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番外編パート2 お姉さんの下着を濡らしたら合格できる予備校があるらしい
(9)お姉さんの下着を濡らしたら合格できる予備校があるらしい その4-1
しおりを挟む陽太は予備校の講習を単科でとっており、講習のない日はほとんど自習室で勉強をしていた。
苦手科目の英語を中心でやっていたので、めぐみに英語を教わりに行く回数も最初は週三回程度だったのが、いつの間にか五回に増えた。
それは実質、綾女の現代文とセットで勉強することになるので、それまでの勉強の仕方が変わった。特にめぐみの英語の教え方が良かったのか、英語の成績が月を追うごとに伸びていった。
「うん。学校の教え方だと丸暗記で覚えろー、って言うとこ多いと思うんだ。勿論単語を覚えるのも大事だけど、英語に慣れていかないといけないからね。教わる、っていう感覚より、慣れていく、って感覚の方のが、実は大事なんだよねー。これって仕事でも言えることだけど」
めぐみは目の前でテキストを開いている陽太を見ながら語る。
「私ができるのは、陽太くんの素質を伸ばす手助けをするだけ。実際、机に向かって難しい長文とにらめっこするのは陽太くん自身だからね」
「はいっ。頑張ります」
陽太は勢い込んで応えながら、テキストに向かう。
「そんなに肩に力入れて机に向かっても、効果は半減しちゃうんだよっ。リラックスリラックス」
綾女が笑顔で隣からコーヒーを差し入れる。
「でも、実際のところ、A大は英語でかなり取らないときっついからねー。問題はそんな難しくないから、基礎をしっかりやれば大丈夫だよ。うん」
「そうねー、受験までは長丁場だから、リラックスすることも大事よ。あ、そうだ。今度の模試で、いい成績とったら、綾女、何かしてあげたら?」
「えっ? な、何を突然……」
めぐみの提案に綾女が顔を赤くする。
「ふふっ、陽太くん、次の模試で、A大の合格率八十パーセントまでいけたら、綾女がデートしてくれるって。頑張ってね」
「ほ、本当ですか!? が、頑張りますっ」
陽太は顔を上げて綾女の方を見る。綾女も陽太の喜んでる顔をみて赤くなりながら頷く。
「うん……。わかった。デート、してあげる。頑張ってね」
「いいなぁ……。青春だよねぇ……」
「うんうん。こんな受験勉強だったら私も、もっとがんばったなぁ……」
事務机の方から見ていた香織と裕子が口をそろえて言う。
陽太が綾女たちのオフィスに通い始めてから二ヶ月経過していた。めぐみ、香織、裕子の三人は、ふたりの距離が急速に縮まっていくのを見守ってきた。
綾女が陽太に勉強を教えている間は、できるだけ外出するようにしたりしていた効果もあったのだろう。ふたりはお互いのプライベートについても話すようになっていた。
「へぇー、陽太くん、妹さんいるんだね」
「はい。うるさいだけのやつですけど。近くのN大付属に通ってます」
「この辺りだと結構ランク高いところじゃない? すごいねー」
「変なところであいつ、頭いいんです。そういえばこの前、綾女さんのことバレそうに……」
「えっ?」
「自分の服から女性のにおいがするって、言われたんです。焦りました」
「す、鋭いねー。妹さん」
「あはは……、もしかするとバレるの時間の問題かもです。同じ駅使ってて、この辺りいつもウロウロしてるんで……」
そんな会話をしていた矢先だった。
「ただいまー。お客さん、連れてきたよー」
めぐみたちが帰ってきて、陽太が見覚えのある制服の女の子が後ろからひょっこりと顔を出す。
「お、お兄ちゃん! やっぱり女の人とイチャイチャしてたんだっ」
「な、なずなっ!?」
陽太が突然の妹の登場に目を丸めて驚く。
「ごめんねー。近くでお茶してて、陽太くんのこと話してたら、なずなちゃんが隣の席にいてね、聞かれちゃった」
香織が事の次第を軽く説明して手を合わせる。
「べ、べつに、イチャイチャしてるわけじゃないぞ。勉強するためにここに来てるんだ」
陽太はなずなをの目を見て弁解する。
「うん、間違ったことは言ってないんだけどねー」
裕子が同情を禁じ得ないという目で陽太を見る。
「お母さんに言ったら泣くよー。もうっ」
「だ、だから違うんだって……」
「め、めぐみさぁーん……」
綾女がめぐみを泣きそうな目で見つめる。めぐみはコクリと頷いてなずなの肩を叩く。
「なずなちゃん、お兄ちゃんの言う通り、私たちは勉強、ちゃんと教えてるんだよ」
「で、でも、彼女もできなかったお兄ちゃんが、こんなきれいなお姉さんに囲まれてなんて……」
「ま、なずなちゃん、きれいなんて……っ」
「こんな可愛い子に、きれいって言われちゃったー。嬉しいなぁー」
「ね、ね、なずなちゃん、お姉ちゃんたちとお話しよう」
「うんうん、そうしよう!」
香織と裕子がなずなの手を引いて再び外へ出る。
「も、もうっ、あとで覚えてなさいよー」
なずながふたりに手を引かれて出ていった後をめぐみも追いながら陽太と綾女に言う。
「ま、こうなった以上は、ふたりとも、お互いを認めたほうがいいわよ。なずなちゃんに
も、そう説明しちゃうから」
「えっ、えーっ!?」
颯爽とめぐみが出ていった後、嵐の去ったオフィスに、しばらくの沈黙が流れた。
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