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エルフ国リナルドと暴風龍テンペスト

出発と道のり③

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前回のあらすじ

 何気に馬車の旅って初めてじゃね?



 馬車に揺られる事4日、流石に飽きた。

 エルフ国まであと3日間近くかかるそうだ。

 正直やることが無さすぎてダルい。

 エレナさんの前で魔術研究する訳にもいかないし、だからと言って『亜空間』を使う訳にはいかない。

 なんか面白いこと起こらないかなーと思っていた時だった。

「おや?」

 私の『空間把握』が何かを探知した。

「ご主人様....これは.....」

 少し遅れてアヴェも探知する。

 少し離れた場所に森があるのだが、森の影に20人ほど誰かが隠れている。

 持っている武器や、雰囲気からして恐らく盗賊だ。

「ご主人様、私が処理致しましょうか?」

 エレナさんに聞こえないよう、小声でアヴェが確認してくる。

 エレナさんを不安にさせないように配慮したのだろう。

 エレナさん寝てるけど。

「いや、暇潰しには丁度いいだろ。イン」

(呼びましたかな?)

 インがどこからともなく現れる。

 いつもの事なのであまり驚かないが。

「気づいているだろうが盗賊らしき奴らがいるけど、私が遊ぶから手を出すなよ」

 恐らく向こうの馬車では、シルクさんとクリスさんを除いて全員気づいているはずだ。

 もしかしたらクリスさんは気づいているかもしれないけど。

(分かりましたぞ!!ユニにも言っておきますぞ!!)

「頼んだよ」

 インを見送ると御者しているワークスさんに馬車の中から話しかけた。

 4日も御者しているためか少し顔が疲れている。

 後で疲れを癒す紅茶でも飲ませてあげるか。

「ワークスさんワークスさん」

「ん?どうした?トイレか?」

「.......少しはデリカシーを持った方がいいよ?じゃなくて、この先に盗賊がいるんだ」

「......何?」

 少し殺気を含んだ返事をするワークスさん。

 この人汚い事は嫌いそうだからな。

「そう殺気を出さないでよ。エレナさんに気づかれるよ?」

「.....そうだな。エレナを不安にさせるのは本意じゃない」

「多分襲って来るだろうから、ワークスさんはエレナさんを守ってあげてね。私が相手するから」

 にんまりと笑う。

 最近は平和だったからね、たまには殺し合いもしたい。

「......お前ちょっとイカれてるな。どんな生き方したらそんな顔できるんだ?」

「そう?」

「お前が良い奴だとは知っている。が、殺し合いの話をしているお前はお前じゃない。人が変わっている」

「まぁ、否定はしないかな」

 そりゃあ、ほぼ毎日名付きのドラゴンとタイマン張って殺し合いしてればおかしくなるわな。

 つまりあのジジィが全部悪い。
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