愛子。昔は、優菜と同じ会社にいたの。ちょうど和歌子ちゃんと入れ替わりだったのね。で……、たぶん初対面だと思うんだけど……」
ふたりは一通り紹介を終えた後、和歌子の顔を見る。
「いいえ、間違いないわ。私のあこがれだった、『シェリーフルール』のお姉さまっ!」
「シェリーフルール……、ああっ、もしかして……」
「思い出してくれましたか。お姉さまっ」
和歌子の顔が、ぱぁっ、と輝く。
「え? 愛子、知り合いだったの?」
和歌子の様子を驚きながら見ていた優菜が、愛子に聞く。
「子どもの頃ね、うちがお花屋さんだったから、よく遊びに来てた女の子がたくさんいたんだ。きっとその中の……、ちょっと待ってね。……うん、思い出した。わかちゃん!」
「そう! そう呼んでいただいてましたっ! またお目にかかれるなんて……」
和歌子は興奮収まらない様子で愛子から目を離さない。
「わかちゃん、お姉さまは照れくさいから、愛子でいいよ。あと、ふたりとも、どうぞあがってっ」
愛子はリビングへふたりを招じ入れた。
今まで見たことのない和歌子のはしゃぎっぷりに、ただ呆然とするだけの優菜と、そんなふたりを苦笑いしながら、もてなす愛子。リビングでは愛子の花屋時代の思い出話を和歌子が興奮冷めやらぬ様子で語り続ける。
「愛子お姉さまは、街中の女子の憧れだったんですよ。誰もがみんな、お姉さまみたいになりたいって。今のアイドルとか目じゃないくらい、わたしたちの目にはキラキラして輝いて映ってました」
「愛子、とんだカリスマだったんだねぇ……」
優菜は若干食傷気味に感想を述べる。
「あはは……。私はそんなことになってるなんて知らなかったよ。ただ、いつも女の子がたくさんいて、にぎわってるなぁくらいにしか……」
「まさか愛子自身が、客寄せパンダだったとは。ってことかぁ」
「私が高校出てから、お店たたんじゃった理由、今わかったような気がするよ」
愛子がため息交じりに呟く。
「あ、ふたりともご飯まだでしょ。シチュー作ったから、食べてってね」
愛子がソファーから立ち上がってキッチンへいそいそと向かうと、和歌子も立ち上がって愛子の後に続く。
「お姉さまっ、わたしも手伝いますっ!」
そんなふたりを見て一つため息をつき、この後どうしようか優菜は考えをめぐらす。
優菜の頭の中は様々な選択肢で埋まっていた。このよく分からなくなった状況を打破するためには……、
その1・完全に頭が百合になった状態の和歌子と、このまま帰って出直す。
その2・この場で私がグーパンチをくりだして和歌子の目を覚まさせる。
その3・愛子と協力して最初の計画通り、ベッドへ和歌子を引きずり込む。
『うーん、この後の雄哉くんのこともあるし、やっぱり、その3しかないのかぁ……』
そんなことを考えていると、思わぬ方向から助け船が出る。
「そういえば優菜、今日って何の話をしに来たの?」
愛子がシチューをよそりながら、優菜に向かって問いかける。
ナイス愛子っ! と、心の中で思いながら、優菜は和歌子と愛子に向かって答える。
「そうだよ和歌子っ。本題を忘れちゃだめだよっ」
和歌子もはっ、と我に返る。
「そ、そうでした。でも、あの話をお姉さまにするのは……」
和歌子は難しい顔になる。
「うん、雄哉くんの彼女さんっていうことなら、大体想像はついてるよ。ご飯食べたあと、ゆっくりお話し聞かせて。ね」
愛子は優しく和歌子に話しかける。
「はい。ではお食事の後に聞いていただくことにします」
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