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第23話 封じ師
しおりを挟むなんでェェェェ! なんでこの大福スライムは黙ってるんだよ!
早く何とか言えよ! 怖いんだよ!
お前にとっては大したことじゃないだろうが! そうなんだ、でいいだろうがよ! 考え込むことがあるか? なにもないよ!
わかった、いいよ、で認めてよ!
「ヌカタ」
ひぃぃぃぃぃ! ちょっと怒ってる感じ? 言い方が少し冷たい! もう嫌だよぉ。やっぱり言わない方がよかったんじゃないかなあ。言ってよかったのかなあ。
「ヌカタの私への愛情は、私の奴隷だからなの?」
愛情なんてさっぱりないわ!
「違うよ。全く違う。俺の愛情を信じてるんでしょ?」
「うん。信じてる。でも『関係創造』なんて魔法、使えるって知らなかった」
「ずっと、言えないで苦しかった。この秘密を話したら、俺の愛情も、アンズ自身の愛情も、信じてくれないんじゃないかって。でも! アンズと、ちゃんとした関係になりたいんだ!」
演技をするつもりはなかったよ。
でも不安や恐怖で、涙が流れてきた。
まあいいか。いい演出よ。
「アンズ、二人の状態異常を解こう。本当の恋人になろう!」
頼む! マジで納得してくれ! 奴隷って状態のままじゃあ、この化け物から逃げられないんだよ!
「わかったよ、ヌカタ。そんな状態なら、なんとかしよう。私とヌカタの愛情は、真実のものだって証明しよう!」
うるせえ、バカ。
「そうだね。そうしよう。ごめんね、ずっと秘密にしていて」
「ほかに秘密はない? これだけ? 浮気とかしてない?」
「してないよ。アンズ一筋だ」
「じゃあ許す! もしも浮気だったら、その相手もヌカタも、食べちゃってからね!」
かわいい声で言うが、恐ろしさしか感じない。だってこいつ、本当にやっちゃうタイプだもん。
呪術師のレイアに全部話したことを説明しに行った。
「わかった」
茶髪のレイアは、畳に寝転がり、マッサージ師に腰をもませていた。
こいつはいいな、気楽で。
「相手の同意があれば、私と、お姉ちゃん二人でかかれば、その奴隷状態ってのはなくなると思う。でも、アンズは強い愛情をヌカタに持ってるでしょ? 逃げられないと思うよ」
「俺には奴隷化がある」
「アンズには魔法反射があるでしょう」
「俺の奴隷化はレベル10だ」
「アンズの魔法反射はレベル6だったよね? 失敗する可能性はあるよ?」
「あるの?」
「レベルが5違ってれば、確実に成功する。でも、4違いだと、10%の確率ではね返されるよ」
「じゃあどうすればいいんだよ。徐々に冷める演技をすればいいわけ?」
「危ないんじゃないの? アンズみたいなモンスターを野に放ったら、とんでもないことになるよ」
「助けてくれよォ!」
「魔法反射をまず、封じたら?」
「そんなことができるのか」
「封じ師に頼めばいいじゃ」
よし、またアンズをだまして旅行に行こう。
そのスキル封じ師に依頼し「魔法反射」を封印、奴隷状態を解除して、スキル「奴隷化」を発動。
こうすれば俺は無敵のモンスターを従えた、最強の存在になれる。
魔物に困ってる人たちを、アンズの力をうまいこと利用して助けて、ぬくぬくと暮らせばいい。
完璧なプランだ!
「スキル封じ師で、腕のいい奴を知らないか」
「知らないこともないけど。あ、そこっ」
レイアはマッサージ師に背中をもんでもらっている。
「教えてくれ、誰だ」
「シースヤって若い女がいるんだけどさ、彼女が相当のやり手だって聞いてるよ。ドラゴンの討伐にも参加したらしい」
「ほう。ドラゴンのスキルを封じられるなら有望だな。居場所は」
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