【最弱】の召喚術師【最強】の軍勢につき

雪雪ノ雪

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第一部 王国編 第一章 迷宮都市インゼル

実用性を兼ね備えたロマン

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 焼けたワイバーンの肉は、他の肉に比べて格別に美味い。

 魔力を多く持つ魔物の肉は、味わい深く、魔力が多ければ多いほど美味くなる。

 ワイバーンはかなりの魔力を保有しているため、とんでもなく美味な肉になるのだ。

 口の中で肉を噛み切るのだが、まずそこから他の肉とは違う。筋っぽさは一切なく、一切の抵抗無く肉が噛み切れていく。

 そして噛めば噛むほど、口の中に肉の旨みが広がる。

 他の肉では、こうはいかないだろう。

 魔物ですらない、牛や豚は論外だし、ゴブリンの肉など食えたものでは無い。

 オークと呼ばれる、イノシシと豚と人間を掛け合わせたような悪鬼な魔物が一般的に食べられる魔物なのだが、オーク肉は筋が口の中に残りやすく、調理工程でしっかりと下準備しなければいけない。ワイバーンより魔力を含んでいない為、味の質も数段落ちるのだ。

 まぁ、オーク肉は普通に美味しいのだが........

「「「...........」」」

 普段滅多に食べれないワイバーンの肉を、一心不乱に無言で食べ続ける俺達。

 一切会話が無く、一心不乱に肉をかき込む様子は、はたから見たらちょっとヤバい奴に見えただろう。更には、仮面を半分ズラして口だけ出している奴と、フードを深く被っているせいで顔が全く見えない奴がいるのだ。少なくとも俺だったら近ずきたくない。

 そうして、たっぷりとワイバーンの肉を堪能した俺達は、満足そうに食後のデザートを食べていた。

「グレイ様、ニーナ様。少し馬車のメンテナンスをしますので、一旦外さしていただきます」

 シーナさんが、そう言って席をたとうとするのを見て、俺はある事を聞く。

「その馬車、テスト走行らしいけど、どんな馬車なんだ?」

 宰相がテスト走行も兼ねていると言っていたが、その馬車が一体何なのか俺は知らない。気になったついでに聞いてみることにした。

「あぁ、これはですね......なんと魔道砲を搭載した馬車なんですよ」

 魔道砲とは、魔力を打ち出す大砲だ。

 砲弾を飛ば大砲よりも、連射が効き、コストも安い。

 そりゃ、玉代まるまる浮くからな。長い目で見れば魔道砲の方が圧倒的にコストパフォーマンスに優れている。

 しかし、欠点ももちろんある。それは燃費の悪さだ。

 悪いってもんじゃない程、燃費が悪い。

 大体1発打つのに、平均的な魔導師3人分の魔力を全部使うのだ。

 魔導師3人分の魔力と言えば、大体一般市民の持つ平均的な魔力換算で15人分となる。

 ホントに燃費が悪い。

「魔道砲っていいのか?そんな、ひとりじゃ使えなさそうな馬車作って」

「それが大丈夫なんですよ!!最低限の殺傷能力を残し、魔力消費を限界まで抑えた魔道砲を新たに開発したんです!!これにより、1人の魔導師でも魔道砲を何発も打てるようになったのです!!この魔道砲にはですね──────」

 余程その魔道砲について語りたいのか、今までの無口な感じとはうって変わって饒舌に話し出す。

 俺もニーナも、シーナさんこんな風に話せたんだと、少し生暖かい目でシーナさんの魔道砲について聞いている。

「────────という訳でして、軽量化に成功した魔道砲を馬車に取り付け、移動式固定砲台にしてみようと言うわけなんです!!」

 要約すると、魔道砲の魔力消費を抑えて軽量化に成功。だけどその代わり、本来の射程よりも大幅に減少してしまった。そこで考えたのが、馬車に付けて敵陣のど真ん中走らせながら、魔道砲撃ったら強くね?

 と言った感じだ。

 それを30分弱話されるとは思わなかった。

「そしてこれが、その魔道砲を取り付けた馬車です!!」

 シーナさんが馬車に魔力を流すと、馬車の横と天井から車輪ぐらいの大きさの魔道砲が出てくる。

 成程、道理で見た目よりも中が狭いわけだ。

 少し疑問に思ったが、その時はまだシーナさんとほとんど話してなくて、聞けるような間柄ではなかったからなぁ.......

 ある意味、俺の努力が実を結んだのかもしれない。

 そして、その馬車を見て俺は思った。

「かっけぇ.....」

 本来の車輪の付いた魔道砲とは違い、車輪馬車着いてておらず、大きさもせいぜい1m程だ。

 筒の直径は30センチぐらいで、大砲と言うよりかは、ちょっと歪な筒と言った感じだ。

 それが三門。

 燃費最悪とは言われた魔道砲が、たった一つの馬車に3つも取り付けられいるのは、ロマンしか感じない。

 更に、この魔道砲、ある程度動かす事ができ、正面の敵だけではなく、全方向に対応出来る実用性もちゃんと兼ね備えている。

 これぞ、実用性を兼ね備えたロマンだ。ロマンと現実を両立した姿がそこにはあった。

「グレイ様も、これをカッコイイと思いますか!!私も、めっちゃカッコイイと思うんですよ!!特にこの固定用の鎖!!これがある事で、魔道砲の反動を軽減しているわけなんですが、そんなのどうでもいい!!この馬車に鎖という、なんのかかわり合いのなかったハズのもの同士のベストマッチ!!私、とってもとっても感動しました!!」

「わかるぞ!!実用性を兼ね備えたロマン!!これぞ正義!!全てのカッコ良さは、ロマンに宿るんだよ!!」

 俺も、シーナさんもヒートアップすぎて何を言っているのか分からない状態だ。

 そんな中ニーナが、爆弾を投下する。

「これ......ダサくないですか?」

「「は?」」

 俺とシーナさんの声が重なる。

 余りにも凄んだ声だったか、ニーナが若干引いているのがわかった。

 その後ニーナは、いかにこの馬車がカッコイイのかを、俺とシーナさんに3時間も語られるハメになるのだった。
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