【最弱】の召喚術師【最強】の軍勢につき

雪雪ノ雪

文字の大きさ
20 / 41
第一部 王国編 第一章 迷宮都市インゼル

串焼き屋

しおりを挟む
 門をくぐると、壮大な街並みが俺達を出迎えてくれた。

「うわぁ!!凄いですね!!」

 魔王国以外の街をほとんど見た事ないニーナは、声を弾ませながらその街並みを見渡す。

 王国で3番目に大きい街だ。小さい魔王国の王都よりも立派で大きい。

 大通りは、馬車が10台ぐらいなら横に並んで通れるほどの横幅があり、その道沿いには多くの店が並んでいる。

 どの店にも人が溢れかえっており、今現在魔王国に攻められているとは思えない程、平和な光景だ。

 屋台も多く並んでおり、昼過ぎで日が落ちかけているが、夕食前の腹ごしらえに買っていく人が多いのか、繁盛している。

「グレイさん、ニーナさん。宿はどうしますか?私は第7軍みうちのいる家に泊めてもらうのですが.....」

 門を少しすぎたあたりで、ラオルフさんが聞いてくる。

 これだけ大きい都市なのだ。第7軍みうちの1人や2人居るのだろう。

 俺達がこの街を消す前に、ちゃんと逃げてくれよ?いや、マジで。

「適当に探すよ。ここでおろしてくれ」

 他の馬車や歩行者の邪魔にならないように、道の脇に馬車を寄せてもらい、馬車を降りる。

「ありがとうね、ラオルフさん。2週間後だっけ?」

「えぇ。予定ではそうなっておりますが、実際のところズレが生じてしまうので、ここを出ていく時は声をかけていきますね」

「場所はわかるのか?」

「我ら第7軍がその気になれば、大抵の事は分かりますよ。もし、何かあったら商人ギルドに言伝を残しておいてください。ラオルフに伝言っていえば次、私が商人ギルドを訪れた時に伝わるはずなので」

「わかった」

 そうして、ラオルフさんはどこかへと行ってしまった。

「さて、どうするかね」

「とりあえず、この2週間泊まれる宿を探しましょう。出来れば料理が美味しくて、ある程度安全が確保出来、安い宿がいいですね」

 何その宿の理想形みたいなのは。

 料理が美味しくて、安全が確保できる宿は大抵それ相応の値段がするものだ。

 ちょっと高めの宿だと、1人1泊金貨1枚なんて事もある。

 出来れば1泊銀貨3枚以内で収めたい。

 なんでかって?そりゃ、貰ってる予算が余ったら自分の懐に入れていいって言われてるからさ。

 領収書なんてものは発行してくれないからな、商会の大きな取引とかならともかく、街の宿屋に泊まるために領収書を発行してもらうなんてありえないのだ。

 だから最初から金を貰ってきている。

 大金貨5枚分、かなりの大金を何とか貰ってきた。

「そうだな......街の人に聞くのが早いか」

 もしかしたら、地元民しか知らない穴場宿があるかもしれない。

 そう思って俺はニーナを連れて、串焼きを売っておっちゃんの所に足を運んだ。

 先程は結構人が並んでいたのだが、今はタイミングよく人っ子一人いない状態だ。

 少し話しても店の迷惑にはならないだろう。

「おっちゃん、串焼き二本くれ」

「あいよ」

 俺の注文を聞いたおっちゃんは、頭に巻いたタオルを締め直しながら串焼きを焼き始める。

 肉の焼ける、香ばしく、いい匂いが辺りを漂う。俺はおっちゃんが焼いている間に、世間話をすることにした。

「しかし、平和そうな街だな。ここは」

「なんだい?あんちゃんどこから来たんだ」

「東のほうさ。魔族が進行してきて、命からがら逃げてきたって感じさ」

 もちろん嘘である。

 いや、東の方っての合ってるか。

 魔王国は王国の東側にあるしな。

「へぇ、そっちの嬢ちゃんと?」

「あぁ、大変だったよ。なんせ俺達はまだ銅級ブロンズ冒険者だ。まともに戦争に参加した日には、お天道様からお迎えが来ちまう」

「あっははは!!身の程を知るってのは大変なんだが、あんちゃんはそこら辺しっかりしてそうだな!!」

「そうでもなきゃ、今頃土の中でモグラと仲良く暮らしてるさ」

「そんなあんちゃんに朗報さ。この街は安全だぜ?なんてったってあの灰輝級ミスリル冒険者がいるからな!!」

「『剛剣』ザリウスだったか?」

「あぁ!!ザリウス様はとんでもなく強いからな!!魔族どころか、魔王だって一撃よ!!」

 実際の魔王陛下を見たらそんな事、欠片も思わないだろう。

 見た目はアレだが、あのロリババァは冗談抜きで強いのだ。

 無知って怖いなぁと思いながらも、俺は顔に出さずに会話を続ける。

「そりゃ頼もしい。ところで『最強』って呼ばれる魔王軍の幹部がいるらしいが、知ってるか?」

「おう。知ってるぞ。なんでも王国がここまで押されてるのは、そいうのせいだとか?」

「らしいな。でも、俺は名前だけしか聞いてないんだよ。おっちゃんなんか名前以外で知ってる?」

「うーん、知らねぇな。まぁこの国が押されてるって言ったって、負けるわけがねぇんだ。王国にはまだ王国騎士団がいるしな」

「それもそうか」

 ここで串焼きが焼けたらしく、おっちゃんが手渡してくる。

 美味そうなタレにつけられた、いい匂いがする串焼きだ。

「大銅貨2枚.......って言いたいところだが、あんちゃん大変そうだったからな、サービスで大銅貨1枚にしてやるよ」

「そいつはありがたい。ちょっと路銀が危なかったんだ.......そうだおっちゃん。ここら辺でいい宿屋はないか?出来れば安くて安全で料理の上手い所」

「あるぜ。ここの大通りを真っ直ぐ行って、2つ目の曲がり道を左に、そこから3つめの曲がり角を右に行くと、『沈まぬ夕日』って宿屋がある。あそこのメシは美味いし、子供に優しいんだ。きっと値引いてくれるぜ。後、串焼き屋のバベンからの紹介っていえば、更に融通してくれるはずだ」

 お、いい情報を持っていたな。

 どうやら、一発目で当たりを引いたようだ。

「ありがとうおっちゃん。また来るよ」

「おうよ!!嬢ちゃんも元気でな!!」

 ニーナはこくりと小さく頷き、俺の後ろについて行く。

 おっちゃんの反応を見るに、小さい子供は好きなようだな。チラチラニーナを見てたし。

 信用しても良さそうだ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい

ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆ 気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。 チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。 第一章 テンプレの異世界転生 第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!? 第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ! 第四章 魔族襲来!?王国を守れ 第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!? 第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~ 第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~ 第八章 クリフ一家と領地改革!? 第九章 魔国へ〜魔族大決戦!? 第十章 自分探しと家族サービス

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

処理中です...