【最弱】の召喚術師【最強】の軍勢につき

雪雪ノ雪

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第一部 王国編 第一章 迷宮都市インゼル

冒険者達の防衛戦①

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 1番最初に異変に気づいたのは、ダンジョン迷宮の入口付近で寝泊まりしているもの達だった。

「なぁ、さっきから変な音しねぇか?」

 露店の店番をやっていた男の1人が、同じく店番をしていた男に話しかける。彼らは店の商品が夜中に盗まれないように、雇われた冒険者だ。

「あ?どっかでお盛んな馬鹿がいるのか?」

「そういう音じゃねェよ。もっとこう.........足音みたい──────」

 そこで男の言葉は止まった。男の視線は、ある一点に固定される。

「おい?どうしたんだ?」

「お、おい。あれ」

 男が指を指す方向に振り向くと、カタカタカタ扉を歯と歯を何度も打ち付けながら、まるで笑っているかのように歩いてくる骸骨の集団。スケルトンの群れが、ダンジョン迷宮の入口から出てきていた。

「スタンピードだァァァァァ!!」

 大気を震わす男の声に、寝ていた者たちはは寝起き、男達と同じように店番の依頼を受けていた冒険者達は武器を持つ。さらには検問をしている兵達が集まる。その中の一人は、領主報告に行き、もう1人はこの街の最高戦力である『剛剣』ザリウスを呼びに彼が泊まっている宿へ走っていく。

 他にも、ギルドへの報告、戦えない商人たちを避難誘導する者。

 スタンピードの報告を受けて、街は迅速に動き始めた。

「スタンピードの兆候なんてあったか?」

「いや、なかったはずだ。ギルドも何も言ってない」

 既に防衛陣地を築き上げ、スケルトン達が来るのを待つ冒険者の1人が話す。

 ダンジョン迷宮で起こるスタンピードは、必ず何らかの兆候が見られる。その階層ででてくる魔物が少し変わったり、異常種と言われる本来の魔物から突然変異死体を魔物が現れるようになったり、純粋に迷宮内の魔物の数が多くなるなどの兆候があるのだ。

 しかし、今回はそのような報告を一切耳にしていない。今現在起こっているスタンピードは、少しおかしいと言えた。

「来るぞ!!」

「魔法部隊!!撃てぇ!!ただし撃ちすぎるなよ!!俺たちがやるべきなのは、ギルドからの応援と『剛剣』が来るまでここを持ちこたえることだ!!」

 纏め役の号令と共に、魔法が放たれる。露店にも被害がいくが、商人はそれも織り込み済みなのでここで暴れるようなマヌケはいない。避難一択だ。

 ゴウ!!という轟音と共に、スケルトンに魔法が撃ち込まれ、粉々に砕けていく。そして、その砕けた骨を踏み潰しながら後ろにいたスケルトン達は前進する。

「おいおい数が多すぎねぇか?!魔法ぶち込んでも、次から次へと出てくるぞ!!」

「口動かす前に手ぇ動かせ!!おい!!誰か入口を囲むように土壁アースウォール張れるやつはいねぇか?!時間をとにかく稼ぐんだ!!」

「私、張れます!!」

「限界まで魔力使っていいからやれ!!魔力回復液マナポーションはくれてやるからな!!」

 土壁アースウォールはその名の通り、土の壁を作る魔法だ。中位魔法で、込めた魔力量に応じて壁の大きさを変えることができる。熟練した魔導師ならば、土の塔を作ることすら出来てしまう。

 冒険者の女が土壁アースウォールの詠唱を終え、自身の持てる限界まで魔力を練り上げて魔法を発動する。

土壁アースウォール!!」

 スケルトンの軍勢の下から、土が急激に競り上がりスケルトン達を分断する。高さは3~4m。厚さは1m程の壁だ。

 土壁アースウォールはダンジョン迷宮の入口を囲むように作られ、知能を持たないスケルトンなら突破はできない。

 ................はずだった。

 このスケルトンを動かしているのは、知能ある召喚術師。『最弱』の召喚獣だけで、王国の街を落としに来る『最強』の存在だ。

 この程度で、スケルトン達の歩みを止めれる訳がない。

 スケルトン達は四つん這いになると、その上にさらには四つん這いになり、階段を作っていく。

 その階段はは次第に高くなり、スケルトン達が優に土壁アースウォールを越せるほどの高さになる。

「................なんだと」

 分断されたスケルトン達を処理していた冒険者達は、壁の上に現れたスケルトン達を見て手が止まる。

 知能を持たない魔物が、どうやってあの土壁アースウォールを突破したのか。知能ある魔物が、操っているのか。まだ見えない敵に、思考を巡らせる。

「余計な事は考えるな!!とにかく倒せ!!時間を稼げ!!ここからは白兵戦だ!!」

 余計な思考は、判断を鈍らせる。時間を稼ぎ、ギルドからの応援を待つのが彼らの今の仕事だ。

 冒険者達が、スケルトン達に肉薄する。最弱と言われるスケルトンだ。土壁アースウォールを乗り越えて冒険者を襲い、倒すには数が足りない。

 冒険者達はスケルトンをガラスを割るかのように、破壊していく。質が数に勝る瞬間だ。

「よし、このまま時間を稼げば──────」

 ガラガラガラガラ、と音のするほうを見ると

「ば、馬鹿な........奴らはスケルトンだぞ?!幾ら数が多かろうとこの壁を壊せるわけないだろ!!」

 崩れ落ちた壁の向こうに、スケルトン達が溢れかえっていた。
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