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第五章 花の女神さまとちいさな天使
(40)花の女神さまと小さな天使 その1-1
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暖かな日差しが寝室に降り注ぐ。
目を擦りながら目覚めた克也は、布団にふたりの姿がないのに気がつく。
リビングの方から笑い声とともに、パンの焼けた匂いと、コーヒーの匂いが漂ってくる。
克也は起き上がると近くに畳んで置いてあったクリーム色のスウェットに袖を通して、寝室を出る。
「ふたりとも、おはよう」
「あ、克也さんおはよう。起きたんだね」
愛子はエプロンをつけて綾女とともにキッチンに立っていた。
「ふふっ、よく眠れたみたいね。洗面台、自由に使って。そろそろ朝ごはんできるから」
克也は脱衣場にある洗面台に向かい、洗顔と髪をそこそこ整えてから、キッチンに戻る。テーブルにはふたりの用意した朝食が美味しそうに並べられていた。
「じゃ、食べよっか」
「いただきます」
朝食の最中も三人は笑顔で会話を交わしていた。
「そういえば、布団をめくった時に気がついたんですが……」
克也はちょっと言いにくそうに綾女に言う。
「あ、染みがすごかったでしょ。あれ、克也くんのだけじゃないから、心配しないでね」
「毎回すごいですからね、タクミくん」
愛子は笑いながら綾女に言う。
「ずっと気になってたんだけど、タクミくんって……」
「ん、そろそろ来るんじゃないかな?」
綾女が玄関の方を見ながらそう言ったタイミングで、
ピンポーン
チャイムがちょうど鳴った。
「じゃ、私が出てくるよ」
愛子はいそいそと玄関の方へ向かっていく。
「かわいい子よ。仲良くしてあげてね」
綾女は克也に向かって笑顔で言う。間もなく、愛子が来客を連れて戻ってくる。
「はい、タクミくん。ご挨拶」
愛子は克也に向かって、白とネイビーのコントラストがまぶしいマリンセーラーに身を包んだ小さな来客の肩を押す。
「は、はじめまして。小野拓美(おのたくみ)といいます。よろしくお……、あれ? お、お兄ちゃん?」
克也は小さな来客に微笑みながら挨拶する。
「そうか。タクミくんって君のことだったんだね。改めまして。僕は真野克也。これからもよろしくね」
克也は拓美と名乗ったその子の頭を撫でる。
「え? 克也くん知ってたの?」
綾女が目を丸めながらふたりを交互に見る。
「うん。会社から帰ってくると、公園でいつも鉄棒の練習している子がいてさ、それがタクミくんだったんだよ。いつからだったかな。もう三ケ月くらい経つんじゃないかな。」
「うん。お兄ちゃんに鉄棒を教わったり、キャッチボールしたりして遊んでもらってた」
拓美は笑顔を振りまいて克也に抱きつく。
「ほら、男の子なんだから、甘えるのはなしだ」
「ええーっ、お兄ちゃん、いい匂いするから、ずっとつかまってたい」
拓美は克也のそばから離れようとしない。
「ふふっ、克也さん、男の子にもモテモテなんだね」
愛子はその様子を椅子に腰かけて、微笑ましく見ていた。
目を擦りながら目覚めた克也は、布団にふたりの姿がないのに気がつく。
リビングの方から笑い声とともに、パンの焼けた匂いと、コーヒーの匂いが漂ってくる。
克也は起き上がると近くに畳んで置いてあったクリーム色のスウェットに袖を通して、寝室を出る。
「ふたりとも、おはよう」
「あ、克也さんおはよう。起きたんだね」
愛子はエプロンをつけて綾女とともにキッチンに立っていた。
「ふふっ、よく眠れたみたいね。洗面台、自由に使って。そろそろ朝ごはんできるから」
克也は脱衣場にある洗面台に向かい、洗顔と髪をそこそこ整えてから、キッチンに戻る。テーブルにはふたりの用意した朝食が美味しそうに並べられていた。
「じゃ、食べよっか」
「いただきます」
朝食の最中も三人は笑顔で会話を交わしていた。
「そういえば、布団をめくった時に気がついたんですが……」
克也はちょっと言いにくそうに綾女に言う。
「あ、染みがすごかったでしょ。あれ、克也くんのだけじゃないから、心配しないでね」
「毎回すごいですからね、タクミくん」
愛子は笑いながら綾女に言う。
「ずっと気になってたんだけど、タクミくんって……」
「ん、そろそろ来るんじゃないかな?」
綾女が玄関の方を見ながらそう言ったタイミングで、
ピンポーン
チャイムがちょうど鳴った。
「じゃ、私が出てくるよ」
愛子はいそいそと玄関の方へ向かっていく。
「かわいい子よ。仲良くしてあげてね」
綾女は克也に向かって笑顔で言う。間もなく、愛子が来客を連れて戻ってくる。
「はい、タクミくん。ご挨拶」
愛子は克也に向かって、白とネイビーのコントラストがまぶしいマリンセーラーに身を包んだ小さな来客の肩を押す。
「は、はじめまして。小野拓美(おのたくみ)といいます。よろしくお……、あれ? お、お兄ちゃん?」
克也は小さな来客に微笑みながら挨拶する。
「そうか。タクミくんって君のことだったんだね。改めまして。僕は真野克也。これからもよろしくね」
克也は拓美と名乗ったその子の頭を撫でる。
「え? 克也くん知ってたの?」
綾女が目を丸めながらふたりを交互に見る。
「うん。会社から帰ってくると、公園でいつも鉄棒の練習している子がいてさ、それがタクミくんだったんだよ。いつからだったかな。もう三ケ月くらい経つんじゃないかな。」
「うん。お兄ちゃんに鉄棒を教わったり、キャッチボールしたりして遊んでもらってた」
拓美は笑顔を振りまいて克也に抱きつく。
「ほら、男の子なんだから、甘えるのはなしだ」
「ええーっ、お兄ちゃん、いい匂いするから、ずっとつかまってたい」
拓美は克也のそばから離れようとしない。
「ふふっ、克也さん、男の子にもモテモテなんだね」
愛子はその様子を椅子に腰かけて、微笑ましく見ていた。
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