スキル「奴隷化」をはね返され、ヤンデレなスライムの奴隷になった!

倉持コウスケ

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第4話 盗賊発見

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 この一週間、この森から出たいと思っていたが、出ようとすると、スライムの意にそぐわないらしく、頭痛がする。

 そのためひたすら、スライムのご機嫌取りをした。
 スライムの信頼を得ないと、自由に動くことができない。

 目覚めると、俺はナー・ザルを両肩と頭にのせて、適当なモンスターを探しにいく。
 今日は真っ黒な狼みたいな化け物がいたので、ナー・ザルに攻撃させ、しとめた。

 それを苦労して運び、スライムのそばに寝かせる。

 スライムをなでて起こす。
 スライムはすぐそばにある、黒い狼の死骸を体で覆い、食事を始める。

 またこのスライムは水浴びが好きらしい。
 俺はスライムと川に行き、そこの水でサブサブ洗ってやった。スライムは気持ちよさそうにしている。

 畜生!
 何で俺がこんなことをしないといけないんだよ! クソッ! クソッ! クソッ! クソッ! おかしいだろうが!

 それにさ、毎日食べ物をあげてるせいか、このスライム、ちょっと太ったんだよなあ。むかつくなあ。
 まるでぐうたらな中年親父じゃねえかよ。奴隷じゃなくなったら、絶対蹴りいれてやるからな。
 腹立つわぁ。

 俺は川から上がったスライムを、モンスターから奪った白い布で、拭いてやった。スライムは気持ちよさそうにしている。
 ビンタしてやろうか、と思って、手を上げようとしたら頭痛。クッ! なんたる屈辱!

 俺はナー・ザルを肩と頭にのせ、象ほどの大きさの狼・アカに乗って、移動を始めた。

 スライムは、当然のように、俺の前にデンと座っている。

「なあ、スライムさん、そろそろ森を出て、人間のいる町に行きませんか? きっと、おいしいものが一杯ありますよ?」
 俺はまっすぐ進もうとする。
 森を出たいのだ。

 頭痛がする。
 スライムは森から出る気はないらしい。
 この森には人間がまったく来ない。このままじゃあ、スライムの奴隷として、青春を過ごす羽目になる。そんなのごめんだ。

 俺は目を見開いた。
 衝撃を受けた。
 なんと、人間の死体があった。

「スライムさん、死骸です。死骸好きでしょ? だから降りて、調べますよ」

 俺はアカの背中から降りて、その男性の死体を調べる。
 粗末なこげ茶色の服を着ている。三十前半、人相はよくない。

「うぅ」
 男がうめき声を漏らした。
 生きてる!

 これはいろいろな意味でチャンスだ。

「奴隷化!」

 男の下に、紫色の星が現れた。

名前:ソコン
HP    :90/90
攻撃力  :90
守備力  :30
魔法攻撃力:10
魔法防御力:50
スキル  :かぎ開けLv1 強奪Lv1
状態   :瀕死

 どうやら盗賊らしいな。
 なんでこんなところに? 町で盗みをして逃げてきたのか?

 そうだ! こいつをスライムに食わせればいい。で、「人間おいしい!」ってなれば、町に近づけるじゃん! これだよ!

 俺は気の毒だが、盗賊ソコンさんに死んでもらうことにした。石で頭を強打する。状態が死亡になった。

「スライムさん、えさです」

 スライムはアカの背中からぴょん! とジャンプして、ソコンを覆うように広がった。

「このあたりに盗賊のアジトがあるかもしれないな。奴隷化は人間に使えた。盗賊連中全員を奴隷にできれば」

 その盗賊たちに、奴隷化を解除できる人間を呼んでもらえばいい。

「スライムさん、えさを探してきます。逃げませんよ? いいですね、えさを探してきますからね」

 俺は憎きスライムから離れて、あたりを捜索する。

 俺は奴隷化という凄まじい能力を持っているが、それだけだ。探索は簡単じゃない。

「ナー・ザルたち、捜索を手伝ってくれないか」

 ナー・ザルたちにイメージを送り、あたりに散らした。

 何時間も歩くが、洞窟や小屋など、それらしきものは見当たらない。

 スライムのいる場所に戻る。
 俺は奴隷であるせいか、主であるスライムの場所が、方向音痴であるにもかかわらず、必ずわかる。
 最低な能力だ。できれば迷子になりたいんだけどな。

 スライムは盗賊を食べ終わっていた。骨も残っていない。

 満足そうな顔をしている。顔ないけども。
 人間はおいしいらしい。

「キーッ!」
 深緑色のナー・ザルたちが戻ってきた。
 一匹が頭に乗り、嬉しそうに鳴いている。

 イメージが流れ込んでくる。
 洞窟。
 その前に背の高い雑草。
 その影に大柄な男がいる。監視だろう。

「よくやったぞ!」
 腕にのせて、撫でてやると喜んで飛び跳ねた。

 スライムがなんと、撫でてほしいイメージを送ってきた。撫でてやる。すると喜んだ。
 こいつも撫でられるのが好きなんだよな。

 それよりも盗賊だ。
「スライムさん、おいしい人間のえさが、山ほどありますよ。いきましょう」
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