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一章 汝等ここに入るもの、一切の望みを捨てよ。
ボッチを卒業するためには、人に歩み寄らなければならない。でも、それができないのがボッチなんだから、無理言わないでよ。いやもうマジで
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誘拐されそうだった栗色髪の少女、ステラと話しをするために近くのベンチに3人は座っていた。
「落ち着いたかな?」
「はい。ありがとう、ございます………」
ステラはアイトに買ってもらったジュースの入ったコップを持ちながら答える。
「それにしても、誘拐って物騒だね」
「そうですね。最近ではそんな話しも聞かなかったですが、他領から流れてきたのでしょうか?」
レベッカとアイトが話してる間も、ステラは顔を下げるだけであった。
「大丈夫?ステラ」
「は、はい。すみません、ご迷惑ばかりかけて………」
「大丈夫だって。私もアイトも気にしてないから」
優しく声をかけても、ステラは黙り状態だ。
「大丈夫ですよ、ステラ様」
「で、ですが………」
「心配しなくともお嬢様は心の優しい方です。仲良くしてあげてください」
アイトの言葉も合わさって、ある程度信用できたのかステラはコクりと頷いた。
「改めて、レベッカさん、ありがとうございます………」
そう言ってステラはレベッカが見とれるほど綺麗なお辞儀をきめた。
「もう、そんなに気にしなくてもいいのに」
「で、ですが、助けてもらったのです。なにかお礼を………」
見たところ、ステラは裕福そうには見えない。そんな人物に少ないといえどもお礼を貰う気にはなれなかった。
「じゃあさ、私と友達になってよ」
「友達、ですか?」
「そう。友達。私、友達できたことなくて………」
友達ができたことがないもなにも、レベッカには友達を作る暇もなく、屋敷では使用人にも虐待されているので、作るに作れなかったのだ。
「友達。友達………」
ステラはジュースを見ながら少し呟く。
「我々は無理強いはしません。ステラ様が断りたいのであれば、断ってもらっても構いません。ですが、僕個人の意見としては、是非ともお嬢様の友人になってくだされば幸いですね」
「アイト、余計なこと言わないでよ………」
レベッカは、これで断られたら遠慮なくアイトのせいにしようと、心に決めながらステラを見た。
「ね?ステラ。私と、友達になってよ」
レベッカはステラに手を差し伸べた。
ステラはその手を見て、少し悩むそぶりを見せると
「えっと、では、不束者ですが、よろしくお願いします………」
そう言って、レベッカの手をとった。
□■
その後、折角できた友人をまた誘拐の危機に見舞わせないため、二人が護衛をしながらステラを家に送り、今は屋敷へ帰っている途中だ。
「それにしても、意外でしたよ」
「なにが?」
「お嬢様にご友人ができたことですよ」
どうやら、アイトてきには助けに行ったことよりも、友人ができたことの方が衝撃らしい。
「ねぇ、もしかしてバカにしてる?」
「まさか。感心してるのですよ」
「やっぱりバカにしてるよね!?」
そんな会話をしながら2人は屋敷の門を開く。
庭を歩き、屋敷に入るためにドアに手をかけようとした瞬間に、
バシャ!
っと、空から水が入ったバケツが落ちてき、レベッカに中の水がかかってしまった。
「お嬢様!」
アイトは慌てながらも的確に対処するため、レベッカの手を引いて屋敷に入る。
そのまま一直線にレベッカの部屋に行くと、
「少し待っていてください」
そう言って飛び出してしまった。
タオルを持ってきてくれることは明白だった。
「やっぱり、最後はこうなんだね」
レベッカは濡れた身体を見ながらそう呟く。
外ではレベッカは楽しかったが、屋敷に戻ればこうなのだ。
レベッカは虐められる存在。虐げられる存在だから。
と、その時部屋の扉が開いた。
アイトが帰ってきたのかな?と思ったが、中に入ってきたのは別の人物だった。
そしてその人物はレベッカもよく知っている人物だった。
レベッカが生まれた時からこの屋敷に住んでいる家族。
「ルルアリア、姉様………」
姉の、存在だった。
「落ち着いたかな?」
「はい。ありがとう、ございます………」
ステラはアイトに買ってもらったジュースの入ったコップを持ちながら答える。
「それにしても、誘拐って物騒だね」
「そうですね。最近ではそんな話しも聞かなかったですが、他領から流れてきたのでしょうか?」
レベッカとアイトが話してる間も、ステラは顔を下げるだけであった。
「大丈夫?ステラ」
「は、はい。すみません、ご迷惑ばかりかけて………」
「大丈夫だって。私もアイトも気にしてないから」
優しく声をかけても、ステラは黙り状態だ。
「大丈夫ですよ、ステラ様」
「で、ですが………」
「心配しなくともお嬢様は心の優しい方です。仲良くしてあげてください」
アイトの言葉も合わさって、ある程度信用できたのかステラはコクりと頷いた。
「改めて、レベッカさん、ありがとうございます………」
そう言ってステラはレベッカが見とれるほど綺麗なお辞儀をきめた。
「もう、そんなに気にしなくてもいいのに」
「で、ですが、助けてもらったのです。なにかお礼を………」
見たところ、ステラは裕福そうには見えない。そんな人物に少ないといえどもお礼を貰う気にはなれなかった。
「じゃあさ、私と友達になってよ」
「友達、ですか?」
「そう。友達。私、友達できたことなくて………」
友達ができたことがないもなにも、レベッカには友達を作る暇もなく、屋敷では使用人にも虐待されているので、作るに作れなかったのだ。
「友達。友達………」
ステラはジュースを見ながら少し呟く。
「我々は無理強いはしません。ステラ様が断りたいのであれば、断ってもらっても構いません。ですが、僕個人の意見としては、是非ともお嬢様の友人になってくだされば幸いですね」
「アイト、余計なこと言わないでよ………」
レベッカは、これで断られたら遠慮なくアイトのせいにしようと、心に決めながらステラを見た。
「ね?ステラ。私と、友達になってよ」
レベッカはステラに手を差し伸べた。
ステラはその手を見て、少し悩むそぶりを見せると
「えっと、では、不束者ですが、よろしくお願いします………」
そう言って、レベッカの手をとった。
□■
その後、折角できた友人をまた誘拐の危機に見舞わせないため、二人が護衛をしながらステラを家に送り、今は屋敷へ帰っている途中だ。
「それにしても、意外でしたよ」
「なにが?」
「お嬢様にご友人ができたことですよ」
どうやら、アイトてきには助けに行ったことよりも、友人ができたことの方が衝撃らしい。
「ねぇ、もしかしてバカにしてる?」
「まさか。感心してるのですよ」
「やっぱりバカにしてるよね!?」
そんな会話をしながら2人は屋敷の門を開く。
庭を歩き、屋敷に入るためにドアに手をかけようとした瞬間に、
バシャ!
っと、空から水が入ったバケツが落ちてき、レベッカに中の水がかかってしまった。
「お嬢様!」
アイトは慌てながらも的確に対処するため、レベッカの手を引いて屋敷に入る。
そのまま一直線にレベッカの部屋に行くと、
「少し待っていてください」
そう言って飛び出してしまった。
タオルを持ってきてくれることは明白だった。
「やっぱり、最後はこうなんだね」
レベッカは濡れた身体を見ながらそう呟く。
外ではレベッカは楽しかったが、屋敷に戻ればこうなのだ。
レベッカは虐められる存在。虐げられる存在だから。
と、その時部屋の扉が開いた。
アイトが帰ってきたのかな?と思ったが、中に入ってきたのは別の人物だった。
そしてその人物はレベッカもよく知っている人物だった。
レベッカが生まれた時からこの屋敷に住んでいる家族。
「ルルアリア、姉様………」
姉の、存在だった。
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