【完結】英雄が番になるって聞いたのになんか違う

久乃り

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第4話 初めての発情なので

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 自室に戻ると、寝室のナイトテーブルには水やくだものが置かれていた。
 くだものはそのままかじりついて食べられるタイプのものがチョイスされていた。
 あとは焼き菓子の類が少し。
 種類が色々あるのは、好みがあるからだろう。今回は体験が目的なので、本当に色んなものが揃えられていた。

 自宅から連れてきた侍従であるから、俺の好みは把握している。にも関わらずこれだけ用意するということは、発情中は味覚も変わる可能性があるということなのだろうか?

 30分ほどで効いてくるというから、とりあえずトイレに行き、気持ちを落ち着かせる。侍従は発情期の間、居間で待機するらしい。
 俺は寝室に入ったら鍵をかけなくてはならないそうだ。βの侍従とはいえど、Ωからの濃厚なフェロモンを浴び続けると誘発される場合があるらしい。

 体温が高くなってきたのを感じたので、俺は侍従に挨拶をして寝室の扉を閉めて鍵を掛けた。
 着ている服を汚したくないので、服を脱ぐ。
 脱いでいる服が触れるだけで体が反応するようになってきた。体温もどんどん高くなってきた気がする。

 服を脱いで、寝間着を着ようとしたけれど、そんなことを冷静にできる余裕が、いきなり無くなってきた。

「はっはっはっはっ」

 呼吸が荒くなって、自分の吐く息がかなり熱いと分かる。そう、熱いのだ、身体が。
 俺は寝間着を着ていないから、全裸の状態だ。
 いや、正確には母上から貰ったチョーカーだけを身につけている。万が一、真逆の事態に備えてチョーカーだけは外すことが出来ない。これだけ大量の若いΩが発情するのだ。α‬がうっかり、なんてことが本当にないなんて言いきれない。

 国の保護下にあるとは言っても、警備しているのは所詮人間だ。絶対なんてないのだ。
 俺はチョーカーが緩んでいないことを確認すると、そのまま寝台に倒れ込んだ。

 シーツのヒンヤリとした感触が気持ちいい。
 熱く火照った身体は、シーツに擦り付けると少しだけ体温が下がったような気がする。
 俺は気持ちよくて全身をシーツに擦り付けるように、寝台の上を転がった。

「気持ち、いい」

 声に出すと、ますますそう思う。俺は頬をシーツに強く擦り付けた。気持ちいい、気持ちいいのだ。
 俺はしばらくそれを続けていた。おそらく、傍から見たらおかしなことだろうけれど、強制的に発情状態になった俺の身体は、熱の発生の仕方がおかしいのだろう。

 いや、俺は発情期をまだ迎えていないから、どれが正常なのか知らない。分からないことだらけだが、確実に言えるのはこれがお試し体験だということだろう。

 落ち着いて冷静に考える頭がまだある。

 だが、下半身はもはやそうでも無いのだと体を動かした時に知った。うつ伏せになっていたので、新しいシーツの感触を求めて寝返りをうったとき、太ももに冷たいものが触れたのだ。

「っあ」

 反射的にそちらを見れば、自分でも信じられないほどに大変なことになっていた。
 俺の分身からはタラタラと雫がこぼれており、後ろからも知らない液体が溢れてきている。
 俺の太ももに触れた冷たいものは、後ろから溢れてきているのだと知った。

「あ…う、そ……だろ」

 俺は恐る恐る自分の手を伸ばし、後ろにそっと触れてみた。知識としては知っていたが、本当に自分の後ろの穴からそんなに液体が溢れてくるなんて、こうして自分の目で見るまでは信じられなかった。

 自分の手にベッタリとつく液体は、決してサラサラとはしていなかった。どちらかと言うと少し粘着質な感じがする透明な液体だ。

 自分では分からないけれど、この液体には俺のΩとしてのフェロモンが大量に入っているのだろう。それだけじゃない、俺の全身からそれの匂いが溢れていて、部屋中に充満しているはずだ。

 強制的に発情しているからなのか、俺はどこか冷静になっていて、それどころか、訳の分からない好奇心がむくむくと湧き上がってきた。

「どうなってんだろ?」

 将来、番となるαに見せることとなる場所を、自分の目で確かめてみたい。
 普通に考えてたら、恥ずかしい話だ。
 こんなことを考えてしまう時点で、もはやだいぶおかしいのだろう。けれど1人っきりなので、この考えがあるおかしい事に俺は気づかないのだ。
 俺は目線をさ迷わせると、ナイトテーブルの上に、普通なら置かないであろう物体が置かれていることに気がついてしまった。

 思わず息を飲んでしまった。

 そっと手を伸ばしてそれを掴みとる。
 間違いなく、それは手鏡であった。
 こんなもの、寝る時に必要な品ではない。
 なのに、何故かナイトテーブルに置かれていた。こんなことは実家にいた頃にはありえない事だった。
 つまり、侍従が用意したのだ。
 今回の発情期に合わせての品揃えなのだから。

「……っく」

 俺は、好奇心と羞恥心の狭間にいた。
 自分の下半身がどうなっているのか見てみたい。と思う気持ちと、そんなはしたない事と思う気持ちが同時にいるのだ。
 普通に考えて、自分の下半身の穴なんて見ないだろう。誰かに見られる見せる、なんてことはあったとしても、自分でなんか見ない。

 どう考えても恥ずかしい。

 恥ずかしいことなのに、俺はどうしても見てみたいのだ。
 この、熱くてたまらない俺の身体は、一体何がどうしてしまっているのどろうか?
 本当にこの液体は、俺の身体から出てきているのか?
 俺は喉を鳴らして鏡を見つめた。

 俺は男だ。

 もし、ご令嬢だとしたら、とんでもなくハレンチな行為で、決して許されることではないだろう。自分の下半身を見るなんて、はしたない。
 だけど、俺は男で、Ωだけど男なのだから、いいと思う。だって、この発情は体験のためのものなのだから、色々確認してもいいと思う。

 言い訳しているようだけど、どうせ誰も見ていない。俺だけが知りうることで、鏡を用意した侍従が鏡の使用目的まで理解しているとは考えたくはない。

 俺は好奇心に負けて、手鏡をゆっくりと足の間に下ろして行った。

 ものすごくハレンチな体勢をしている自覚は、ある。
 恥ずかしいぐらいに脚を開いて、腰を浮かせている。そこにゆっくりと鏡を当てているのだ。日常では絶対に目にしない自分の下半身が鏡に映し出された。

 液体で濡れた下半身は卑猥な光を放っていた。普段隠されている肌は、思いのほか白くて、生まれて初めて見るそこは、想像よりずっとエロかった。

 自分の目で見たかったのは間違いないので、見れてよかったことはよかったのだけれど、そのあまりにもエロくて、卑猥な自分の体に一気に身体が熱くなった。
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