異世界召喚された俺はスローライフを送りたい

一章:冒険の始まり

十二話:おっさんは追われる

俺はいつもの宿屋へ入り、部屋を借りてベットへ横たわる。

「いや～…今日も疲れたな。でも色々と進歩もあったし、こき使われていたあっちの世界よりかなりマシだな」

俺は実際かなりこの世界を楽しんでいる。
街も賑やかで、みんな優しく接してくれる。日本のように堅苦しくなく、フレンドリーだ。自然もめちゃくちゃ綺麗だった。確かにモンスターと戦ったりするのは痛いし疲れるが、それでも楽しい。

別に俺は戦闘狂ではない。
単純に自分が強くなっている事に対して喜びを感じているだけだ。
誰かに縛られることもなく、自由に行動できる。
日本にいた頃とは大違いであった。

「さて、そろそろ寝るか」

俺が眠りにつこうとすると誰かがドアをノックした。

コンコンッ

ドアを開けると男達が立っていた。

『俺達はレソル様の命令により伝言を伝えに来た。何でもお前をレソル様の配下にしてくれるそうだ。ありがたく思えよ』

そんなの聞いていない。
せっかく自由になり、楽しく人生を歩み始める事が出来たと言うのに、また誰かの下につくなんてごめんだ。それがあの偉そうな貴族の下につくというなら尚更だ。
俺は迷う事も無く、即答した。

「お断りします。せっかく1人で楽しくやって言ってるので、誰かの下にはつきたくないです」

そういうとリーダーらしき男が剣を抜いた。

『貴様に拒否権はない。これは命令だ。貴様にはこれからレソル様の屋敷に来てもらう。くれぐれも逃げようなどと馬鹿な事を考えるんじゃないぞ』

そう言うと俺は無理やり部屋から引っ張り出され、屋敷へ連れていかれることになった。

しかし俺はあの貴族の下につくなど、死んでも御免だ。
どうやって逃げようかと考えていると、前方に人混みが見えた。

俺は人混みに入ったタイミングで全力で人混みに紛れ逃げた。

『おい！男が逃げたぞ！追え！これはレソル様の命令だ！失敗は許されないぞ！』

男達は剣を抜き俺を追ってきた。
俺は必死で逃げたが瞬発力と筋力が低いせいなのか、走るのがかなり遅い。
入れはすぐに追いつかれてしまった。

『おい！お前ら麻痺の毒矢を射て！麻痺させればこっちのもんだ！』

そい言われて男の部下の1人が矢を放つ。

「ぐっ…」

当たりはしなかったが、腕を掠めた
しかしここで捕まれば最悪殺されるかもしれないと思ったので、走り続けた。

しかし何故か矢を放った後から男達が追ってこない。
諦めたのかもしれないが俺は走り続けた。

捕まったら死ぬ。
俺は死に物狂いで走り続けた。

(街に中に居たら見つかるかもしれない…そうだ、あの森へ行こう。あそこなら普通の奴らは入ってこれないから安全だ)

俺は町の門番にもう暗いので町の外は危険だと言われたが、無理やり出て行った。

(しかし奴らは一体何でいきなり追うのをやめたんだろう)

そんな疑問を抱きつつ、俺は森へ向かって走った。



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『馬鹿野郎！！あれは麻痺矢じゃねぇだろうが！あの矢は呪いの箱の中に入ってた矢だろうが！なんであの矢を射ちやがった！』

『す、すまないでヤンス…間違って射てしまったでヤンスよ…親分、どうか許してほしいでヤンスゥ！』

翔平に麻痺のやでは無く【呪いの矢】を打ってしまったことに気づいた男達のリーダーは矢が翔平をかすった瞬間、追うのをやめた。それには理由があった。

『糞が…あの矢を国王に献上すれば、俺達はS級冒険者になれたかもしれないのに！糞がぁ！』

そう言って俺達のリーダーは弓矢を翔平に射った男の首を切り落とした。

男が間違って射ってしまった矢は【煉獄の呪矢】、彼等Aランク冒険者で最近Aランク冒険者パーティ50人でダンジョンへ挑み、やっと手に入れた代物だった。

【煉獄の呪矢】は呪矢の中で最も危険な矢と言われており、生と死の狭間を何時間も彷徨う程の激痛と苦しみを得た後、死に至ると言う恐ろしいやであった。

そのあまりの威力に、戦争時に重宝されるので男達はこれを王に献上し、Sランク冒険者になろうとしていたのだが、その矢を手下の男打ってしまったのだ。

『畜生、矢は一度当たるとその効力を失うらしいからもう使い物にはならねぇ…あの男もそのうち死ぬだろう。あぁ、糞ったれ！これじゃ貴族の依頼も達成できないだろうが！』

それほど恐ろしい矢を射たれたことも知らず、翔平は森へ向かって走り続けるのであった。