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第四章 ミリオネア
06 ミリオネア(2)
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ウルフレッド達がいる“イビサ島”は、エルメニアから一番近い島で、交易はほとんどこの島で行われていた。
その為、ミリオネアからの荷もここに沢山集まり、エルメニアの商船も多数出入りしていた。
数日、島の中を歩き回っては、荷や船を見る為に港に行く。
他の島から集まって来る荷を見ているの楽しかったし、その中にはアッタリアの方に運ぶ物もあり、ミリオネアからアッタリアに行く船を見つける必要もあった。
「ありがとう、助かったよ」
ウルフレッドが港にいた子どもに礼を言って、その子の口に“棗の砂糖漬け”を放り込んでいるのが見える。
「別にそのくらい僕がするよ?」
「気にするな、子どもに寄って頼み方が違うのが面白い」
ウルフレッドは、町中をウロウロして精霊に何か頼みたくなると、その辺りにいる子ども達に声をかけて、その代わりを頼んでいた。
手を借りた子どもには、こうして甘い物を食べさせたり、昼時なら食事をさせるので、最近では子ども達の方から寄って来る。
「程々にしてよ」
「分かっている」
本当に分かっているのか不安になって来る。
昨日などは水が無いからと、滞在している家の裏手に数人の子どもを集めて、一緒に真っ裸で水浴びをしているし、ここでも港にいるの男達に混じって賭け事を始めようとする。
昔から興味を持ったものになら何にでも手を出すし、どんな所にでも入り込んでしまう人だが、そろそろ誤魔化しが効く年齢でも立場でも無くなってきている。
辺境伯は、確かに爵位では伯爵の下になるが、緋色の瞳を持つ者はある意味、王室と同等の力を持つ。
それはエルメニアを造った二人が、ウエストリアの人間だったこと。
王位に就いた人と生まれた土地に帰った人との盟約で、王室が道を誤れば、それを正すのはその力を持った人であるとされていることが関係している。
王室の者であれば知っている事だが、政治の中で動く為には立場を守る事も必要で、セリス様もそろそろ問題だと感じているようだった。
『ライオネルが、もう少し側にいてくれると思っていたんだけどね』
ライオネルは、三年近くウエストリアの屋敷にいて、ウルフレッドに小言を言い続けたが、結局ラングロア家を継ぐためにタルパスの街に戻っていた。
真面目な彼の言う事にはウルフレッドも耳を貸していたが、居なくなってからは相変わらず自由気ままな状態が続いている。
「ウル、アッタリアの方に行く船は見つかりそう?」
「あゝ、だが思った以上に時間がかかるな」
「エルメニアから直接行った方が早いのかな」
「だが、それでは乗せてくれる船は無いからな」
「ティジィスの軍船で、という訳にはいないからね」
エルメニアからアッタリアの方に行くには、“アッタリア”や“トラン王国”と商売をしている商船のみで、サウストリアの軍船は近づけない。
そして余計な問題に関わりたくない商船に、アッタリアに運んで貰う事は難しい。
「今回は諦めるかな」
「いいの?」
「兄上に、“建国祭”が終わるまでには戻って来いと言われている」
「一日でもいいから出席しろってことだ」
「仕方がないな」
「どうせなら剣術試合にも出てみればいいのに」
「そう言うのは、ファーに任せる」
「一度に沢山の人に知って貰える、、、それこそ効率いいだろ?」
昨年の剣術試合でファーレンが優勝したことで、彼の名前はエルメニアに広く知られる事になっている。
「オル、兄上に何か言われたな?」
「そろそろ誤魔化せなくなって来たってことさ」
「面倒だな」
「仕方がないよ、ウエストリアでも流石にもう隠せない、王都でもすぐそうなるさ」
幼い頃から二人であらゆる所に潜り込んだが、ルベス様の体調が悪くなり、彼が領内の色々な場所で表に出るようになってから、今までのように紛れる事が難しくなった。
今までは王都に行っても外壁の外でウロウロしていたが、王都の中に入れば周囲の動向を気にする貴族達を、いつまでも誤魔化していられるとは思えない。
セリス様も妙な噂が出ないうちに、ウルフレッドの立ち位置を決めてしまおうと言う魂胆だろう。
「本当に面倒になって来たな」
「約束したんだろ?」
「約束したわけでは無い、言われただけだ」
「諦めたら? セリス様にそんな言い訳が通じ無いことくらい知ってるだろ?」
「それは分かっている」
ウルフレッドが近くに寄って来た子ども達を座らせ、賭け事で手に入れた果物を食べさせる。
領地にいても良く見る光景で、子どもと言うものは、自分を大切にしてくれる相手を本当に良く分かっている。
セリス様を否定するつもりは無いし、ウルフレッドがそれを望んでいない事も知っているが、彼が領主になればと考えている自分がいる。
だがそれ以上に、ウルフレッドとこのままでいるのも楽しいだろうと思っているのだから、本当にどうしようも無い。
その為、ミリオネアからの荷もここに沢山集まり、エルメニアの商船も多数出入りしていた。
数日、島の中を歩き回っては、荷や船を見る為に港に行く。
他の島から集まって来る荷を見ているの楽しかったし、その中にはアッタリアの方に運ぶ物もあり、ミリオネアからアッタリアに行く船を見つける必要もあった。
「ありがとう、助かったよ」
ウルフレッドが港にいた子どもに礼を言って、その子の口に“棗の砂糖漬け”を放り込んでいるのが見える。
「別にそのくらい僕がするよ?」
「気にするな、子どもに寄って頼み方が違うのが面白い」
ウルフレッドは、町中をウロウロして精霊に何か頼みたくなると、その辺りにいる子ども達に声をかけて、その代わりを頼んでいた。
手を借りた子どもには、こうして甘い物を食べさせたり、昼時なら食事をさせるので、最近では子ども達の方から寄って来る。
「程々にしてよ」
「分かっている」
本当に分かっているのか不安になって来る。
昨日などは水が無いからと、滞在している家の裏手に数人の子どもを集めて、一緒に真っ裸で水浴びをしているし、ここでも港にいるの男達に混じって賭け事を始めようとする。
昔から興味を持ったものになら何にでも手を出すし、どんな所にでも入り込んでしまう人だが、そろそろ誤魔化しが効く年齢でも立場でも無くなってきている。
辺境伯は、確かに爵位では伯爵の下になるが、緋色の瞳を持つ者はある意味、王室と同等の力を持つ。
それはエルメニアを造った二人が、ウエストリアの人間だったこと。
王位に就いた人と生まれた土地に帰った人との盟約で、王室が道を誤れば、それを正すのはその力を持った人であるとされていることが関係している。
王室の者であれば知っている事だが、政治の中で動く為には立場を守る事も必要で、セリス様もそろそろ問題だと感じているようだった。
『ライオネルが、もう少し側にいてくれると思っていたんだけどね』
ライオネルは、三年近くウエストリアの屋敷にいて、ウルフレッドに小言を言い続けたが、結局ラングロア家を継ぐためにタルパスの街に戻っていた。
真面目な彼の言う事にはウルフレッドも耳を貸していたが、居なくなってからは相変わらず自由気ままな状態が続いている。
「ウル、アッタリアの方に行く船は見つかりそう?」
「あゝ、だが思った以上に時間がかかるな」
「エルメニアから直接行った方が早いのかな」
「だが、それでは乗せてくれる船は無いからな」
「ティジィスの軍船で、という訳にはいないからね」
エルメニアからアッタリアの方に行くには、“アッタリア”や“トラン王国”と商売をしている商船のみで、サウストリアの軍船は近づけない。
そして余計な問題に関わりたくない商船に、アッタリアに運んで貰う事は難しい。
「今回は諦めるかな」
「いいの?」
「兄上に、“建国祭”が終わるまでには戻って来いと言われている」
「一日でもいいから出席しろってことだ」
「仕方がないな」
「どうせなら剣術試合にも出てみればいいのに」
「そう言うのは、ファーに任せる」
「一度に沢山の人に知って貰える、、、それこそ効率いいだろ?」
昨年の剣術試合でファーレンが優勝したことで、彼の名前はエルメニアに広く知られる事になっている。
「オル、兄上に何か言われたな?」
「そろそろ誤魔化せなくなって来たってことさ」
「面倒だな」
「仕方がないよ、ウエストリアでも流石にもう隠せない、王都でもすぐそうなるさ」
幼い頃から二人であらゆる所に潜り込んだが、ルベス様の体調が悪くなり、彼が領内の色々な場所で表に出るようになってから、今までのように紛れる事が難しくなった。
今までは王都に行っても外壁の外でウロウロしていたが、王都の中に入れば周囲の動向を気にする貴族達を、いつまでも誤魔化していられるとは思えない。
セリス様も妙な噂が出ないうちに、ウルフレッドの立ち位置を決めてしまおうと言う魂胆だろう。
「本当に面倒になって来たな」
「約束したんだろ?」
「約束したわけでは無い、言われただけだ」
「諦めたら? セリス様にそんな言い訳が通じ無いことくらい知ってるだろ?」
「それは分かっている」
ウルフレッドが近くに寄って来た子ども達を座らせ、賭け事で手に入れた果物を食べさせる。
領地にいても良く見る光景で、子どもと言うものは、自分を大切にしてくれる相手を本当に良く分かっている。
セリス様を否定するつもりは無いし、ウルフレッドがそれを望んでいない事も知っているが、彼が領主になればと考えている自分がいる。
だがそれ以上に、ウルフレッドとこのままでいるのも楽しいだろうと思っているのだから、本当にどうしようも無い。
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