1 / 4
第1話 BUG RICH
しおりを挟む
バグ。コンピュータを操作したときの意図しない動作を指す。
ある日、研究者が現実世界にもバグがあることを発見した。
現在、現実世界でもバグを利用する者が増えてきている。
「おはよう。」
「ハチ!何が『おはよう』よ!学校に遅れるわよ!早くご飯食べてしまいなさい!」
食パンをかじり、時計を見る。
時計の針は7時40分を指している。
ここから小学校まで20分はかかる。
これから歯磨きと着替えもしなければならない。
完全に遅刻だ。
普通に歩けばの話だ。
歯磨きを終え、パジャマを着替え、ランドセルを背負う。
「行ってきます。」
「行ってらっしゃい!」
玄関を出ると、すぐ近くの電柱へ向かった。
「今日も頼むぜ。」
学校の方角を指差し、くるりと180°背中を向ける。
そのまま後ろに向かって歩くが、電柱と塀の間にランドセルが挟まってうまく進めない。
「準備オッケー。」
その瞬間、引っかかっていたランドセルが外れ、八はパチンコ玉のように学校めがけて高速で移動し始めた。
脚も動かさず、後ろ向きで移動している。
むしろ本人は涼しい顔をしている。
「ここからが少し難しいんだよな。」
校門を目の前――いや、背後にしたとき、少し体を斜めに傾けた。
やがて校門に当たり、止まってしまった。
「あちゃー、失敗か。学校までは一直線なんだけど、校門は少しずれてるから難しいんだよなー。校門も抜けるつもりだったんだけど、もうちょっと練習がいるな。」
校門の前には生活指導の先生が立っていた。
子供たちからはシドー先生と呼ばれ、慕われている。
うん、慕われている。多分。
「こら!熊田!バグは校則違反だって言ってるだろ!」
「せんせー、バグじゃありませーん。グリッチでーす。」
グリッチとは、バグを意図的に利用することだ。
バグは意図しないエラーのことであり、グリッチはそのエラーを利用すること、という違いがある。
「屁理屈はいい!あと5分だぞ!早く教室に入れ!」
シドー先生はくるりと向きを変えた。
「あ、先生、そっちは……」
すると、シドー先生は校庭に空いた穴に引っかかって動けなくなってしまった。
「なんでこんなところに穴が!くそ!動けない!」
「そこ引っかかってバグる人多いんですよね。早く直さないからですよ。」
数分後、応援にかけつけた先生たちによってシドー先生は救助された。
この世界はバグが豊富である。
ある日、研究者が現実世界にもバグがあることを発見した。
現在、現実世界でもバグを利用する者が増えてきている。
「おはよう。」
「ハチ!何が『おはよう』よ!学校に遅れるわよ!早くご飯食べてしまいなさい!」
食パンをかじり、時計を見る。
時計の針は7時40分を指している。
ここから小学校まで20分はかかる。
これから歯磨きと着替えもしなければならない。
完全に遅刻だ。
普通に歩けばの話だ。
歯磨きを終え、パジャマを着替え、ランドセルを背負う。
「行ってきます。」
「行ってらっしゃい!」
玄関を出ると、すぐ近くの電柱へ向かった。
「今日も頼むぜ。」
学校の方角を指差し、くるりと180°背中を向ける。
そのまま後ろに向かって歩くが、電柱と塀の間にランドセルが挟まってうまく進めない。
「準備オッケー。」
その瞬間、引っかかっていたランドセルが外れ、八はパチンコ玉のように学校めがけて高速で移動し始めた。
脚も動かさず、後ろ向きで移動している。
むしろ本人は涼しい顔をしている。
「ここからが少し難しいんだよな。」
校門を目の前――いや、背後にしたとき、少し体を斜めに傾けた。
やがて校門に当たり、止まってしまった。
「あちゃー、失敗か。学校までは一直線なんだけど、校門は少しずれてるから難しいんだよなー。校門も抜けるつもりだったんだけど、もうちょっと練習がいるな。」
校門の前には生活指導の先生が立っていた。
子供たちからはシドー先生と呼ばれ、慕われている。
うん、慕われている。多分。
「こら!熊田!バグは校則違反だって言ってるだろ!」
「せんせー、バグじゃありませーん。グリッチでーす。」
グリッチとは、バグを意図的に利用することだ。
バグは意図しないエラーのことであり、グリッチはそのエラーを利用すること、という違いがある。
「屁理屈はいい!あと5分だぞ!早く教室に入れ!」
シドー先生はくるりと向きを変えた。
「あ、先生、そっちは……」
すると、シドー先生は校庭に空いた穴に引っかかって動けなくなってしまった。
「なんでこんなところに穴が!くそ!動けない!」
「そこ引っかかってバグる人多いんですよね。早く直さないからですよ。」
数分後、応援にかけつけた先生たちによってシドー先生は救助された。
この世界はバグが豊富である。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
月弥総合病院
僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
痩せたがりの姫言(ひめごと)
エフ=宝泉薫
青春
ヒロインは痩せ姫。
姫自身、あるいは周囲の人たちが密かな本音をつぶやきます。
だから「姫言」と書いてひめごと。
別サイト(カクヨム)で書いている「隠し部屋のシルフィーたち」もテイストが似ているので、混ぜることにしました。
語り手も、語られる対象も、作品ごとに異なります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる