14 / 19
第14話 やっぱり俺なのか?
しおりを挟む
「何の連絡もなかったね」
オウリルが何やら楽しそうだ。
一番恐れていたことが起きてしまった。
家から何も連絡がなかったのだ。
俺の予想な中では、英雄が他のΩを番に指名した。っていうのがベスト。最悪なのは、俺を指名したけど、家長である親父が、納得してしまえる家格であったために、俺には連絡が来なかった。
何しろ、母上も来なかった。卒業式でも何も言われなかった。
そんでもって、今日は報告会というか、まぁ、勲章とかを与える式典なんだが・・・
学園のΩは花を添える意味もあって、全員参加させられてるんだ。卒業したのに。あとは騎士科にいる学生も、後ろの方にいる。
まぁ、俺たちは出兵式の時と同じように、ちょっとした品物を騎士たちに渡す係なんだけどな。
今日は、念の為Ωの俺たちは抑制剤を服用させられた。
なにせ英雄がいるからな。αもβも興奮してしまう可能性が高い。そうなると不用意にフェロモンが飛ばされて、Ωの俺たちが発情とかしてしまうかも知れない。って、事らしい。そんなら参加させるなよ。ってのが本音。
戦争に参加したっていう証の勲章を、騎士たちに配り歩く。
抑制剤を飲んでいるから、気分は落ち着いているけれど、何度も発情期を迎えているだけに、俺はαのフェロモンが分かるようになっていた。
嗅ぎわけができるぐらいに。
親父と兄上のフェロモンは、似ているようで違う。親父の方がなんかハーブっぽいんだよな。おそらく、親子で間違いが起きないように軽い刺激を与える感じに臭うんだろう。兄上のは、森林にいるような感じに香ってくる。心地いいけど、好きかと問われれば違う。
俺は、勲章を配りながら、落ち着いて匂いを嗅いでいた。
あの日と同じように、俺はやっぱり最前列の騎士たちの担当で、胸に勲章をつけるのだけど、あの日と違って、全員騎士服だ。式典用の綺麗なやつ。
既に結構な勲章が着いている人もいて、こわごわとおぼつかない手つきになってしまった。
もちろん、知っている顔もある。
今回の戦争で、英雄となった騎士は誰なんだろうな。なんて考えながら、一人一人をゆっくりと見たけれど、全くわからなかった。
「騎士たちも抑制剤飲んでるそうだよ」
配り終わって並んだ時に、オウリルが耳打ちしてきた。無駄にフェロモンばらまいて、式典が乱交場になったら笑えないもんな。
「どうりでフェロモンを嗅げないと思ったよ」
「やっぱり?」
オウリルも思っていたらしい。英雄になるほどのαのフェロモンなら、嗅げば分かると。
「英雄は、御前になるよね?」
「普通なら」
俺とオウリルはなぜかお互いの手を握りあっていた。
この式典に参加しているΩで、俺とオウリルが一番家格が上になる。英雄となった騎士が所望するのは誰なのか?それだけが怖い。
「アルグレイト、前に」
突如誰かが呼ばれた。
呼ばれて前に歩みでたのは、騎士にしては随分と細身だった。けれど背も高くて、体型はかなり整っている。綺麗に整えられた黒髪は、一筋の乱れもない。背中しか見えないけど、相当な力を持ったαだと分かる。
俺とオウリルは既に両手を握りあっていた。
あの騎士が動いた途端、得体の知れない何かが飛んできたのだ。フェロモンと言うにはなにか強すぎる。
「アルグレイト、此度の功績誠に素晴らしいものである。望みがあるなら、褒美としてそれを与えようと思う。言ってみよ」
王様がよくある口上をやっている。
アルグレイトという騎士は、王様の前に膝まづいている。
そうして、ゆっくりと顔あげると、口を開いた。
「では、私の運命の番を」
きたーっ!
オウリルの握る手に力が入る。オウリルの願ってい展開。英雄が運命の番を欲する。ってやつだ。
「…いいだろう」
王様はちょっとためてから、許可をした。
「ありがたき幸せ」
アルグレイトはそう答えると、優雅に立ち上がり、くるりと後ろを向いた。
ん?
「ねぇ、リュート」
オウリルが俺に耳打ちをする。
「あの人騎士じゃない」
「俺もそう思う」
銀縁メガネかけた騎士なんて知らない。
英雄が銀縁メガネ?
なんか違くね?
なんて考えていたのに、その英雄であるアルグレイトは、真っ直ぐにこちらに向かってきたのだ。
俺とオウリルは、身を寄せあって、互いの手をにぎりしめる。
どんどんアルグレイトが近づいてくる。
これは、もう、ロックオンされているのは間違いない。
「私の運命の番」
ピタリと目の前に立ち止まり、すっと手を差し出された。
俺だ。
俺がロックオンされている。
抑制剤を飲んでいるはずなのに、αのフェロモンが強く臭ってくる。甘くて心地の良い、深く嗅げば頭の後ろの辺りが痺れるような、そんな匂い。
「っう…あの…」
心臓が急に早鐘を打ち始めた。抑制剤を飲んでいるのに、まるで発情期にでもなったかのように体が熱くなってくる。
「手を…」
差し出された手を、俺は取ってしまった。
触れた手のひらが熱い。
なんでだ?
どうしていいのか分からず、俺が小首を傾げたのを見て、アルグレイトは微笑んだ。
そして、俺の手を引っ張った。
「えっ?」
俺はすんなりオウリルの手を離し、アルグレイトの胸に飛び込む形になり、周りにいたΩの生徒たちから悲鳴にも似た歓声があがる。
俺が驚いて目を見開いていると、アルグレイトと目が合った。けれど、俺は何も出来ない。なにも考えられない。いや、考えたくなどない。
こんな展開恥ずかしすぎて、死ぬわ。
またもや、悲鳴のような歓声が上がった。
俺は自分の身に何が起きているのかわからなかった。いや、分かりたくなかった。
俺は、アルグレイトにお姫様抱っこをされて、そのまま会場を後にした。
その時、一瞬見えたオウリルの顔が、とても満足そうに微笑んでいたのを俺は忘れないだろう。
オウリルが何やら楽しそうだ。
一番恐れていたことが起きてしまった。
家から何も連絡がなかったのだ。
俺の予想な中では、英雄が他のΩを番に指名した。っていうのがベスト。最悪なのは、俺を指名したけど、家長である親父が、納得してしまえる家格であったために、俺には連絡が来なかった。
何しろ、母上も来なかった。卒業式でも何も言われなかった。
そんでもって、今日は報告会というか、まぁ、勲章とかを与える式典なんだが・・・
学園のΩは花を添える意味もあって、全員参加させられてるんだ。卒業したのに。あとは騎士科にいる学生も、後ろの方にいる。
まぁ、俺たちは出兵式の時と同じように、ちょっとした品物を騎士たちに渡す係なんだけどな。
今日は、念の為Ωの俺たちは抑制剤を服用させられた。
なにせ英雄がいるからな。αもβも興奮してしまう可能性が高い。そうなると不用意にフェロモンが飛ばされて、Ωの俺たちが発情とかしてしまうかも知れない。って、事らしい。そんなら参加させるなよ。ってのが本音。
戦争に参加したっていう証の勲章を、騎士たちに配り歩く。
抑制剤を飲んでいるから、気分は落ち着いているけれど、何度も発情期を迎えているだけに、俺はαのフェロモンが分かるようになっていた。
嗅ぎわけができるぐらいに。
親父と兄上のフェロモンは、似ているようで違う。親父の方がなんかハーブっぽいんだよな。おそらく、親子で間違いが起きないように軽い刺激を与える感じに臭うんだろう。兄上のは、森林にいるような感じに香ってくる。心地いいけど、好きかと問われれば違う。
俺は、勲章を配りながら、落ち着いて匂いを嗅いでいた。
あの日と同じように、俺はやっぱり最前列の騎士たちの担当で、胸に勲章をつけるのだけど、あの日と違って、全員騎士服だ。式典用の綺麗なやつ。
既に結構な勲章が着いている人もいて、こわごわとおぼつかない手つきになってしまった。
もちろん、知っている顔もある。
今回の戦争で、英雄となった騎士は誰なんだろうな。なんて考えながら、一人一人をゆっくりと見たけれど、全くわからなかった。
「騎士たちも抑制剤飲んでるそうだよ」
配り終わって並んだ時に、オウリルが耳打ちしてきた。無駄にフェロモンばらまいて、式典が乱交場になったら笑えないもんな。
「どうりでフェロモンを嗅げないと思ったよ」
「やっぱり?」
オウリルも思っていたらしい。英雄になるほどのαのフェロモンなら、嗅げば分かると。
「英雄は、御前になるよね?」
「普通なら」
俺とオウリルはなぜかお互いの手を握りあっていた。
この式典に参加しているΩで、俺とオウリルが一番家格が上になる。英雄となった騎士が所望するのは誰なのか?それだけが怖い。
「アルグレイト、前に」
突如誰かが呼ばれた。
呼ばれて前に歩みでたのは、騎士にしては随分と細身だった。けれど背も高くて、体型はかなり整っている。綺麗に整えられた黒髪は、一筋の乱れもない。背中しか見えないけど、相当な力を持ったαだと分かる。
俺とオウリルは既に両手を握りあっていた。
あの騎士が動いた途端、得体の知れない何かが飛んできたのだ。フェロモンと言うにはなにか強すぎる。
「アルグレイト、此度の功績誠に素晴らしいものである。望みがあるなら、褒美としてそれを与えようと思う。言ってみよ」
王様がよくある口上をやっている。
アルグレイトという騎士は、王様の前に膝まづいている。
そうして、ゆっくりと顔あげると、口を開いた。
「では、私の運命の番を」
きたーっ!
オウリルの握る手に力が入る。オウリルの願ってい展開。英雄が運命の番を欲する。ってやつだ。
「…いいだろう」
王様はちょっとためてから、許可をした。
「ありがたき幸せ」
アルグレイトはそう答えると、優雅に立ち上がり、くるりと後ろを向いた。
ん?
「ねぇ、リュート」
オウリルが俺に耳打ちをする。
「あの人騎士じゃない」
「俺もそう思う」
銀縁メガネかけた騎士なんて知らない。
英雄が銀縁メガネ?
なんか違くね?
なんて考えていたのに、その英雄であるアルグレイトは、真っ直ぐにこちらに向かってきたのだ。
俺とオウリルは、身を寄せあって、互いの手をにぎりしめる。
どんどんアルグレイトが近づいてくる。
これは、もう、ロックオンされているのは間違いない。
「私の運命の番」
ピタリと目の前に立ち止まり、すっと手を差し出された。
俺だ。
俺がロックオンされている。
抑制剤を飲んでいるはずなのに、αのフェロモンが強く臭ってくる。甘くて心地の良い、深く嗅げば頭の後ろの辺りが痺れるような、そんな匂い。
「っう…あの…」
心臓が急に早鐘を打ち始めた。抑制剤を飲んでいるのに、まるで発情期にでもなったかのように体が熱くなってくる。
「手を…」
差し出された手を、俺は取ってしまった。
触れた手のひらが熱い。
なんでだ?
どうしていいのか分からず、俺が小首を傾げたのを見て、アルグレイトは微笑んだ。
そして、俺の手を引っ張った。
「えっ?」
俺はすんなりオウリルの手を離し、アルグレイトの胸に飛び込む形になり、周りにいたΩの生徒たちから悲鳴にも似た歓声があがる。
俺が驚いて目を見開いていると、アルグレイトと目が合った。けれど、俺は何も出来ない。なにも考えられない。いや、考えたくなどない。
こんな展開恥ずかしすぎて、死ぬわ。
またもや、悲鳴のような歓声が上がった。
俺は自分の身に何が起きているのかわからなかった。いや、分かりたくなかった。
俺は、アルグレイトにお姫様抱っこをされて、そのまま会場を後にした。
その時、一瞬見えたオウリルの顔が、とても満足そうに微笑んでいたのを俺は忘れないだろう。
14
あなたにおすすめの小説
転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが
松林 松茸
BL
私は「南 明日香」という平凡な会社員だった。
ありふれた生活と隠していたオタク趣味。それだけで満足な生活だった。
あの日までは。
気が付くと大好きだった乙女ゲーム“ときめき魔法学院”のモブキャラ「レナンジェス=ハックマン子爵家長男」に転生していた。
(無いものがある!これは…モブキャラハーレムを作らなくては!!)
その野望を実現すべく計画を練るが…アーな方向へ向かってしまう。
元日本人女性の異世界生活は如何に?
※カクヨム様、小説家になろう様で同時連載しております。
5月23日から毎日、昼12時更新します。
転生して王子になったボクは、王様になるまでノラリクラリと生きるはずだった
angel
BL
つまらないことで死んでしまったボクを不憫に思った神様が1つのゲームを持ちかけてきた。
『転生先で王様になれたら元の体に戻してあげる』と。
生まれ変わったボクは美貌の第一王子で兄弟もなく、将来王様になることが約束されていた。
「イージーゲームすぎね?」とは思ったが、この好条件をありがたく受け止め
現世に戻れるまでノラリクラリと王子様生活を楽しむはずだった…。
完結しました。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
騎士様、お菓子でなんとか勘弁してください
東院さち
BL
ラズは城で仕える下級使用人の一人だ。竜を追い払った騎士団がもどってきた祝賀会のために少ない魔力を駆使して仕事をしていた。
突然襲ってきた魔力枯渇による具合の悪いところをその英雄の一人が助けてくれた。魔力を分け与えるためにキスされて、お礼にラズの作ったクッキーを欲しがる変わり者の団長と、やはりお菓子に目のない副団長の二人はラズのお菓子を目的に騎士団に勧誘する。
貴族を嫌うラズだったが、恩人二人にせっせとお菓子を作るはめになった。
お菓子が目的だったと思っていたけれど、それだけではないらしい。
やがて二人はラズにとってかけがえのない人になっていく。のかもしれない。
俺を注意してくる生徒会長の鼻を明かしてやりたかっただけなのに
たけむら
BL
真面目(?)な生徒会長×流されやすめなツンデレ男子高校生。そこに友達も加わって、わちゃわちゃの高校生活を送る話。
ネクタイをつけてこないことを毎日真面目に注意してくる生徒会長・伊佐野のことを面白がっていた水沢だったが、実は手のひらの上で転がされていたのは自分の方だった? そこに悪友・秋山も加わってやいのやいのにぎやか(?)な高校生活を送る話。
楽しんでいただけますように。どうぞよろしくお願いします。
撫子の華が咲く
茉莉花 香乃
BL
時は平安、とあるお屋敷で高貴な姫様に仕えていた。姫様は身分は高くとも生活は苦しかった
ある日、しばらく援助もしてくれなかった姫様の父君が屋敷に来いと言う。嫌がった姫様の代わりに父君の屋敷に行くことになってしまった……
他サイトにも公開しています
α主人公の友人モブαのはずが、なぜか俺が迫られている。
宵のうさぎ
BL
異世界に転生したと思ったら、オメガバースの世界でした。
しかも、どうやらここは前世の姉ちゃんが読んでいたBL漫画の世界らしい。
漫画の主人公であるハイスぺアルファ・レオンの友人モブアルファ・カイルとして過ごしていたはずなのに、なぜか俺が迫られている。
「カイル、君の為なら僕は全てを捨てられる」
え、後天的Ω?ビッチング!?
「カイル、僕を君のオメガにしてくれ」
この小説は主人公攻め、受けのビッチング(後天的Ω)の要素が含まれていますのでご注意を!
騎士団長子息モブアルファ×原作主人公アルファ(後天的Ωになる)
わがまま放題の悪役令息はイケメンの王に溺愛される
水ノ瀬 あおい
BL
若くして王となった幼馴染のリューラと公爵令息として生まれた頃からチヤホヤされ、神童とも言われて調子に乗っていたサライド。
昔は泣き虫で気弱だったリューラだが、いつの間にか顔も性格も身体つきも政治手腕も剣の腕も……何もかも完璧で、手の届かない眩しい存在になっていた。
年下でもあるリューラに何一つ敵わず、不貞腐れていたサライド。
リューラが国民から愛され、称賛される度にサライドは少し憎らしく思っていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる