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第1幕 桜と紫苑
第3話 行き場を無くした想い
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その場で動けなくなってしまった私に、まだ自分だって受け止めきれていないであろう優人の母が泣きながら私を心配する声が聞こえ、震える手でもう一度スマホを耳にあて意を決して気になることを伝える。
「…あ、あの…何故私に?……その、私たちもう…。」
思った以上に震える声、出しずらい声、言い難い言葉に、息が苦しくなる。
別れている
その一言を言えない。それは、別れることに私が納得していないから。3ヶ月前に別れてから、私の生活は、表面上はいつも通りの生活を送っているが、感情の起伏が少なく、つまらないものになってしまっている。
ただ時間が過ぎていくだけ。
ただ生きているだけ。
まるで、ベルトコンベアの上を流れる物のように過ごしているだけだった。
優人は私に別れを告げた後、完全に消息を絶った。
電話もメッセージアプリもSNSも…更には住んでいた自宅は既に退去していて、何もかも綺麗さっぱり、最初から存在していなかったかのように私の前から消えた。
そこまで嫌われてしまったのかと苦しくなった時もあった。
だけど、別れを告げる直前まで…いやその瞬間だって、優人から嫌悪感を感じなかった。
あの時感じたのは、罪悪感と後悔だけ。
だから私は……
時間も遅いこともあり、明日…と言っても数時間後だが、優人の母と話をすることを約束して電話を切った。
電話を切った途端、今迄の思い出が溢れ出て、涙が止まらなかった。
3ヶ月経った今でも、私は優人のことが好きだ
好きなのに…
「何で死んじゃったのよ、バカ…」
もう行き場を無くした気持ちをどうしたらいいのか分からず、ただただ泣き続けた。
「…あ、あの…何故私に?……その、私たちもう…。」
思った以上に震える声、出しずらい声、言い難い言葉に、息が苦しくなる。
別れている
その一言を言えない。それは、別れることに私が納得していないから。3ヶ月前に別れてから、私の生活は、表面上はいつも通りの生活を送っているが、感情の起伏が少なく、つまらないものになってしまっている。
ただ時間が過ぎていくだけ。
ただ生きているだけ。
まるで、ベルトコンベアの上を流れる物のように過ごしているだけだった。
優人は私に別れを告げた後、完全に消息を絶った。
電話もメッセージアプリもSNSも…更には住んでいた自宅は既に退去していて、何もかも綺麗さっぱり、最初から存在していなかったかのように私の前から消えた。
そこまで嫌われてしまったのかと苦しくなった時もあった。
だけど、別れを告げる直前まで…いやその瞬間だって、優人から嫌悪感を感じなかった。
あの時感じたのは、罪悪感と後悔だけ。
だから私は……
時間も遅いこともあり、明日…と言っても数時間後だが、優人の母と話をすることを約束して電話を切った。
電話を切った途端、今迄の思い出が溢れ出て、涙が止まらなかった。
3ヶ月経った今でも、私は優人のことが好きだ
好きなのに…
「何で死んじゃったのよ、バカ…」
もう行き場を無くした気持ちをどうしたらいいのか分からず、ただただ泣き続けた。
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