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第四章 ミリオネア
05 ミリオネア(1)
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「どうなってるんだ?」
「さぁな」
オルグがえらく楽しそうに話す。
ミリオネアに着いてから、精霊達がウルフレッドの頼みに全く力を貸してくれない。
ミリオネアで見る精霊達の力は、不思議なものだった。
人が持つ魔力とは違い、何もない所に水が現れたり、火が灯ったりするのはとにかく面白い。
「グラスに水を入れて欲しいけど、頼めるかな?」
そう言って魔力を空中に流すと、グラスに溢れんばかりの水が現れ
「出来れば冷たい方がいいので、少し凍らせて貰える?」
また頼むと、今度はグラスから溢れた水まで凍り付く。
加減を知らない所が、小さな子どもと遊んでいるように感じるが、この不思議な現象は面白かった。
「お前さん、精霊達と話すのは初めてかい?」
「うん」
「あんたの周りには精霊が沢山いるんだろうね、色々な子が手を貸すとそんな風になるんだよ」
ミリオネアで、宿代わりにした家の女主人が教えてくれる。
「精霊達と何度も話をしている間に仲良くなれば、彼らも加減が分かるようになるだろうさ」
「へぇ、じゃぁこれはどういう事なんだ?」
そう言って、今度はウルフレッドがオルグと同じようにグラスに水が欲しいとお願いするが、、、
シーン。
昨夜、ミリオネアに着いた時から、精霊達がウルフレッドの言葉に全く反応しない。
「おゃ、相性などもあるもんだけど、、、」
「昨夜、灯りを付けて欲しいと頼んだ時も同じだったな」
「えらく嫌われたもんだねぇ」
「よくある事なのか?」
「あまり聞かないけれど、、、相性のいい人達がいるんだから、悪い人がいても可笑しくはないさ」
「相性がいいってのは、“精霊使い”のことか?」
「そうだね、精霊から沢山の力を借りる“精霊使い”や、契約する事が出来る人達だね」
「契約、、、出来る人間がいるのか?」
「この辺りにはいないよ、王族と呼ばれている人達だからね、もっと中心の島に行かなくっちゃ」
「へぇ」
「彼らがいてくれるから私達は精霊に守られて、幸せに暮らせる、、、有難いねぇ」
「ふぅん」
「まぁ、ちょっと面倒だけど、精霊の力が借りられなくても暮らせない訳じゃない、気にする事ないよ」
女主人が離れて行くので、また二人で話し始める。
「ウルが魔力を使えない時が来るなんて思わなかったよ」
「兄上も相性のようなものがあるとは言っていたが、これは違うだろうな」
最初は訳が分からず悪態もついたが、諦めてしまえば自分一人使えなくても、生活が出来ない訳ではない。
「よっぽど嫌われたって事なのかな?」
「兄上も知っていたなら、“精霊使い”に手を出すなと教えてくれればいいのに」
「セリス様も、ウルがそこまで嫌われるような事をするとは思ってなかったのさ」
「全く、、、」
「やっぱり“精霊使い”が原因だと思ってるの?」
「だろうな、他に関わった奴はいない」
「そんなに嫌だったのかな」
「アイツにとっては聞かれたく無い話だった、、、って事なんだろ?」
「どうするの」
「仕方ないな」
「ミリオネアを離れるまでこのまま?」
「そうだな」
「面倒だよ?」
「まぁな」
ミリオネアでは色々な生活の中で、精霊の力を借りている。
調理した食事は町に出ればいくらでも食べられるし、灯りが無くても眠れるが、精霊の力を借りなければ、飲み水だけで無く身体を洗う水さえ手に入らない。
これではいくら自分が側にいても、不便だと思うのだが、ウルフレッドからは適当な返事しか帰って来ない。
「放っておくのか?」
「まぁいいさ」
原因が分かっているのならそれをどうにかすれば良いと思うが、ウルフレッドは、近くにあった棗の砂糖漬けを美味しそうに食べている。
その気の無い彼を動かす事は難しいので、話を変える。
「それで、地図が作れればいいの?」
「と思ってたんだけどなぁ」
ミリオネアの事は、ほとんど知られていない。
千を超える島々を王族と呼ばれる人達が、精霊の力を借りて治めていると言われているが、エルメニアの商船もエルメニアに近い“イビサ島”、トラン王国に近い“リペ島”など、幾つかの島にしか立入りを許されていない。
おまけに許されていない島に入る事は、陸が続いていない以上難しく、どの国もその禁を犯そうとは考えていない。
オルグが共にいるなら、この島にいても全体の地図くらい作る事が出来るかと思ったが、それもここにいると必要なのかと思えてくる。
敵と争うなら、まず相手の事を知る必要がある。
帝国やアッタリアなら、機会があればエルメニアに攻めてくる事も考えられる。
それ故、敵を知る事は大切だし、彼らがどんな民族なのか知っておく必要がある。
だがミリオネアの人々がそんな事を考えるだろうか?
彼らは、ウルフレッド達に傷つけられると全く思っていない。
敵意や悪意のない人に対して、こちらが一方的にその気持ちを持つ事は難しい。
精霊の力を信じていると言っても、ウルフレッドが魔力を使えない訳ではない。
剣や火炎の魔具を身に付けていなくても、自分は持っているし使う事もできる。
だが船に乗る時も、ミリオネアに着いてからも魔具を渡せとは言われないし、気にしている様子も無い。
今の暮らしを有難いと満足している人達が、エルメニアのように魔物のいる国に関心を持つとは考えられない。
「兄上が、ゆっくり楽しんで来いと言った意味が分かったよ」
「必要ないってこと?」
「そうだなぁ」
「それならコレ、どうにかしたら?」
オルグがウルフレッドの空っぽのグラスを指さして言う。
確かにこの国で、精霊の力を借りる事が出来ないのは少々煩わしい。
だが“精霊使い”を説き伏せる方が、もっと面倒になると感じるのは間違っているだろうか?
「さぁな」
オルグがえらく楽しそうに話す。
ミリオネアに着いてから、精霊達がウルフレッドの頼みに全く力を貸してくれない。
ミリオネアで見る精霊達の力は、不思議なものだった。
人が持つ魔力とは違い、何もない所に水が現れたり、火が灯ったりするのはとにかく面白い。
「グラスに水を入れて欲しいけど、頼めるかな?」
そう言って魔力を空中に流すと、グラスに溢れんばかりの水が現れ
「出来れば冷たい方がいいので、少し凍らせて貰える?」
また頼むと、今度はグラスから溢れた水まで凍り付く。
加減を知らない所が、小さな子どもと遊んでいるように感じるが、この不思議な現象は面白かった。
「お前さん、精霊達と話すのは初めてかい?」
「うん」
「あんたの周りには精霊が沢山いるんだろうね、色々な子が手を貸すとそんな風になるんだよ」
ミリオネアで、宿代わりにした家の女主人が教えてくれる。
「精霊達と何度も話をしている間に仲良くなれば、彼らも加減が分かるようになるだろうさ」
「へぇ、じゃぁこれはどういう事なんだ?」
そう言って、今度はウルフレッドがオルグと同じようにグラスに水が欲しいとお願いするが、、、
シーン。
昨夜、ミリオネアに着いた時から、精霊達がウルフレッドの言葉に全く反応しない。
「おゃ、相性などもあるもんだけど、、、」
「昨夜、灯りを付けて欲しいと頼んだ時も同じだったな」
「えらく嫌われたもんだねぇ」
「よくある事なのか?」
「あまり聞かないけれど、、、相性のいい人達がいるんだから、悪い人がいても可笑しくはないさ」
「相性がいいってのは、“精霊使い”のことか?」
「そうだね、精霊から沢山の力を借りる“精霊使い”や、契約する事が出来る人達だね」
「契約、、、出来る人間がいるのか?」
「この辺りにはいないよ、王族と呼ばれている人達だからね、もっと中心の島に行かなくっちゃ」
「へぇ」
「彼らがいてくれるから私達は精霊に守られて、幸せに暮らせる、、、有難いねぇ」
「ふぅん」
「まぁ、ちょっと面倒だけど、精霊の力が借りられなくても暮らせない訳じゃない、気にする事ないよ」
女主人が離れて行くので、また二人で話し始める。
「ウルが魔力を使えない時が来るなんて思わなかったよ」
「兄上も相性のようなものがあるとは言っていたが、これは違うだろうな」
最初は訳が分からず悪態もついたが、諦めてしまえば自分一人使えなくても、生活が出来ない訳ではない。
「よっぽど嫌われたって事なのかな?」
「兄上も知っていたなら、“精霊使い”に手を出すなと教えてくれればいいのに」
「セリス様も、ウルがそこまで嫌われるような事をするとは思ってなかったのさ」
「全く、、、」
「やっぱり“精霊使い”が原因だと思ってるの?」
「だろうな、他に関わった奴はいない」
「そんなに嫌だったのかな」
「アイツにとっては聞かれたく無い話だった、、、って事なんだろ?」
「どうするの」
「仕方ないな」
「ミリオネアを離れるまでこのまま?」
「そうだな」
「面倒だよ?」
「まぁな」
ミリオネアでは色々な生活の中で、精霊の力を借りている。
調理した食事は町に出ればいくらでも食べられるし、灯りが無くても眠れるが、精霊の力を借りなければ、飲み水だけで無く身体を洗う水さえ手に入らない。
これではいくら自分が側にいても、不便だと思うのだが、ウルフレッドからは適当な返事しか帰って来ない。
「放っておくのか?」
「まぁいいさ」
原因が分かっているのならそれをどうにかすれば良いと思うが、ウルフレッドは、近くにあった棗の砂糖漬けを美味しそうに食べている。
その気の無い彼を動かす事は難しいので、話を変える。
「それで、地図が作れればいいの?」
「と思ってたんだけどなぁ」
ミリオネアの事は、ほとんど知られていない。
千を超える島々を王族と呼ばれる人達が、精霊の力を借りて治めていると言われているが、エルメニアの商船もエルメニアに近い“イビサ島”、トラン王国に近い“リペ島”など、幾つかの島にしか立入りを許されていない。
おまけに許されていない島に入る事は、陸が続いていない以上難しく、どの国もその禁を犯そうとは考えていない。
オルグが共にいるなら、この島にいても全体の地図くらい作る事が出来るかと思ったが、それもここにいると必要なのかと思えてくる。
敵と争うなら、まず相手の事を知る必要がある。
帝国やアッタリアなら、機会があればエルメニアに攻めてくる事も考えられる。
それ故、敵を知る事は大切だし、彼らがどんな民族なのか知っておく必要がある。
だがミリオネアの人々がそんな事を考えるだろうか?
彼らは、ウルフレッド達に傷つけられると全く思っていない。
敵意や悪意のない人に対して、こちらが一方的にその気持ちを持つ事は難しい。
精霊の力を信じていると言っても、ウルフレッドが魔力を使えない訳ではない。
剣や火炎の魔具を身に付けていなくても、自分は持っているし使う事もできる。
だが船に乗る時も、ミリオネアに着いてからも魔具を渡せとは言われないし、気にしている様子も無い。
今の暮らしを有難いと満足している人達が、エルメニアのように魔物のいる国に関心を持つとは考えられない。
「兄上が、ゆっくり楽しんで来いと言った意味が分かったよ」
「必要ないってこと?」
「そうだなぁ」
「それならコレ、どうにかしたら?」
オルグがウルフレッドの空っぽのグラスを指さして言う。
確かにこの国で、精霊の力を借りる事が出来ないのは少々煩わしい。
だが“精霊使い”を説き伏せる方が、もっと面倒になると感じるのは間違っているだろうか?
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