【完結】英雄が番になるって聞いたのになんか違う

久乃り

文字の大きさ
11 / 19

第11話 色々考えてしまう

しおりを挟む
これで一週間とか過ごしたら、死ぬんじゃないだろうか?
 胸だけでこんなに気持ちいいなんて、知らなかった。そして、知ってしまったからには手が伸びてしまう。上と下とを自分で弄ってしまうなんて、はしたないと思う。

 そんなことを思いつつも、欲求が止まることはなく、俺はシーツに身体を預けた。
 高まる体温に対して、シーツは少しヒンヤリして心地よかった。

「ふぅ…気持ち…いいよなぁ…」

 頬をシーツに擦り付けると、なんとも言えない。侍従が変えてくれているのか、シーツから香るのがいつもと違う香りになっている。石鹸ではなく柑橘系だ。

 俺の制服を脱がせて寝巻きを着せたのは、おそらく侍従だ。発情期を、迎えてしまった俺のために香りを変えてくれたのか、はたまたコロンでもまいたのか。
 おそらく、母上が指示をしたのだろう。

 潤滑剤は母上のお気に入りが3本も置かれている。
 確かに、増えたあのエグい形のディルドには、たくさんの潤滑剤を、使ってしまいそうだ。
 たが、俺は今回はとりあえず自分の手で何とかしようと考えている。

 なにしろ、前回ディルドを挿入したままで寝てしまったからな。さすがにちょっと危ないと思う。
 色々と考え事をしているうちに、俺は自分の誤算に気がついた。そう、これは本物の発情期であるのだ。
 体の奥底からたかまる熱が、全くもって予想できないほどに辛い。風邪を引いて高熱が出たかと思うほど、全身が熱いのだ。

「はぁ…あっ……あつ、い…」

 そう言いつつも、自分の息が熱い。
 俺はうつ伏せの状態のまま、ぼんやりとディルドを眺めた。アレを使うのは最終手段ぐらいに思わないと、ダメなんだろうな。なにしろ、一週間近く続くと聞いている。初日からあんなのに頼ってしまったら、後が持たないだろう。

「俺、騎士の嫁にされるのかなぁ」

 母上の話しっぷりから言っても、今回の出兵で、功績を挙げた者にΩが与えられるみたいだ。しかも、あの場にいた全員が俺のフェロモンを嗅いでしまったらしい。
 上位貴族の子弟の俺はまだ一年生だ。戦争が、簡単に終わるものでは無いことぐらい、知っている。

 そもそも、対戦相手の国の王は、他国のΩを奪うために戦争を吹っ掛けていると聞いた。負ければ俺たちはあちらの野蛮な国へと連れ去られるという訳だ。
 まぁ、負けるとは思えないけどな。
 俺は、あの場に沢山いた騎士たちを思った。
 どいつもこいつも、俺よりはるかにでかかった。俺なんか、胸までしか身長がなかった。

「…きっと、デカいんだろぉなぁ…」

 思わず口にしてしまって、恥ずかしくなった。なんちゅう想像をしてしまったんだろう。いや、でも、あれだけ身体が大きかったら、絶対にデカいはずた。

 とりあえず、身近な人で言えば兄上だ。
 一緒に風呂に入ったことがあって、目にしたことはある。引き締まった体で、筋肉が無駄なく付いていて、正しくαとしての見本の様な体躯をしていた。

 さすがにガン見するわけにはいかないから、チラッとみただけたなんだけど、まぁ、有り体に言えば・・・デカかった。

 うん、デカかったなぁ。

 ホント、Ωの俺のは子どもに見える程にデカかった。で、あれが更にデカくなるんだよな。
 ぼんやりとした視界の中で、俺は枕元のディルドを見た。デカいよな、って思ったんだけど、記憶の中の兄上のが膨張したらあんなのになる?

 身内で想像しちゃうなんて、だいぶヤバいんだけど、そんなことを気にすることなんてできない。
 頭ん中がグダグダになってきて、よく言う霞がかかったみたいにぼんやりしていて、あられもないことを平気で考え出す。
 身近なαである兄上で想像してしまう、そんな浅ましい考えをしてもやめることができない。

 式典の時、俺が担当したのは全員αだったはずだ。最前列の役職もちだったからな。
 一人一人の匂いが違うことを知ってしまった。
 匂いが薄い人は、おそらく番がいる人だ。匂いが強かったのは、番のいない人。そう考えると、誰かものすごく刺激的な匂いの人がいた。
 おそらく、その人の匂いを嗅いだからだ。

 俺の発情を誘発した。
 そう考えると、その人が、いいと思う。
 誰かは知らんけど。
 誰なんだろう?
 兄上と、同じぐらい大きかった。たぶん、ても大きくて無骨なんだろうな。剣を握るから、剣ダコなんか、あるんだろうな。

 その大きな手のひらで、身体を撫でられたら、きっと気持ちいいはずだ。熱い皮膚を持つ指が胸を撫で回したら、きっと反応する。
 太い指で摘まれたり、擦られたり、きっと自分でするより力が強くて痛いに違いない。

 って、俺、痛いのが好きなのか?
 違う、違うと思いたい。
 でも、太い指で掻き回されたら凄いことになるんじゃないかと、想像してしまうのだ
 だって、身体が熱くて熱くて、前回なんか比ではないほどに俺の下半身はだらしなくなっている。

 これを自力で乗り越えろとか、ホント無理なんじゃないかと思うんだけど、ホント、何とかなんないのかな?
 ぼんやりとシーツに頬をつけ、腰を高くあげた体勢で耐えていたら、不意に扉が開いた。

「リュート、薬は効いてるの?」
 母上だった。

「く、すり?」

 なんの事だか分からなくて、ぼんやりと母上を眺める。薬なんて、知らない。

「効いていないようね。追加した方がいいわ」
 母上は寝台に腰掛けて、俺の体を起こした。

「抑制剤よ、飲みなさい」
 粒状の薬を2粒口に入れられた。コップの水を受け取って飲み込む。

「倒れた時に口に含ませてはいたのだけど、足りなかったのね」
 なんか、ぽわぽわしていてよく分からない。

「発情の苦しみを抑える薬よ。今回が初めてだから、薬は様子を見ながら飲むことになるわね」

 なるほど、そう言う薬があるから母上がいるわけだ。飲みすぎると良くないのかな?やっぱり。
 水を飲んだからか、喉の辺りは少しだけ楽になった。

「体液が沢山出るのだから、水を沢山飲みなさいね」
 母上はそう言って部屋を出ていった。

 なるほど、水分取らないと危ないのか。
 しかし、体液。
 まぁ、沢山溢れ出ているのは自覚してますけど、それのために水分補給って、露骨じゃね?
 薬があることを知って、とりあえずほっとした。あとは薬が俺に合うかどうかなんだろう。

 この発情期が終わったら、ちゃんと聞こう。
 薬のせいなのか、俺は体は熱いけど、眠くなってそのまま眠ってしまった。

 目が覚めたら、薬が2粒置かれていた。よく分からんけど、また飲み込む。果物をゆっくりと食べたけど、味がよく分からない。タチの悪い風邪をひいたときみたいだ。
 水も飲んで、パタリと倒れ込むと、ディルドが真横にあった。

 「ま、まだ、使わないかな」

 もう少し、耐えてみよう。薬のおかげか、欲が薄くなった気がする。自己判断だけど、明日辺りがきつそうだと思っている。
 今日は何も考えないようにしよう。
 俺は自分で自分を抱きしめるようにして、枕を抱え込みじっとすることにした。

 「枕、長い方がいいな」

 足が寂しい。
 でも、今更足に枕を挟むのも煩わしくて、そのままにしてしまった。
 頭の中では、あの匂いを思い出している。
 あの匂い、誰なんだろうな。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが

松林 松茸
BL
私は「南 明日香」という平凡な会社員だった。 ありふれた生活と隠していたオタク趣味。それだけで満足な生活だった。 あの日までは。 気が付くと大好きだった乙女ゲーム“ときめき魔法学院”のモブキャラ「レナンジェス=ハックマン子爵家長男」に転生していた。 (無いものがある!これは…モブキャラハーレムを作らなくては!!) その野望を実現すべく計画を練るが…アーな方向へ向かってしまう。 元日本人女性の異世界生活は如何に? ※カクヨム様、小説家になろう様で同時連載しております。 5月23日から毎日、昼12時更新します。

転生して王子になったボクは、王様になるまでノラリクラリと生きるはずだった

angel
BL
つまらないことで死んでしまったボクを不憫に思った神様が1つのゲームを持ちかけてきた。 『転生先で王様になれたら元の体に戻してあげる』と。 生まれ変わったボクは美貌の第一王子で兄弟もなく、将来王様になることが約束されていた。 「イージーゲームすぎね?」とは思ったが、この好条件をありがたく受け止め 現世に戻れるまでノラリクラリと王子様生活を楽しむはずだった…。 完結しました。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

騎士様、お菓子でなんとか勘弁してください

東院さち
BL
ラズは城で仕える下級使用人の一人だ。竜を追い払った騎士団がもどってきた祝賀会のために少ない魔力を駆使して仕事をしていた。 突然襲ってきた魔力枯渇による具合の悪いところをその英雄の一人が助けてくれた。魔力を分け与えるためにキスされて、お礼にラズの作ったクッキーを欲しがる変わり者の団長と、やはりお菓子に目のない副団長の二人はラズのお菓子を目的に騎士団に勧誘する。 貴族を嫌うラズだったが、恩人二人にせっせとお菓子を作るはめになった。 お菓子が目的だったと思っていたけれど、それだけではないらしい。 やがて二人はラズにとってかけがえのない人になっていく。のかもしれない。

俺を注意してくる生徒会長の鼻を明かしてやりたかっただけなのに

たけむら
BL
真面目(?)な生徒会長×流されやすめなツンデレ男子高校生。そこに友達も加わって、わちゃわちゃの高校生活を送る話。 ネクタイをつけてこないことを毎日真面目に注意してくる生徒会長・伊佐野のことを面白がっていた水沢だったが、実は手のひらの上で転がされていたのは自分の方だった? そこに悪友・秋山も加わってやいのやいのにぎやか(?)な高校生活を送る話。 楽しんでいただけますように。どうぞよろしくお願いします。

撫子の華が咲く

茉莉花 香乃
BL
時は平安、とあるお屋敷で高貴な姫様に仕えていた。姫様は身分は高くとも生活は苦しかった ある日、しばらく援助もしてくれなかった姫様の父君が屋敷に来いと言う。嫌がった姫様の代わりに父君の屋敷に行くことになってしまった…… 他サイトにも公開しています

α主人公の友人モブαのはずが、なぜか俺が迫られている。

宵のうさぎ
BL
 異世界に転生したと思ったら、オメガバースの世界でした。  しかも、どうやらここは前世の姉ちゃんが読んでいたBL漫画の世界らしい。  漫画の主人公であるハイスぺアルファ・レオンの友人モブアルファ・カイルとして過ごしていたはずなのに、なぜか俺が迫られている。 「カイル、君の為なら僕は全てを捨てられる」  え、後天的Ω?ビッチング!? 「カイル、僕を君のオメガにしてくれ」  この小説は主人公攻め、受けのビッチング(後天的Ω)の要素が含まれていますのでご注意を!  騎士団長子息モブアルファ×原作主人公アルファ(後天的Ωになる)

わがまま放題の悪役令息はイケメンの王に溺愛される

水ノ瀬 あおい
BL
 若くして王となった幼馴染のリューラと公爵令息として生まれた頃からチヤホヤされ、神童とも言われて調子に乗っていたサライド。  昔は泣き虫で気弱だったリューラだが、いつの間にか顔も性格も身体つきも政治手腕も剣の腕も……何もかも完璧で、手の届かない眩しい存在になっていた。  年下でもあるリューラに何一つ敵わず、不貞腐れていたサライド。  リューラが国民から愛され、称賛される度にサライドは少し憎らしく思っていた。  

処理中です...