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学園に馴染めないと思う
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教師に連れられて、ようやく寮にやってきた。
休日だけに人が多い。
俺は自分の部屋さえ分からないので、教師に案内をしてもらっていた。そんな俺を寮生たちがジロジロと見てくる。
「ここだな」
目的の俺の部屋に着くと、教師はインターホンを鳴らした。二人部屋らしい。
程なくしてドアが開き、なかから同室の生徒がでたきた。
「同室の横山義教、クラスも一緒だから大丈夫だろう」
そう言うと、教師はさっさと帰ってしまった。
俺の説明は?
俺は扉に手をかけたままの横山を黙って見つめた。
玄関リビング台所トイレと風呂が共同で、6畳程の個室があった。俺はリビングに立ち止まってキョロキョロしてしまう。さて、どうしよう?
「あのさ、青山?」
遠慮がちに横山が、声をかけてきた。
「え?あ、うん?」
そうだ、俺は青山だ。
さっきの件があったせいで、背後に立たれると緊張が半端ない。
「記憶、ないの?マジで?」
訝しんで聞いてくる横山の顔を見つめてみるが、俺に対して何かしら邪な気持ちがあるかまでは伺いしれない。
「えーっと、ごめんなにも分からない。お前の名前も知らない。この、学園でのことは全部記憶にない」
分かりやすく簡潔に言うと、横山はわかりやすいぐらいに肩から力を落とした。
「マジか」
軽く舌打ちをされたような気がする。
「とりあえず、座れよ」
言われたが、どこに?
俺が座る場所を探していると、横山は軽くイラついたようだ。
「どこでもいいだろうが」
乱暴に俺の肩に手をかけると、下に力を入れて強引に俺を座らせた。
「うわっ」
俺はペタンと床に座ってしまった。まるで女の子みたいに。今現在の唯一の持ち物であるカバンを抱き抱えた状態で、ずいぶん上にある横山の顔を見た。
「なんだよ、それ」
見上げる俺の顔を見て、横山はまた、舌打ちをした。
そんな態度なのに、横山は俺にコーヒーを入れてくれた。ありがたいことにブラックだ。青山のカバンの中に飲みかけのカフェオレが入っていて、甘ったるくて飲めたものではなく、開封の日数的にも病院に捨ててきたのだ。
俺がブラックを、そのまま飲むのを横山は目を見開いて見ていた。
「ああ、なに?」
何か、おかしなことでもあるのだろうか?
「青山がブラックを飲んだ」
なるほど、そういう事か。可愛いネコはコーヒーはブラックではなく、可愛らしく甘ったるいカフェオレを飲むわけだ。
「それかよ。俺記憶ないから、そーゆーの無理だから好きにするから気にしないでくれ」
俺はまた早口でまくし立てるように言い切ると、コーヒーを飲み干した。
「ご馳走様」
「うわ、すげー」
こんなことでも驚かれるとか、青山ってどんなやつなんだよ。
「俺の部屋って、どっち?」
「そっち」
横山が、指さす方を見ると扉が見えた。どうやらなんでもカードキーで対応するようだ。カードキーは生徒手帳に入っていたので、とりあえず部屋に入ってみる。
意外に普通のスッキリとした部屋だった。
「フリルとかレースとかはないんだな」
俺は安心してカバンを机に置いた。教科書の類は一応揃っているようだ。
確か、風紀委員長に連絡してあるって言っていたよな?
俺は思い出して、再びリビングに戻った。リビングにはまだ横山がいた。
「あ、ゴメン、カップ洗ってなかったな」
テーブルの上に置いたままのコーヒーカップを見て、俺は慌ててそれをシンクに持っていった。
横山のと2つ、洗って食器カゴに並べると、横山が驚きを隠せないという顔をしていた。
「なんだよ」
「青山が、食器を洗った」
それって驚くことなのか?青山ってどんなやつなんだよ。ネコってら女子っぽいんじゃないのか?
「あー、それを言われると非常に困るんだが、俺記憶ないから」
俺がそう言うと、横山は今更ながらに納得したようだ。
「マジなんだ、記憶ないの」
だから、そう言っただろう。なんなんだ、この信用のなさは。
「あのさぁ」
俺は適当にしか説明しなかった教師に内心文句を言いつつも、俺を助けてくれるであろうはずの存在、風紀委員長の所に行きたい。
「さっきの教師が、風紀委員長には連絡を入れてある。って言っていたんだが、風紀委員長の所に連れて行ってもらえないだろうか?」
俺がそう言うと、横山は本気で嫌な顔をしたのだった。
「先に言っておくけど、風紀委員長は青山の事めちゃくちゃ嫌ってるからな」
横山に言われなくても、風紀を乱しまくっていたであろうネコの青山は存在が邪魔だろう。
「風紀を乱していた?」
「それは、もう」
「あー、なんか、すまん」
俺じゃないけど、俺はしてないけど、ものすごく申し訳なく思う。
「ここが、風紀委員長の部屋」
個室らしいドアの前に立つ。このフロアは扉の感覚が広い気がする。
「なんか、広いな」
俺は辺りを見渡した。これだけ広いのに、誰の姿もない。
「ああ、ここは生徒会役員とか風紀の役員とか、成績上位者の部屋しかないからな」
「なるほど」
所謂VIP待遇の生徒が住むフロアか。
横山が説明しつつも、風紀委員長の部屋のインターホンを鳴らす。
しかし、なかなか反応がない。
「休日だもんなぁ、誰か連れ込んでるのかなぁ」
って、おい。風紀委員長なのに連れ込むのか?俺の理解を遥かに超えているのだが。
「青山、顔…」
俺がだいぶ変な顔をしたのだろう。横山が指摘する。だが、記憶がない、というか、藤代昴としては全く理解の範疇を超えているのだ。
この扉の向こうで、さっき俺がトイレでされそうになったことをしている?そう考えただけで気が遠くなりそうだ。
「外出はしてないんだけどなぁ」
横山は、もう一度インターホンを押した。外出しているとネームプレートが赤く光るらしい。今は青く光っているので在室のはずなんだそうだ。
「誰だよ!」
風紀委員長とは思えないほど、ガラの悪い声がして扉が開いた。
「藤代、青山連れてきた」
俺は、扉を開けたやつの顔を見て、頭の中が真っ白になった。
風紀委員長なの?我が弟よ。
休日だけに人が多い。
俺は自分の部屋さえ分からないので、教師に案内をしてもらっていた。そんな俺を寮生たちがジロジロと見てくる。
「ここだな」
目的の俺の部屋に着くと、教師はインターホンを鳴らした。二人部屋らしい。
程なくしてドアが開き、なかから同室の生徒がでたきた。
「同室の横山義教、クラスも一緒だから大丈夫だろう」
そう言うと、教師はさっさと帰ってしまった。
俺の説明は?
俺は扉に手をかけたままの横山を黙って見つめた。
玄関リビング台所トイレと風呂が共同で、6畳程の個室があった。俺はリビングに立ち止まってキョロキョロしてしまう。さて、どうしよう?
「あのさ、青山?」
遠慮がちに横山が、声をかけてきた。
「え?あ、うん?」
そうだ、俺は青山だ。
さっきの件があったせいで、背後に立たれると緊張が半端ない。
「記憶、ないの?マジで?」
訝しんで聞いてくる横山の顔を見つめてみるが、俺に対して何かしら邪な気持ちがあるかまでは伺いしれない。
「えーっと、ごめんなにも分からない。お前の名前も知らない。この、学園でのことは全部記憶にない」
分かりやすく簡潔に言うと、横山はわかりやすいぐらいに肩から力を落とした。
「マジか」
軽く舌打ちをされたような気がする。
「とりあえず、座れよ」
言われたが、どこに?
俺が座る場所を探していると、横山は軽くイラついたようだ。
「どこでもいいだろうが」
乱暴に俺の肩に手をかけると、下に力を入れて強引に俺を座らせた。
「うわっ」
俺はペタンと床に座ってしまった。まるで女の子みたいに。今現在の唯一の持ち物であるカバンを抱き抱えた状態で、ずいぶん上にある横山の顔を見た。
「なんだよ、それ」
見上げる俺の顔を見て、横山はまた、舌打ちをした。
そんな態度なのに、横山は俺にコーヒーを入れてくれた。ありがたいことにブラックだ。青山のカバンの中に飲みかけのカフェオレが入っていて、甘ったるくて飲めたものではなく、開封の日数的にも病院に捨ててきたのだ。
俺がブラックを、そのまま飲むのを横山は目を見開いて見ていた。
「ああ、なに?」
何か、おかしなことでもあるのだろうか?
「青山がブラックを飲んだ」
なるほど、そういう事か。可愛いネコはコーヒーはブラックではなく、可愛らしく甘ったるいカフェオレを飲むわけだ。
「それかよ。俺記憶ないから、そーゆーの無理だから好きにするから気にしないでくれ」
俺はまた早口でまくし立てるように言い切ると、コーヒーを飲み干した。
「ご馳走様」
「うわ、すげー」
こんなことでも驚かれるとか、青山ってどんなやつなんだよ。
「俺の部屋って、どっち?」
「そっち」
横山が、指さす方を見ると扉が見えた。どうやらなんでもカードキーで対応するようだ。カードキーは生徒手帳に入っていたので、とりあえず部屋に入ってみる。
意外に普通のスッキリとした部屋だった。
「フリルとかレースとかはないんだな」
俺は安心してカバンを机に置いた。教科書の類は一応揃っているようだ。
確か、風紀委員長に連絡してあるって言っていたよな?
俺は思い出して、再びリビングに戻った。リビングにはまだ横山がいた。
「あ、ゴメン、カップ洗ってなかったな」
テーブルの上に置いたままのコーヒーカップを見て、俺は慌ててそれをシンクに持っていった。
横山のと2つ、洗って食器カゴに並べると、横山が驚きを隠せないという顔をしていた。
「なんだよ」
「青山が、食器を洗った」
それって驚くことなのか?青山ってどんなやつなんだよ。ネコってら女子っぽいんじゃないのか?
「あー、それを言われると非常に困るんだが、俺記憶ないから」
俺がそう言うと、横山は今更ながらに納得したようだ。
「マジなんだ、記憶ないの」
だから、そう言っただろう。なんなんだ、この信用のなさは。
「あのさぁ」
俺は適当にしか説明しなかった教師に内心文句を言いつつも、俺を助けてくれるであろうはずの存在、風紀委員長の所に行きたい。
「さっきの教師が、風紀委員長には連絡を入れてある。って言っていたんだが、風紀委員長の所に連れて行ってもらえないだろうか?」
俺がそう言うと、横山は本気で嫌な顔をしたのだった。
「先に言っておくけど、風紀委員長は青山の事めちゃくちゃ嫌ってるからな」
横山に言われなくても、風紀を乱しまくっていたであろうネコの青山は存在が邪魔だろう。
「風紀を乱していた?」
「それは、もう」
「あー、なんか、すまん」
俺じゃないけど、俺はしてないけど、ものすごく申し訳なく思う。
「ここが、風紀委員長の部屋」
個室らしいドアの前に立つ。このフロアは扉の感覚が広い気がする。
「なんか、広いな」
俺は辺りを見渡した。これだけ広いのに、誰の姿もない。
「ああ、ここは生徒会役員とか風紀の役員とか、成績上位者の部屋しかないからな」
「なるほど」
所謂VIP待遇の生徒が住むフロアか。
横山が説明しつつも、風紀委員長の部屋のインターホンを鳴らす。
しかし、なかなか反応がない。
「休日だもんなぁ、誰か連れ込んでるのかなぁ」
って、おい。風紀委員長なのに連れ込むのか?俺の理解を遥かに超えているのだが。
「青山、顔…」
俺がだいぶ変な顔をしたのだろう。横山が指摘する。だが、記憶がない、というか、藤代昴としては全く理解の範疇を超えているのだ。
この扉の向こうで、さっき俺がトイレでされそうになったことをしている?そう考えただけで気が遠くなりそうだ。
「外出はしてないんだけどなぁ」
横山は、もう一度インターホンを押した。外出しているとネームプレートが赤く光るらしい。今は青く光っているので在室のはずなんだそうだ。
「誰だよ!」
風紀委員長とは思えないほど、ガラの悪い声がして扉が開いた。
「藤代、青山連れてきた」
俺は、扉を開けたやつの顔を見て、頭の中が真っ白になった。
風紀委員長なの?我が弟よ。
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