25年間の闘いー奪われた恋、奪い返す命ー

しらかわからし

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第3章 過ぎゆく温もり:王の側室となった彼女へ

1-3話 アリーナとグレッグの生活(別れと再出発)

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アリーナの家での生活は、グレッグにとって穏やかな日々だった。
朝はパンとスープ、夜は簡素ながら温かい食事。
誰かと同じ屋根の下で過ごすことが、これほど心を落ち着かせるとは思っていなかった。
部屋は狭く、仕切りも簡素だったが、互いに気を遣いながら過ごすことで、居心地の悪さは感じなかった。
アリーナは仕事に出かけ、グレッグは屑屋の仕事を続けながら、古本屋で薬草の文献を読み漁った。

ある日、グレッグが帰宅すると、アリーナが洗濯物を干していた。
夕陽に照らされた彼女の横顔は、どこか遠くを見ているようだった。

「グレッグ、少し話せる?」
「はい、どうしましたか?」
「両親から手紙が届いたの。来週には帰ってくるって」

グレッグは静かに頷いた。
この生活が長く続くとは思っていなかったが、いざ終わりが近づくと、胸にぽっかりと穴が開いたような気がした。

「短い間だったけど、ありがとうございました。助かりました」
「私こそ、久しぶりに誰かと一緒に過ごせて嬉しかった」

その夜、二人は少し長く話をした。
故郷のこと、学校の思い出、そしてそれぞれの未来について。

「グレッグは、これからどうするの?」
「屑屋の取引場で知り合った女主人の家に、少しだけ居候させてもらう予定です」
「そう……元気でね」

翌朝、グレッグは荷物をまとめた。
といっても、持ち物は少なく、布袋一つに収まるほどだった。
玄関で靴を履いていると、アリーナがそっと鍵を差し出した。

「また困ったら、いつでも来て。鍵は持ってていいから」
「……ありがとうございます」

グレッグは深く頭を下げた。
それは、感謝と別れの挨拶だった。

彼は言葉にならない思いを抱えながら、空を見上げた。
ベルリンの空は、どこまでも高く、どこまでも遠かった。

つづく
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