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第13話 ついに来た?
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やっぱり戦争は長かった。
戦地で負傷した騎士が、時々帰ってくると、俺たちがその治療にあたった。
手足の欠損とかがないのは、俺たちが作った御守りのおかげらしい。それでも怪我はしてしまうのは仕方がないことと割り切らないとならない。
敵国はだいぶ攻め込まれて疲弊はしているらしい。まぁ、王様のワガママみたいな理由で戦争してるんだから、可哀想だよな。
怪我をして戻ってくるのが、βの騎士ばかりなのは、やはりαの騎士が優秀ってのを裏付ける。
「これは、やっぱり、英雄が生まれるのかな?」
オウリルはものすごく興奮して言ってくる。
どうしても俺の運命の番が、英雄となって俺に求婚するってストーリーが出来上がってしまっているようだ。
俺はそこまでの、夢物語は望んじゃいないんだけどな。
「だいたい、英雄の条件ってなんだよ?」
俺は馬鹿らしくて、オウリルに聞いてみる。
「そーだなぁ、やっぱり戦争を終わらせられるだけのか何かをした人だよね」
「なにかって?」
「うーん、やっぱり敵国の王様の首をとる?」
オウリルはドヤ顔で言うけれど、それってめちゃくちゃ難易度高いじゃん。
「確かに、それをすれば戦争終わるだろうけどさぁ」
俺がいまいち乗り気でないのが分かると、ガゼルも口を挟んできた。
「でも、敵国の兵士たちは、もともと戦争をしたくなかったって、聞きますよ?」
「ああ、それな」
「王様のワガママで、キレイなΩが欲しいってのが発端らしいよね」
そう言うオウリルはうんざりとした顔をしている。まぁ、はたから見たら綺麗なΩと言えば、オウリルだよね?って感じだからな。
この学園のなかで、ダントツにオウリルは美人だ。3年生になって、オウリルは大人の色気も出てきたから、もはやΩに敵無しって感じになっている。
まぁ、俺とはガゼルは、小柄で可愛らしい感じのΩではある。そこまで美人にはなれなかった。やっぱり髪の毛を、伸ばさなかったのが敗因なんだろうか?
まぁ、俺としては、俺のフェロモンに惚れてくれるαと、番えたらいいのにな。って、ぐらいに考えることにしてある。
もうそろそろ3年も経つので、あの式典で、俺が嗅いだフェロモンの持ち主であるαだって、俺の事忘れてると思うんだよね。なにせ戦地にいるんだから。
そんなわけで、俺はΩになって心底良かった。って日々を過ごしていた。だって、戦争に行かなくて済んだし、ギチギチに勉強させられて、上位貴族だから成績は上位を取らないと、とかのプレッシャー感じないで済んだ。
まぁ、ダンスとか行儀見習いとか、外国語とかは大変だったけど、優秀なΩになるためだったから、順位争いがなかったのが一番良かったな。
楽しい学園生活が送れたと思う。
そんなわけで、もうすぐ卒業だなぁ。
ぼんやりと過ごしていたいた冬の終わり事だった。
「戦争、終わったらしいよ!」
ガゼルがサロンに飛び込んできた。
ちょっとはしたないと言われそうだけど、俺たち男だし。足音をめちゃくちゃ立てて走ってきたもんだから、サロンにいた全員がガゼルに注目した。
ガゼルも、ここまで来ると見られることに慣れてきていて、30人程度の目線が集中してもなんとも思わなくなっていた。まぁ、学園1の美人であるオウリルと一緒にいるから、免疫の付き方も半端ないよな。
「え、マジで?」
答える俺も俺。お淑やかで上品な喋り方が未だにできない。上位貴族の子弟であることに、あぐらをかいているのは否定しない。
「じゃあ、ついにリュートの運命の番が現れた?」
オウリルの夢みる乙女思考は、まだ健在だった。
「そう、それ!」
ガゼルが指をパチンと鳴らす。
こんなことするガゼルもなかなか、おしとやかにはなれないようだ。
「英雄きた?」
オウリルが嬉しそうだ。
「そう、それなんだよ!聞いてよ、リュート!」
ガゼルが、めちゃくちゃテンション高い。走ってきたからか、興奮しているからか、それとも両方なのか、ガゼルの頬は、上気して赤くなっている。
「敵国の王様とったらしいよ!」
ガゼルが勢いよく言うと、オウリルが反応した。
「英雄だ!」
言うなり何故かガゼルとオウリルが抱き合っている。
「リュートの運命の番!」
俺を置いてきぼりにして、二人で盛り上がっている。
「リュート、今の気持ちは?」
二人揃って聞いてくるけど、俺はイマイチなんだよな。
「いや、あの時のフェロモンのαがそうだと限らないじゃん」
「そんなことないよ!王様とったんだよ?」
オウリルは、だいぶ興奮しているようだ。まぁ、待ちに待った英雄誕生だからな。
「その騎士が英雄と言って間違いないでしょ!」
ガゼルも興奮していた。
兎にも角にも、英雄が生まれたのは間違いない。このくだらない戦争を、終わらせたのだ。
「絶対あれだよね。褒美を与えるって言われたら、Ωの番を、って言うやつだよね」
「ないない」
「あるよ、だってαだよ!」
オウリルの、乙女思考はとまらない。どーしても、どーしても、英雄には運命の番を得て欲しいようだ。そんなオウリルの力説を、サロンにいる俺以外が全員支持しているのだからたまらない。
そう、なぜか学園の生徒が揃いも揃って、俺の運命の番が英雄になる。って信じているのだ。
あの日、発情期を起こした俺を、運命の番のフェロモンに当てられてのことと、語り継がれてしまっているわけだ。
これって、戦地の騎士たちにも伝わっているのだろうか?だとしたら、下手に俺を番に指名できないよな。お互いものすごいプレッシャーだ。
「まぁ、なんにしたって、その英雄とやらが俺を指名したのなら、俺の家から連絡が来るだろう」
前に言っていた、家格の問題があるのなら、絶対に打診があるはずだ。公の場で恥を晒すわけにはいかないからな。
まぁ、一番怖いのは、家長である親父が納得して俺には連絡が来ない。って、パターンだよな。
戦地で負傷した騎士が、時々帰ってくると、俺たちがその治療にあたった。
手足の欠損とかがないのは、俺たちが作った御守りのおかげらしい。それでも怪我はしてしまうのは仕方がないことと割り切らないとならない。
敵国はだいぶ攻め込まれて疲弊はしているらしい。まぁ、王様のワガママみたいな理由で戦争してるんだから、可哀想だよな。
怪我をして戻ってくるのが、βの騎士ばかりなのは、やはりαの騎士が優秀ってのを裏付ける。
「これは、やっぱり、英雄が生まれるのかな?」
オウリルはものすごく興奮して言ってくる。
どうしても俺の運命の番が、英雄となって俺に求婚するってストーリーが出来上がってしまっているようだ。
俺はそこまでの、夢物語は望んじゃいないんだけどな。
「だいたい、英雄の条件ってなんだよ?」
俺は馬鹿らしくて、オウリルに聞いてみる。
「そーだなぁ、やっぱり戦争を終わらせられるだけのか何かをした人だよね」
「なにかって?」
「うーん、やっぱり敵国の王様の首をとる?」
オウリルはドヤ顔で言うけれど、それってめちゃくちゃ難易度高いじゃん。
「確かに、それをすれば戦争終わるだろうけどさぁ」
俺がいまいち乗り気でないのが分かると、ガゼルも口を挟んできた。
「でも、敵国の兵士たちは、もともと戦争をしたくなかったって、聞きますよ?」
「ああ、それな」
「王様のワガママで、キレイなΩが欲しいってのが発端らしいよね」
そう言うオウリルはうんざりとした顔をしている。まぁ、はたから見たら綺麗なΩと言えば、オウリルだよね?って感じだからな。
この学園のなかで、ダントツにオウリルは美人だ。3年生になって、オウリルは大人の色気も出てきたから、もはやΩに敵無しって感じになっている。
まぁ、俺とはガゼルは、小柄で可愛らしい感じのΩではある。そこまで美人にはなれなかった。やっぱり髪の毛を、伸ばさなかったのが敗因なんだろうか?
まぁ、俺としては、俺のフェロモンに惚れてくれるαと、番えたらいいのにな。って、ぐらいに考えることにしてある。
もうそろそろ3年も経つので、あの式典で、俺が嗅いだフェロモンの持ち主であるαだって、俺の事忘れてると思うんだよね。なにせ戦地にいるんだから。
そんなわけで、俺はΩになって心底良かった。って日々を過ごしていた。だって、戦争に行かなくて済んだし、ギチギチに勉強させられて、上位貴族だから成績は上位を取らないと、とかのプレッシャー感じないで済んだ。
まぁ、ダンスとか行儀見習いとか、外国語とかは大変だったけど、優秀なΩになるためだったから、順位争いがなかったのが一番良かったな。
楽しい学園生活が送れたと思う。
そんなわけで、もうすぐ卒業だなぁ。
ぼんやりと過ごしていたいた冬の終わり事だった。
「戦争、終わったらしいよ!」
ガゼルがサロンに飛び込んできた。
ちょっとはしたないと言われそうだけど、俺たち男だし。足音をめちゃくちゃ立てて走ってきたもんだから、サロンにいた全員がガゼルに注目した。
ガゼルも、ここまで来ると見られることに慣れてきていて、30人程度の目線が集中してもなんとも思わなくなっていた。まぁ、学園1の美人であるオウリルと一緒にいるから、免疫の付き方も半端ないよな。
「え、マジで?」
答える俺も俺。お淑やかで上品な喋り方が未だにできない。上位貴族の子弟であることに、あぐらをかいているのは否定しない。
「じゃあ、ついにリュートの運命の番が現れた?」
オウリルの夢みる乙女思考は、まだ健在だった。
「そう、それ!」
ガゼルが指をパチンと鳴らす。
こんなことするガゼルもなかなか、おしとやかにはなれないようだ。
「英雄きた?」
オウリルが嬉しそうだ。
「そう、それなんだよ!聞いてよ、リュート!」
ガゼルが、めちゃくちゃテンション高い。走ってきたからか、興奮しているからか、それとも両方なのか、ガゼルの頬は、上気して赤くなっている。
「敵国の王様とったらしいよ!」
ガゼルが勢いよく言うと、オウリルが反応した。
「英雄だ!」
言うなり何故かガゼルとオウリルが抱き合っている。
「リュートの運命の番!」
俺を置いてきぼりにして、二人で盛り上がっている。
「リュート、今の気持ちは?」
二人揃って聞いてくるけど、俺はイマイチなんだよな。
「いや、あの時のフェロモンのαがそうだと限らないじゃん」
「そんなことないよ!王様とったんだよ?」
オウリルは、だいぶ興奮しているようだ。まぁ、待ちに待った英雄誕生だからな。
「その騎士が英雄と言って間違いないでしょ!」
ガゼルも興奮していた。
兎にも角にも、英雄が生まれたのは間違いない。このくだらない戦争を、終わらせたのだ。
「絶対あれだよね。褒美を与えるって言われたら、Ωの番を、って言うやつだよね」
「ないない」
「あるよ、だってαだよ!」
オウリルの、乙女思考はとまらない。どーしても、どーしても、英雄には運命の番を得て欲しいようだ。そんなオウリルの力説を、サロンにいる俺以外が全員支持しているのだからたまらない。
そう、なぜか学園の生徒が揃いも揃って、俺の運命の番が英雄になる。って信じているのだ。
あの日、発情期を起こした俺を、運命の番のフェロモンに当てられてのことと、語り継がれてしまっているわけだ。
これって、戦地の騎士たちにも伝わっているのだろうか?だとしたら、下手に俺を番に指名できないよな。お互いものすごいプレッシャーだ。
「まぁ、なんにしたって、その英雄とやらが俺を指名したのなら、俺の家から連絡が来るだろう」
前に言っていた、家格の問題があるのなら、絶対に打診があるはずだ。公の場で恥を晒すわけにはいかないからな。
まぁ、一番怖いのは、家長である親父が納得して俺には連絡が来ない。って、パターンだよな。
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