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第2章 静かなまなざしで、未来を見守る
第35話:新しい仕事と静かな気づき
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龍児の一日は、午前中のマンション清掃から始まる。社長の所有するマンションの管理人として、廊下や階段、ゴミ置き場などを丁寧に掃除するのが日課だった。そして夜は、十八時から二十三時まで外国人クラブで洗い場とボーイの仕事をこなしていた。
そんなある日、昼食の後に社長から新しい仕事を頼まれた。「風俗店の清掃もお願いできるかな。お姉さんの部屋じゃなくて、事務所や倉庫、店の前を中心に、二時間くらいでいいから」と言われたのだ。
龍児は昼過ぎから夜までの時間を持て余していたこともあり、ちょうど他のバイトを探そうかと考えていた矢先だった。姉の美奈子が働く店でもあるため、毎日顔を合わせられるのも嬉しく、二つ返事で引き受けた。
その日から新しい業務が始まった。店の前を掃除していると、車椅子に乗った男性が近づいてきて、龍児に声をかけた。
「このお店は、障害者でも利用できますか?」
突然の質問に少し驚いた龍児だったが、すぐに支配人に確認しに行った。すると、姉の美奈子が対応してくれることになり、龍児はその男性を店内まで案内することになった。
店の入り口まで車椅子を押し、段差の前では肩を貸して、最後は抱きかかえるようにして玄関まで運んだ。男性は片方の足が不自然な向きになっていて、歩くことが非常に困難そうだった。龍児は「この店が一階の路面店で本当に良かった」と心から思った。
もしこれがエレベーターのない雑居ビルだったら、利用は難しかっただろう。龍児はその場で「障害者専門のサービスがもっとあってもいいのでは」と感じ、持っていたメモ帳にその考えを書き留めた。
美奈子が丁寧に対応してくれたことで、男性も安心した様子だった。龍児は、こうした身体に障害のある方々に対して、お姉さん方がどう接するべきかを学ぶ機会があれば、もっと誇りを持って働けるのではないかと考えた。
社長がよく「この仕事をもっと胸を張れる職業にしたい」と愚痴をこぼしていたことを思い出しながら、龍児は「こういう対応こそがその第一歩なのかもしれない」と感じた。
障害があっても、人は誰しも心を通わせたいし、誰かと触れ合いたいという気持ちを持っている。龍児は「障害者だって、当然そういう感情はある」と思いながら、その日の出来事を帰宅後、日記に詳しく書き記した。
それは、彼にとって衝撃的でありながらも、静かに心を動かされた一日だった。新しい仕事の中で出会った一人の客が、龍児に社会のあり方や人の尊厳について考えるきっかけを与えてくれたのだった。
そんなある日、昼食の後に社長から新しい仕事を頼まれた。「風俗店の清掃もお願いできるかな。お姉さんの部屋じゃなくて、事務所や倉庫、店の前を中心に、二時間くらいでいいから」と言われたのだ。
龍児は昼過ぎから夜までの時間を持て余していたこともあり、ちょうど他のバイトを探そうかと考えていた矢先だった。姉の美奈子が働く店でもあるため、毎日顔を合わせられるのも嬉しく、二つ返事で引き受けた。
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もしこれがエレベーターのない雑居ビルだったら、利用は難しかっただろう。龍児はその場で「障害者専門のサービスがもっとあってもいいのでは」と感じ、持っていたメモ帳にその考えを書き留めた。
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