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第5章
01 噂
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「カシム様、魔道具を使っているんだろ?」
「あゝ、まだ学院の中だけらしいけどな」
「やっぱり婚約するって凄いな」
「だよな、ロクサーヌ様と正式に婚約してから変わったよなぁ」
「そうそう、あれだけ魔力調節が苦手だったのにな」
カシムの護衛が数人集まって話をしていた。守るべき人は学院で、今は時間に余裕がある。
「ロクサーヌ様がいるからなのかぁ」
「おいおい、他に誰がいるんだよ」
「だってなぁ」と二人の護衛が顔を見合わせる。
「カシム様が雷電を暴発させなくなったの、アレからだろ?」
「うん、俺もそう思う」
「なんだよ、お前達、何か知っているのか?」
「俺達、見てたんだ」
「カシム様が、雷電を収めたところをさ」
「どう言うことだよ」
二人の護衛が、薬草園で見た事を話す。
雷電を暴発させたカシム様の側にリディア様がいて、二人が話していたら雷電が収まった事、そしてそれ以来、カシム様が雷電を暴発させなくなった事。
「別にロクサーヌ様ではないと言っているつもりは無いけどさ、やっぱりリディア様がいたからじゃないかなぁと思ってさ」
「それが本当ならリディア様がいたからなのか?」
「しかし、社交界が終わってもいないのに帰った相手だろう?」
「おまけにそれ以来、王都にも来てない」
「仲が良かった訳でもないよな」
「まぁ、カシム様は結構気に入っている様に見えたけどな」
「あ、それは俺も思った」
「最初は、ぶつぶつ言っていたけどな」
「確かに」
「、、、俺、結構好きだったけどな。別に変な意味じゃないぞ、でも、俺達のこと空気みたいに扱う人もいるけどさ、普通に挨拶したり、話しかけてくる人だっただろ?」
「うん、カシム様の後ろにいると、挨拶した後とかにも、必ず自分達の方に視線を向けてくれたよな」
「そうそう、ちょっとした事だったけど、やっぱり嬉しかったな」
「わかる、わかる」
「ガルスの獣人がウエストリアに行ったのだって、リディア嬢の事があったからだろ?」
「そうなのか?」
「詳しい話は知らないけど、去年、大熊族の男が問題起こした事があっただろう?」
「あゝ、ナガシア家の奥方の事か?」
「獣人に襲われたって随分騒いでさ、警備に訴えて、ウエストリア伯が収めただろ」
「あれは大変だった」
「下手すれば、ガルスを敵に回しかねない所だったよな」
再婚したナガシア家の奥方は、番として暮らしていた間に沢山の黒曜石を保持していて、それを持って嫁いでいた。
黒曜石には、獣人が魔力を込めてあったので、それを返して欲しいと言う、当たり前の話をしたかっただけなのだが、殺されそうになったとナガシア家が警備に申し立て問題になった。
「それが、リディア嬢と何の関係があるんだ」
「その場にいたそうだよ、ウエストリア伯もさ、襲っていたのでは無いと娘が言うのだから、父親が信用しない訳に行かないとか言ってさ」
「あゝ、言いそうだ」
「結局、色々調べる事になって。黒曜石の事とか表沙汰になってさ、獣人の方にも黒曜石が返却されて、まぁ、ナガシア家の方にも見舞金だの渡したらしいけどな」
「それで殿下達が、ウエストリアに招かれたのかもな」
「いない間、獣人が大人しかったよな」
「そうそう、側近達も居なくなって大丈夫か!? って思ったけど、問題なかったしな」
「なら、リディア様は、ガルスとも交流があるって事か?」
「まぁ、そうなるよな」
「すごいな、そんな方が后妃になってくれるんなら、最高じゃないか」
そうだ、そうだと盛り上がる。
護衛達が休憩の間、何気なく話していたことだったが、悪意が無かった為に、あっという間に広がっていく。
噂話は恐ろしい。
「かもしれない」が、「そうに違いない」になり、「絶対そうだ」に変わっていく、おまけに覚えのない尾ひれまでついて、いつの間にか全く関係ない話になっていく。
「あゝ、まだ学院の中だけらしいけどな」
「やっぱり婚約するって凄いな」
「だよな、ロクサーヌ様と正式に婚約してから変わったよなぁ」
「そうそう、あれだけ魔力調節が苦手だったのにな」
カシムの護衛が数人集まって話をしていた。守るべき人は学院で、今は時間に余裕がある。
「ロクサーヌ様がいるからなのかぁ」
「おいおい、他に誰がいるんだよ」
「だってなぁ」と二人の護衛が顔を見合わせる。
「カシム様が雷電を暴発させなくなったの、アレからだろ?」
「うん、俺もそう思う」
「なんだよ、お前達、何か知っているのか?」
「俺達、見てたんだ」
「カシム様が、雷電を収めたところをさ」
「どう言うことだよ」
二人の護衛が、薬草園で見た事を話す。
雷電を暴発させたカシム様の側にリディア様がいて、二人が話していたら雷電が収まった事、そしてそれ以来、カシム様が雷電を暴発させなくなった事。
「別にロクサーヌ様ではないと言っているつもりは無いけどさ、やっぱりリディア様がいたからじゃないかなぁと思ってさ」
「それが本当ならリディア様がいたからなのか?」
「しかし、社交界が終わってもいないのに帰った相手だろう?」
「おまけにそれ以来、王都にも来てない」
「仲が良かった訳でもないよな」
「まぁ、カシム様は結構気に入っている様に見えたけどな」
「あ、それは俺も思った」
「最初は、ぶつぶつ言っていたけどな」
「確かに」
「、、、俺、結構好きだったけどな。別に変な意味じゃないぞ、でも、俺達のこと空気みたいに扱う人もいるけどさ、普通に挨拶したり、話しかけてくる人だっただろ?」
「うん、カシム様の後ろにいると、挨拶した後とかにも、必ず自分達の方に視線を向けてくれたよな」
「そうそう、ちょっとした事だったけど、やっぱり嬉しかったな」
「わかる、わかる」
「ガルスの獣人がウエストリアに行ったのだって、リディア嬢の事があったからだろ?」
「そうなのか?」
「詳しい話は知らないけど、去年、大熊族の男が問題起こした事があっただろう?」
「あゝ、ナガシア家の奥方の事か?」
「獣人に襲われたって随分騒いでさ、警備に訴えて、ウエストリア伯が収めただろ」
「あれは大変だった」
「下手すれば、ガルスを敵に回しかねない所だったよな」
再婚したナガシア家の奥方は、番として暮らしていた間に沢山の黒曜石を保持していて、それを持って嫁いでいた。
黒曜石には、獣人が魔力を込めてあったので、それを返して欲しいと言う、当たり前の話をしたかっただけなのだが、殺されそうになったとナガシア家が警備に申し立て問題になった。
「それが、リディア嬢と何の関係があるんだ」
「その場にいたそうだよ、ウエストリア伯もさ、襲っていたのでは無いと娘が言うのだから、父親が信用しない訳に行かないとか言ってさ」
「あゝ、言いそうだ」
「結局、色々調べる事になって。黒曜石の事とか表沙汰になってさ、獣人の方にも黒曜石が返却されて、まぁ、ナガシア家の方にも見舞金だの渡したらしいけどな」
「それで殿下達が、ウエストリアに招かれたのかもな」
「いない間、獣人が大人しかったよな」
「そうそう、側近達も居なくなって大丈夫か!? って思ったけど、問題なかったしな」
「なら、リディア様は、ガルスとも交流があるって事か?」
「まぁ、そうなるよな」
「すごいな、そんな方が后妃になってくれるんなら、最高じゃないか」
そうだ、そうだと盛り上がる。
護衛達が休憩の間、何気なく話していたことだったが、悪意が無かった為に、あっという間に広がっていく。
噂話は恐ろしい。
「かもしれない」が、「そうに違いない」になり、「絶対そうだ」に変わっていく、おまけに覚えのない尾ひれまでついて、いつの間にか全く関係ない話になっていく。
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