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第3話 実習はハードモード
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「新入生の皆さんには、いまからこちらの薬を飲んでもらいます」
職員が前に立って説明を始めた。
ちょっとした、サロンに新入生だけが集められた。今年は全部で13名。平均的な人数らしい。
楽しくお茶をして、和気あいあいとしていたところでのコレだ。
「この薬は『誘発剤』です」
職員がそう言うと、みなの顔に緊張が走った。ただ、誰一人として声をあげないところがいいのか悪いのか?
「ここにいる皆さんは、まだ発情期を迎えていませんね?」
職員が確認するようにみなの顔を見る。誰もが無言で頷いた。誰もがΩの認定を受けてここに来たのだ。第二時成長からの発情期は迎えていない。
「突然の発情期に慌てないように、本日これから発情期を、体験してもらいます」
給仕係が全員の前に皿に乗せられた丸薬を配っていく。初めて見る誘発剤は、白くて丸い。
「疑似体験をするので、一粒だけです」
職員がそう言うけれど、この一粒でどれほどの効果があるというのだろうか?
「飲んでから30分ほどできいてきます。効果は三日から五日ほど、その間は自室にこもることになります。そのために侍従が水分や食べやすい果物を用意してくれています」
それを聞いて安心したのか、小さな溜息にも似た声があちこちから聞こえてきた。
しかしながら、俺はものすごい顔をして出されたの誘発剤を見つめる隣に座るガゼルがきになってしかたがなかった。
平民出身のガゼルは、この突然の幸運にだいぶ戸惑っているようで、常にビクビクしているのだ。それはそれでαからの比護欲を掻き立てるかもしれないけれど、優秀なΩとなるためにはもう少し落ち着きが欲しいところだ。
とりあえず、世話をされることに慣れた方がいい。つまり、この強制発情はガゼルにとってかなりの試練となるだろう。
「ねぇ、ガゼル」
俺はガゼルに声をかけた。
「は、は、はいっ」
ガゼルはだいぶキョドった返事をしてきた。
「そんなに緊張していると、薬のききが分かりにくくなるよ」
「いや、だって…」
ガゼルは緊張の顔から元に戻らない。そりゃ、強制的に発情期を迎えるのは誰だって怖い。しかも、未経験だし。だからこそ、体験をするのだ。みんなで一緒に体験することで、ひとりじゃないって安心もできる。
「みんな初めてなんだよ」
「うう」
「俺も、発情期は未体験。そんなにガゼルが緊張していると、周りも緊張しちゃうじゃないか」
俺がそう言うと、ガゼルは顔を上げた。向かいに座るオウリルがニッコリと微笑んだ。
オウリルは、検査を受ける前からΩだと自覚していたとかで、髪が長い。黒いつややかな髪は手入れが行き届いていて美しい。
「オウリルも?」
ガゼルが優しい笑顔のオウリルに聞く。
「そうだねぇ、僕もまだ発情期は知らないなぁ」
Ωとしての自覚は随分前からあったけど、発情期を迎えたからではなかったらしい。
「はい、こちらを見てください」
職員の声が聞こえて、俺たちは顔を上げた。そして、職員が手にするソレを見て、俺たちは顔がひきつるのだった。
「これはディルドと言います」
三種の性についての授業の時に、サラッと出てきただけの品が目の前に現れた。
反応はまちまちだけど、明らかに動揺している生徒がほとんどだろう。俺も実物を見たのは初めてなので、その作りの、なんだろう?精巧?卑猥?なんにしても、思わず頬が赤くなる代物だった。
「発情期、番のいないΩはこういったものを使用することもあります」
そうは言われても、使うのか?ソレは所謂標準サイズになるのか?いや、まてよ。αの標準サイズってやっぱりβよりでかいのか?
「種類や大きさは色々ありますので、自分に合ったものを購入することをオススメします」
職員がアッサリと言い切った。
チラリと横を見れば、オウリルの顔が若干引きつっているのが分かる。俺はもしかしてと思って、オウリルの耳元で聞いてみた。
「もしかして、持ってるのか?」
オウリルは黙って頷いた。
そうか、そんなものまで用意していたのか、凄いな。
「今回は発情期の体験をしていただくので、皆さんのお部屋に三種類ほどの大きさのものをご用意してあります」
おいおい、随分とサラッと言ったけど、凄いことだぞ。発情期に番のいないΩに、自慰のためのディルドが用意されてるって・・・凄い学校だ。
こんなものまで国費で用意されるって、ある意味凄いなΩ。
俺は呆れつつも感動してしまった。優秀なΩを育てるために、そこに国費を、あてがうなんてすごいことだ。だってそうだろ?どんなディルドを購入するのか、国のお偉いさんが真剣に話し合ったんだろ?そこには学園のΩの意見は反映されているのか気になるところだが。
流行りとかあるのかな?ディルド。今年の最新モデルとか、そんなのがあったらそれはそれで面白いのだが。
きっと今こんなくだらないこと考えてるの、俺ぐらいなんだろうなぁ。
職員の説明はまだ続いていて、潤滑剤の使い方とかそんなのはなしになっていた。
オウリルは少し頬を赤らめているし、ガゼルは目を見開いて驚きっぱなしだ。ガゼル、そんなんで大丈夫なんだろうか?まぁ、平民のΩは、優秀な侍従がつくらしいから、ディルドの使い方も実施で教えてくれそうだ。恥ずかしいだろうけどな。
そんな話を聞いたあと、俺たちは誘発剤を飲んで自室へと戻って行った。
職員が前に立って説明を始めた。
ちょっとした、サロンに新入生だけが集められた。今年は全部で13名。平均的な人数らしい。
楽しくお茶をして、和気あいあいとしていたところでのコレだ。
「この薬は『誘発剤』です」
職員がそう言うと、みなの顔に緊張が走った。ただ、誰一人として声をあげないところがいいのか悪いのか?
「ここにいる皆さんは、まだ発情期を迎えていませんね?」
職員が確認するようにみなの顔を見る。誰もが無言で頷いた。誰もがΩの認定を受けてここに来たのだ。第二時成長からの発情期は迎えていない。
「突然の発情期に慌てないように、本日これから発情期を、体験してもらいます」
給仕係が全員の前に皿に乗せられた丸薬を配っていく。初めて見る誘発剤は、白くて丸い。
「疑似体験をするので、一粒だけです」
職員がそう言うけれど、この一粒でどれほどの効果があるというのだろうか?
「飲んでから30分ほどできいてきます。効果は三日から五日ほど、その間は自室にこもることになります。そのために侍従が水分や食べやすい果物を用意してくれています」
それを聞いて安心したのか、小さな溜息にも似た声があちこちから聞こえてきた。
しかしながら、俺はものすごい顔をして出されたの誘発剤を見つめる隣に座るガゼルがきになってしかたがなかった。
平民出身のガゼルは、この突然の幸運にだいぶ戸惑っているようで、常にビクビクしているのだ。それはそれでαからの比護欲を掻き立てるかもしれないけれど、優秀なΩとなるためにはもう少し落ち着きが欲しいところだ。
とりあえず、世話をされることに慣れた方がいい。つまり、この強制発情はガゼルにとってかなりの試練となるだろう。
「ねぇ、ガゼル」
俺はガゼルに声をかけた。
「は、は、はいっ」
ガゼルはだいぶキョドった返事をしてきた。
「そんなに緊張していると、薬のききが分かりにくくなるよ」
「いや、だって…」
ガゼルは緊張の顔から元に戻らない。そりゃ、強制的に発情期を迎えるのは誰だって怖い。しかも、未経験だし。だからこそ、体験をするのだ。みんなで一緒に体験することで、ひとりじゃないって安心もできる。
「みんな初めてなんだよ」
「うう」
「俺も、発情期は未体験。そんなにガゼルが緊張していると、周りも緊張しちゃうじゃないか」
俺がそう言うと、ガゼルは顔を上げた。向かいに座るオウリルがニッコリと微笑んだ。
オウリルは、検査を受ける前からΩだと自覚していたとかで、髪が長い。黒いつややかな髪は手入れが行き届いていて美しい。
「オウリルも?」
ガゼルが優しい笑顔のオウリルに聞く。
「そうだねぇ、僕もまだ発情期は知らないなぁ」
Ωとしての自覚は随分前からあったけど、発情期を迎えたからではなかったらしい。
「はい、こちらを見てください」
職員の声が聞こえて、俺たちは顔を上げた。そして、職員が手にするソレを見て、俺たちは顔がひきつるのだった。
「これはディルドと言います」
三種の性についての授業の時に、サラッと出てきただけの品が目の前に現れた。
反応はまちまちだけど、明らかに動揺している生徒がほとんどだろう。俺も実物を見たのは初めてなので、その作りの、なんだろう?精巧?卑猥?なんにしても、思わず頬が赤くなる代物だった。
「発情期、番のいないΩはこういったものを使用することもあります」
そうは言われても、使うのか?ソレは所謂標準サイズになるのか?いや、まてよ。αの標準サイズってやっぱりβよりでかいのか?
「種類や大きさは色々ありますので、自分に合ったものを購入することをオススメします」
職員がアッサリと言い切った。
チラリと横を見れば、オウリルの顔が若干引きつっているのが分かる。俺はもしかしてと思って、オウリルの耳元で聞いてみた。
「もしかして、持ってるのか?」
オウリルは黙って頷いた。
そうか、そんなものまで用意していたのか、凄いな。
「今回は発情期の体験をしていただくので、皆さんのお部屋に三種類ほどの大きさのものをご用意してあります」
おいおい、随分とサラッと言ったけど、凄いことだぞ。発情期に番のいないΩに、自慰のためのディルドが用意されてるって・・・凄い学校だ。
こんなものまで国費で用意されるって、ある意味凄いなΩ。
俺は呆れつつも感動してしまった。優秀なΩを育てるために、そこに国費を、あてがうなんてすごいことだ。だってそうだろ?どんなディルドを購入するのか、国のお偉いさんが真剣に話し合ったんだろ?そこには学園のΩの意見は反映されているのか気になるところだが。
流行りとかあるのかな?ディルド。今年の最新モデルとか、そんなのがあったらそれはそれで面白いのだが。
きっと今こんなくだらないこと考えてるの、俺ぐらいなんだろうなぁ。
職員の説明はまだ続いていて、潤滑剤の使い方とかそんなのはなしになっていた。
オウリルは少し頬を赤らめているし、ガゼルは目を見開いて驚きっぱなしだ。ガゼル、そんなんで大丈夫なんだろうか?まぁ、平民のΩは、優秀な侍従がつくらしいから、ディルドの使い方も実施で教えてくれそうだ。恥ずかしいだろうけどな。
そんな話を聞いたあと、俺たちは誘発剤を飲んで自室へと戻って行った。
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