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1章 魔女 扉を開ける
25 魔女と学校 5
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──役に立つ魔女になる。
初めて飲んだ酒が回って判断能力の低下したザザは、うっかり魔女という言葉を使ってしまった。
ギディオンはぎょっとして辺りを見渡したが、幸い料理屋は賑わっており、席も奥の隅だったこともあって、誰もザザに注意を払うものはいなかった。
「わかったからとにかく座りなさい」
「はい」
ギディオンの諫めにザザはすとんと椅子にへたり込んだ。しかし、まだ視線がふわふわしている。頬も赤い。
「珍しく強気だな。酒はかくも人を変えると言う典型か。とにかく水を飲め! ほら」
「いたらきます」
気を利かして給仕が持ってきた氷が入った水をザザが飲みほすとギディオンは立ち上がった。
「そら、帰るぞ。立てるか?」
「たてますとも! あ!」
ザザは勢いよく立ち上がり、今度は盛大によろめいた。
「立てないじゃないか。ほら、つかまれ」
「いーえ。これ以上のごめーわくはー……」
「迷惑じゃないから、大人しく言うことを聞きなさい」
ギディオンは支払いをすませると、ザザを支えて店を出た。
しかし運悪く、店先で顔見知りの兵士二人にばったり出くわしてしまうことになる。
「これはセルヴァンティース指揮官殿!」
「早いですね! 俺達これからなんですけど、もうお帰りですか?」
「う、うん……」
ギディオンはザザを背に後退った。
「あれ?」
「指揮官殿が女性づれとはお珍しい。いやこれは無粋でしたな。失礼いたしま……」
「……なんれすか?」
空気を読めないザザが、ひょっこりと顔を出す。若い護衛騎士達は、堅物と評判のギディオンの連れに好奇の目を注いだ。
「……指揮官殿、いくらなんでも子どもに手を出すのは……」
「ち、違うぞ! これはそんなものではない! 第一、子どもじゃない!」
「そーれす! わたしは子どもじゃありません! これでもれっきとした大人の魔じょ……」
「わー! 行くぞザザ! お前達、明日説明するからこれで失礼する!」
ギディオンはザザをひっさらうと、暗い路地へと駆け込んだ。
「なんでこんなことに……」
家の前まで走り続けてギディオンはようやく立ち止まった。すでに陽は落ち切って街角には小さな街灯が灯っている。
「明日はきっと尾ひれがついて噂が広がってるぞ。面倒なことになりそうだ……おい、ザザ……ザザ?」
背中の魔女は寝てしまっている。
「おい、この酔っぱらい! 家に着いたぞ!」
ギディオンは居間の椅子にザザを座らせると、白い頬をぺちぺちと叩いた。黒いまつ毛がびっしりくっついた瞼が上がる。
「……ギディオンさま?」
「そうだ、俺だよ。家に着いたぞ、さっさと休……」
夜の瞳が彼を見上げていた。吸い込まれそうに深く、なのに澄んだ不思議な黒。それは不吉な象徴などではない、むしろ至高の色だった。
「……とてもすきです」
息を飲むギディオンに向かって魔女はそう言うと、瞼は再びゆっくりと閉じられてしまった。
「……」
ギディオンは詰めていた息を一気に吐き出した。
なんて目をしている……。
森で拾った魔女。責任感と同情心から後見人になってしまったが、ここにきてどうも妙な感情が湧きだしている。今まで考えないようにしてきたが。
惑わされるな。
魔女だ、この娘は魔女なんだ。
俺たちとは異なる決まりごとの世界に生きている理解不能の存在……。
「いいや、違うな」
ギディオンは年齢の割に幼く見える寝顔を見下ろした。唇がほんのり開いてすぅすぅと寝息が漏れている。
こんな間抜けな魔女があるか。これはただ真面目で一生懸命で一途なだけの──。
「普通の娘だ」
娘は身じろぎ、椅子から滑り落ちろうになっている。仕方なく、ギディオンは膝の裏に腕を回した。こんなに深く寝入ってしまっているのだから、今夜はもう寝室に移したほうがいい。
抱え上げると安定が良くなったのか、むにゃむちゃ言っている。
「好きですだと? この酔っ払いめ……よいしょ」
唇が頬に触れたのは、抱き直した時の偶然だ。
そう思うことにして、力を失った体を抱き上げ、ギディオンは寝間の扉を開けた。
翌朝。
飛び起きたザザは、自分が自室の寝台の上に横たわっていることを知った。
がばりと起き上がると、酷く頭が重い。
「なんで……いたた」
頭痛に加えて胸焼けもする。額を抑えて自分を見下ろすと、服は着たまま帯が緩められ、靴はちんまりと寝台の下に置かれていた。
昨夜何があったの? ギディオンさまとお店でお食事をして、いろいろお話をしてくださって……なのにわたし寝ちゃったの? 正体不明になって?
「ばか……わたしのばか!」
一体これで何度目の不手際だろうか?
ザザは地面に埋まりたいような気持ちで、寝台から滑り落ちた。まだ、窓の外は薄暗い。なんとかいつもの時間に起き出せたようだった。
とにかく、この最悪の体調をなんとかしなくちゃ。
ザザは仕舞い込んだ鞄の中から小さな瓶を出し、中から乾燥させた小さな葉っぱを一枚摘み出した。森の家から持ってきた薬草の一つである。
それを直接舌の上に乗せる。しばらくすると爽やかな清涼感が口腔に広がり、気分の悪さがすっと楽になった。これで少しはマシな顔になるだろう。
居間を覗くと、ギディオンもまだ起きていないようでひっそりとしている。ザザは火を熾してヤカンを乗せた。
湯が沸くまでの間、ザザは昨夜のことを思い出そうとした。
確か、国家薬師というお仕事を勧められて、わたしは……そうだ、とても寂しい気持ちになったんだ。
でも、ここで尻込みしてしまったら、今までのわたしと何も変わらない。自分にできることでしっかりした足場を築いて独り立ちできたら、少しでもあの方に近づけるのだ。
「……でも、どうして寝ちゃったのかしら? わたし」
「それは酒を一気に飲んでしまったからだな」
「ひゃっ!」
背後からの声にザザは飛び上がった。
「おはよう、ザザ」
「おはようございますっ! あのっ、昨夜は申し訳っ……」
「ああ、謝らなくていい、いい。俺はなんとも思っちゃいないさ。それに湯が沸き始めているぞ、危ない」
「でもっ!」
「いいから。で、気分はどうだ? 頭は痛くないか?」
「あ、起き抜けには頭痛がしたのですが、ミンプの葉で楽になりました」
「ミンプの葉?」
「はい。薬草の一種です。悪心を抑える作用があるのです」
「へぇ。知らない名前だ」
「珍しいものではないですよ。多分、都の商品とは名前が違うのでしょう」
ザザは湯を注いでギディオンの大きなカップを温める。隣の茶葉の缶を開けると、ふうわりと良い香りが漂った。
「ふぅん。やっぱり博識だなぁ……それよりザザ、昨夜のことは何か覚えているか?」
「はい……食べたもののことや、お話の内容は覚えています」
「酒を飲んだ後のことは?」
「お酒、ですか? 体がかぁっと熱くなったことまでは記憶にあるのですが……あの、わたし、何かしでかしたのですか?」
「いや! 俺は何もしてないぞ!」
「いえ、ギディオンさまではなくて、わたしが何か……」
妙に焦った様子のギディオンに、余程拙いことがあったのかと不安になりながらザザは首を捻った。
「してない! 俺の酒を一気に飲んで眠っただけだ」
「ギディオンさまのお酒を、わたしが?」
「近くにあったから間違ったんだよ。だが、ザザは酒に弱いことがわかったから、もう二度と人前で飲むんじゃないぞ。絶対に危険だ」
「申し訳ありません、わたしまた粗相をしでかしてしまいました……」
「粗相というほどでもない。ただ寝てしまっただけだ。酒を飲んだことがなかったのだろう?」
「はい……多分。薬酒を舐めたくらいです。どうぞ」
ザザはギディオンの前に茶を置きながら言った。
「それでな。酒を飲む前話だが、国家薬師のことは覚えているな」
「……はい」
ザザは頷いた。
「言ったように、試験は春ごろにあるんだ。俺は受けてみればいいと思うんだが、考えて見る気はないか?」
「ギディオン様がそうおっしゃるなら」
「そうか! よかった。いや、別に落ちたっていいんだからな、何年も受け続けている人もいると言うし、運試しのつもりで受けたらと思って。ワレン殿もいろいろ教えてくださるだろう」
「はい」
「ではワレン殿に伝えておくよ。さて、では行くとするか。茶をありがとう、美味かった。今日からしばらく王宮に泊まりこむ予定だから、ザザは好きに過ごしていていいお」
「……はい。いってらっしゃいませ」
ザザが見送る中、ギディオンは出て行ってしまった。
しばらくって、どのくらいなんだろう……。
ザザは妙な胸騒ぎを感じていた。
初めて飲んだ酒が回って判断能力の低下したザザは、うっかり魔女という言葉を使ってしまった。
ギディオンはぎょっとして辺りを見渡したが、幸い料理屋は賑わっており、席も奥の隅だったこともあって、誰もザザに注意を払うものはいなかった。
「わかったからとにかく座りなさい」
「はい」
ギディオンの諫めにザザはすとんと椅子にへたり込んだ。しかし、まだ視線がふわふわしている。頬も赤い。
「珍しく強気だな。酒はかくも人を変えると言う典型か。とにかく水を飲め! ほら」
「いたらきます」
気を利かして給仕が持ってきた氷が入った水をザザが飲みほすとギディオンは立ち上がった。
「そら、帰るぞ。立てるか?」
「たてますとも! あ!」
ザザは勢いよく立ち上がり、今度は盛大によろめいた。
「立てないじゃないか。ほら、つかまれ」
「いーえ。これ以上のごめーわくはー……」
「迷惑じゃないから、大人しく言うことを聞きなさい」
ギディオンは支払いをすませると、ザザを支えて店を出た。
しかし運悪く、店先で顔見知りの兵士二人にばったり出くわしてしまうことになる。
「これはセルヴァンティース指揮官殿!」
「早いですね! 俺達これからなんですけど、もうお帰りですか?」
「う、うん……」
ギディオンはザザを背に後退った。
「あれ?」
「指揮官殿が女性づれとはお珍しい。いやこれは無粋でしたな。失礼いたしま……」
「……なんれすか?」
空気を読めないザザが、ひょっこりと顔を出す。若い護衛騎士達は、堅物と評判のギディオンの連れに好奇の目を注いだ。
「……指揮官殿、いくらなんでも子どもに手を出すのは……」
「ち、違うぞ! これはそんなものではない! 第一、子どもじゃない!」
「そーれす! わたしは子どもじゃありません! これでもれっきとした大人の魔じょ……」
「わー! 行くぞザザ! お前達、明日説明するからこれで失礼する!」
ギディオンはザザをひっさらうと、暗い路地へと駆け込んだ。
「なんでこんなことに……」
家の前まで走り続けてギディオンはようやく立ち止まった。すでに陽は落ち切って街角には小さな街灯が灯っている。
「明日はきっと尾ひれがついて噂が広がってるぞ。面倒なことになりそうだ……おい、ザザ……ザザ?」
背中の魔女は寝てしまっている。
「おい、この酔っぱらい! 家に着いたぞ!」
ギディオンは居間の椅子にザザを座らせると、白い頬をぺちぺちと叩いた。黒いまつ毛がびっしりくっついた瞼が上がる。
「……ギディオンさま?」
「そうだ、俺だよ。家に着いたぞ、さっさと休……」
夜の瞳が彼を見上げていた。吸い込まれそうに深く、なのに澄んだ不思議な黒。それは不吉な象徴などではない、むしろ至高の色だった。
「……とてもすきです」
息を飲むギディオンに向かって魔女はそう言うと、瞼は再びゆっくりと閉じられてしまった。
「……」
ギディオンは詰めていた息を一気に吐き出した。
なんて目をしている……。
森で拾った魔女。責任感と同情心から後見人になってしまったが、ここにきてどうも妙な感情が湧きだしている。今まで考えないようにしてきたが。
惑わされるな。
魔女だ、この娘は魔女なんだ。
俺たちとは異なる決まりごとの世界に生きている理解不能の存在……。
「いいや、違うな」
ギディオンは年齢の割に幼く見える寝顔を見下ろした。唇がほんのり開いてすぅすぅと寝息が漏れている。
こんな間抜けな魔女があるか。これはただ真面目で一生懸命で一途なだけの──。
「普通の娘だ」
娘は身じろぎ、椅子から滑り落ちろうになっている。仕方なく、ギディオンは膝の裏に腕を回した。こんなに深く寝入ってしまっているのだから、今夜はもう寝室に移したほうがいい。
抱え上げると安定が良くなったのか、むにゃむちゃ言っている。
「好きですだと? この酔っ払いめ……よいしょ」
唇が頬に触れたのは、抱き直した時の偶然だ。
そう思うことにして、力を失った体を抱き上げ、ギディオンは寝間の扉を開けた。
翌朝。
飛び起きたザザは、自分が自室の寝台の上に横たわっていることを知った。
がばりと起き上がると、酷く頭が重い。
「なんで……いたた」
頭痛に加えて胸焼けもする。額を抑えて自分を見下ろすと、服は着たまま帯が緩められ、靴はちんまりと寝台の下に置かれていた。
昨夜何があったの? ギディオンさまとお店でお食事をして、いろいろお話をしてくださって……なのにわたし寝ちゃったの? 正体不明になって?
「ばか……わたしのばか!」
一体これで何度目の不手際だろうか?
ザザは地面に埋まりたいような気持ちで、寝台から滑り落ちた。まだ、窓の外は薄暗い。なんとかいつもの時間に起き出せたようだった。
とにかく、この最悪の体調をなんとかしなくちゃ。
ザザは仕舞い込んだ鞄の中から小さな瓶を出し、中から乾燥させた小さな葉っぱを一枚摘み出した。森の家から持ってきた薬草の一つである。
それを直接舌の上に乗せる。しばらくすると爽やかな清涼感が口腔に広がり、気分の悪さがすっと楽になった。これで少しはマシな顔になるだろう。
居間を覗くと、ギディオンもまだ起きていないようでひっそりとしている。ザザは火を熾してヤカンを乗せた。
湯が沸くまでの間、ザザは昨夜のことを思い出そうとした。
確か、国家薬師というお仕事を勧められて、わたしは……そうだ、とても寂しい気持ちになったんだ。
でも、ここで尻込みしてしまったら、今までのわたしと何も変わらない。自分にできることでしっかりした足場を築いて独り立ちできたら、少しでもあの方に近づけるのだ。
「……でも、どうして寝ちゃったのかしら? わたし」
「それは酒を一気に飲んでしまったからだな」
「ひゃっ!」
背後からの声にザザは飛び上がった。
「おはよう、ザザ」
「おはようございますっ! あのっ、昨夜は申し訳っ……」
「ああ、謝らなくていい、いい。俺はなんとも思っちゃいないさ。それに湯が沸き始めているぞ、危ない」
「でもっ!」
「いいから。で、気分はどうだ? 頭は痛くないか?」
「あ、起き抜けには頭痛がしたのですが、ミンプの葉で楽になりました」
「ミンプの葉?」
「はい。薬草の一種です。悪心を抑える作用があるのです」
「へぇ。知らない名前だ」
「珍しいものではないですよ。多分、都の商品とは名前が違うのでしょう」
ザザは湯を注いでギディオンの大きなカップを温める。隣の茶葉の缶を開けると、ふうわりと良い香りが漂った。
「ふぅん。やっぱり博識だなぁ……それよりザザ、昨夜のことは何か覚えているか?」
「はい……食べたもののことや、お話の内容は覚えています」
「酒を飲んだ後のことは?」
「お酒、ですか? 体がかぁっと熱くなったことまでは記憶にあるのですが……あの、わたし、何かしでかしたのですか?」
「いや! 俺は何もしてないぞ!」
「いえ、ギディオンさまではなくて、わたしが何か……」
妙に焦った様子のギディオンに、余程拙いことがあったのかと不安になりながらザザは首を捻った。
「してない! 俺の酒を一気に飲んで眠っただけだ」
「ギディオンさまのお酒を、わたしが?」
「近くにあったから間違ったんだよ。だが、ザザは酒に弱いことがわかったから、もう二度と人前で飲むんじゃないぞ。絶対に危険だ」
「申し訳ありません、わたしまた粗相をしでかしてしまいました……」
「粗相というほどでもない。ただ寝てしまっただけだ。酒を飲んだことがなかったのだろう?」
「はい……多分。薬酒を舐めたくらいです。どうぞ」
ザザはギディオンの前に茶を置きながら言った。
「それでな。酒を飲む前話だが、国家薬師のことは覚えているな」
「……はい」
ザザは頷いた。
「言ったように、試験は春ごろにあるんだ。俺は受けてみればいいと思うんだが、考えて見る気はないか?」
「ギディオン様がそうおっしゃるなら」
「そうか! よかった。いや、別に落ちたっていいんだからな、何年も受け続けている人もいると言うし、運試しのつもりで受けたらと思って。ワレン殿もいろいろ教えてくださるだろう」
「はい」
「ではワレン殿に伝えておくよ。さて、では行くとするか。茶をありがとう、美味かった。今日からしばらく王宮に泊まりこむ予定だから、ザザは好きに過ごしていていいお」
「……はい。いってらっしゃいませ」
ザザが見送る中、ギディオンは出て行ってしまった。
しばらくって、どのくらいなんだろう……。
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