【最弱】の召喚術師【最強】の軍勢につき

雪雪ノ雪

文字の大きさ
27 / 41
第一部 王国編 第一章 迷宮都市インゼル

ダンジョン迷宮②

しおりを挟む
 大通りを歩き、ダンジョン迷宮を囲んでいる城壁に着いた。

 スタンピードが起こった場合市街地に被害を出さないようにするため、街を囲む城壁とは別にダンジョン迷宮を囲んでいる城壁がある。

 街を囲む城壁よりはかなり低くなっており、大体10m程度の城壁だ。

 門は1つしかないのは、ダンジョン迷宮から出てきた魔物を誘導するのと、間違って冒険者以外の人が入らないようにするためだろう。

 今は時間が時間なので、並んでいる人はいないが、朝方は物凄く混むはずだ。

 俺達は門の前にいる受付の男性にギルドカードを見せ、中に入る。

 門を潜ると、正面に扉の着いた洞窟があり、その周りで商売している人々が居る。

 今の時間なら、ほとんどの冒険者はダンジョン迷宮に潜っていると思ったのだが、冒険者も結構いるようだ。

 もしかしたらダンジョン迷宮に潜る為にいるのではなく、商人の護衛としているのかもしれない。

 冒険者ばかりが買いに来るのだ。当然行儀の悪い冒険者もおり、毎日のように問題を起こるのだ。戦闘訓練をまともに積んでいない商人と、毎日のようにダンジョン迷宮に潜り魔物と戦っている冒険者とでは、どちらが腕っ節が強いのかなど一目瞭然。

 護衛として冒険者を雇うのは、当たり前と言えた。

「地図売ってそうな店はあるのか?これ」

 かなりの規模の露店が立っている為、どこに何があるかがさっぱり分からない。

 仕方ない。そこら辺にある店に聞くか。

 俺は、門から1番近かった店にいるおばちゃんに話しかける。

 見た目はおばちゃんというより、おばさんか?まぁいいや。

「ちょっといいか?」

「あら?随分とイケメンのお客さんねぇ」

 頬に手を当て、品定めをするような目で俺を見てくるおばさん。ちょっと辞めて欲しい。

「そりゃどうも。この店にダンジョン迷宮の地図は置いてあるか?」

「貴方達は冒険者なのね。残念ながら私の店では取り扱ってないわ。どうしてもいるって言うのであれば、売ってる店の場所ぐらい教えてあげるわよ?」

 俺は無言でおばさんの店に置いてある、小さい解体用のナイフを大銅貨5枚で買う。情報料だ。

「まいどあり。こっちよ。着いてきなさい」

 おばさんが勝手に歩き始めたので、俺達も慌てて後をついて行く。

「シャールズ。お客さんが地図を欲しいって」

「君の紹介じゃ断れないね......」

 5分歩くと、ひとつの露店に辿り着いた。

 いかにも売れなさそうな品揃えしか、ラインナップされていない。真面目に物を売っている商人からしたら、商売する気あんのかと言われることは間違いないだろう。

 シャールズと呼ばれた男は、ボサホザの全く手入れされていない茶髪を掻きながらゴソゴソと商品を漁る。

「はい、これ。5階層までの地図だ。金貨2枚な」

 手渡された紙をニーナに見せると、ニーナはこくりと頷く。どうやらしっかりとした地図らしい。

 俺は金貨2枚をボサホザ頭の男に渡し、礼を言ってその場を去っていった。

「これでダンジョン迷宮に入れるな。荷物はちゃんと持ったか?」

「それは宿でするべき確認ですよ、マスター。今アレがないコレがないとか言ったら、取りに帰らなくちゃ行けないじゃないですか」

「買えばいいだろ?ここなら、ダンジョン迷宮に入る為のものはなんでも揃うだろ」

「お金がもったいないですよ。節約しないと老後困りますよ?」

「いや、俺もニーナも老いないんだが.........」

 魔族は長寿だが、俺とニーナはそれ以上に長生きできる......はずだ。の結果だとそう出ている。

 多分その気になれば、この世界の終わりを見届けることも出来るだろう。

「例え、老いなくとも節約は必要です。もしマスターが動けない怪我を負ったらどうするのですか?蓄えがないと困りますよ?」

「首から下が動かないとかなら、流石にヤバいが腕が動くなら、書類周りの仕事できるぞ。なんて言ったって第8軍は、書類完璧だからな!!」

俺はドーンと胸を張る。

 基本的に暇な我らが第8軍には、どうでもいい報告書などの書類がよく回ってくる。

 俺もニーナも、こういう仕事はきっちりとやりたいタイプなので、書類ミスなど起こることがないのだ。

 しかも、普通の文官達が捌くスピードよりも早い為、よく助っ人として王城に呼ばれる。

 あくまでも、要請としてお願いされているので、別に行かなくてもいいのだが、報酬は給料とは別途出でるし、何より毎日死にそうな顔をしながら書類を捌く文官達を見ていられないので、余程大事な用がなければ手伝いに行っている。

 魔王円卓会議は俺が居なくても大丈夫だが、書類整理、報告書作成などは俺達がいないと、いや、居ても人手が足りないのだ。

 人員を増やしたいが、教育する時間が無い。なんというジレンマ。

 仮面被った長髪の不気味な奴が、ものすごいスピードで書類を捌いている姿は余りに異質で、文官達からは感謝こそされど、話しかけられることは滅多にない。

 一緒に手伝っているニーナにもだ。

 ニーナには、たまに飴をくれる文官もいるらしいが......

 更には宰相からも、

「もし、怪我などをして魔王軍を辞めることになっても、私が雇うのでよろしくお願いします」

 と言われたのだ。

 ある意味将来安泰である。

「マスター何故か書類仕事完璧ですからね.......こんな出来なさそうな顔してるのに」

「出来なさそうな顔ってなんだよ。と言うか、速度はともかく、ミス連発するやつが多いだけだぞ。特に他部隊に配置されてる文官は」

「マトモなのが、魔王城勤務の文官とゼノンさんの所の文官ですからね.......宰相にはもっと頑張って教育してもらいたいですね」

「全くだ。そのうち文官達から死人が出るぞ?あんな働き方してたら」

 そんな事を話しながら、俺達はダンジョン迷宮の入口にたどり着くのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい

ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆ 気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。 チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。 第一章 テンプレの異世界転生 第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!? 第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ! 第四章 魔族襲来!?王国を守れ 第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!? 第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~ 第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~ 第八章 クリフ一家と領地改革!? 第九章 魔国へ〜魔族大決戦!? 第十章 自分探しと家族サービス

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

処理中です...