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#04 夏の星
しおりを挟む──スピカ。
「ねぇ、君。星は美しいと思うかい?」
君の声に即答は出来なかった。
「まぁ、君ならそうだろうねぇ。」
太陽が欠けても、月が隠れても、何も思えない心だ。其れは一瞬の輝きで、後には何も残らない。
「じゃあ、こうなら?」
君が俺の右手を取った。
「何を期待してる? 望む応えは此処にはねぇよ。」
「そうかね?」
顔が弛んだ。其れを言いたいのだろう。けれど俺には許容できない。したく無いのだろう。
「くくっ、君は分かり易いね。馬鹿にする気も無いし、無理強いもしないよ。」
「はぁ、分かったよ。お前と一緒に視るなら綺麗だって言う。」
瞬間、驚いた顔は見逃した。流石に其れは似合わない。
「笑っても良いのだよ?」
「いや?」
詰まらない事はしない。天気予報は見事に外れて漆黒の空には星が並んで居た。
「しかし、予報等当てに成らないね。」
「ああ。まぁ、良いんじゃないか? お陰で、」
君は俺の右手を引いた。体勢が崩れる。唇が触れる。赤い顔の微笑みを、恐らく俺は暫く忘れないだろう。
「さて、星は綺麗かね?」
「ああ。」
見上げる。広がる、様々の金色は、綺麗なんだろう。そう思った。
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