家族に疎まれて、醜穢令嬢として名を馳せましたが、信用出来る執事がいるので大丈夫です

花野拓海

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二章　しかし、概して人々が運命と呼ぶものは、大半が自分の愚行にすぎない。

入ったら難易度エクストラなお店でした

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「美味しかったね。さすがアイトのイチオシのお店」

「そう言ってくれると、紹介したかいがありますよ」

　カフェでの朝食を済ませ、2人は街を少しだけ歩いていた。
　現在はアイトに連れられてブティックに向かっているところだ。

「レベッカ。ここがブティックです」

　街のどこにどんな店があるのか知らないレベッカはアイトについて行き、ブティックに辿り着くことができた。

「わぁ、外見も綺麗なんだね」

　中に入ると、色々な種類の服やアクセサリーが置いている。

「わ、ぁ」

　綺麗な服を見つけたので何の気なしに触り、たまたま視界に入った値札を見て声を中断した。

（高い………）

　一般的な服の値段こそレベッカは知らないが、とりあえず先程食べたサンドイッチと比較してものすごく高いことがわかった。

　レベッカはそっと服を元あった場所に返した。

「試着しなくてよかったのですか？」

　後ろから近づいてきたアイトはそう提案してくる。

「えっと、私には似合わないだろうし、いいよ別に」

「そうですか？似合うと思いますが………」

　そうだとしても、レベッカにその服を着る勇気はなかった。

「私、あっち見てきますね」

　レベッカは逃げるようにアクセサリーが置いている方に向かって行った。

「あんなに高そうなものをアイトに頼めないよ………」

　一銭も持っていないレベッカは兎に角遠慮することしかできない。

　気分転換にアクセサリーを見てみるが、

「ここも、高い」

　レベッカから見て、先程食べたサンドイッチよりも圧倒的に高い値段が表示されていた。

「やっぱり、綺麗なものは高いんだね………」

　部屋に保管されている服の値段は幾らかわからないが、きっと今見ている服と同じくらいの値段だとレベッカは思っている。

　レベッカは目に入ったネックレスを手に取る。

「でも、やっぱり綺麗………」

　レベッカが独立して、お金を持っていたら。これも買うことができたのだろうか。

　そんなことを考えながらネックレスを眺める。

「そのネックレスが気になりますか？」

　と、背後から話しかけられたのでレベッカが振り返ると、店員がたっていた。

「あ、えっと………」

「お目が高いですね。実はこのネックレスですね………」

　店員は丁寧に色々なことを話してくれるが、

（何言ってるのかさっぱり………）

　レベッカには少し難しすぎた。

「それに、そのネックレスなんてお客様にもピッタリだと思いますよ！その綺麗な銀髪にも相性抜群かと思われます！」

　相性抜群。そう言われると、惹かれるものがある。

　でも、レベッカはお金を持っていない。
　どうしようか悩んでいると、

「なにをしてるのですか？レベッカ」

　救世主、アイトがやってきた。

「あ、もしかして彼氏さんですか？」

「いえ、まだ付き合っていないです」

　付き合っていない。確かにそれは事実だが、こうもはっきり言われると、レベッカの儚くか弱い心は少し傷ついた。
　だが、店員は別の解釈をしたようだった。

「そうだったのですね！では、このネックレスなんてどうでしょうか………」

　今度はアイトにセールスを初めてしまった。
　アイトはしばらく店員と話すと、そのネックレスを受け取っていた。

「え！？アイト、買うの？」

　すごく高いのに。そう思いながらの質問だったが、

「はい。レベッカにも似合うと思いまして」

「でも、すごく高いのに………」

　その言葉にアイトは違和感を感じた。
　すごく高い。レベッカはそう言ったが、このネックレスはレベッカが言うほど高くはない。

「ちなみに何と比較してますか？」

「………サンドイッチ」

　アイトはそれだけで全てを理解した。レベッカはサンドイッチを全ての基準に考えてしまっていたのだ。

「ふふっ」

　それを理解して、アイトは笑みを零した。

「ひ、酷い！笑うなんて！」

「ごめんなさい。それに、このネックレスは比較的安い方で、高くはないですよ」

「で、でも………」

　確かにサンドイッチの5倍くらいの値段はするが、

「あれはサンドイッチが安かっただけです。それにお金のことは心配しなくてもいいのですよ。使う機会がなかったので余裕はあります」

　そう言ってアイトはネックレスをレベッカに手渡した。

「だから、遠慮なんてしなくていいんですよ」

「………わかった」

　本当の意味で、レベッカが遠慮なく選ぶことはないと思うが、それでも心は楽になったはずだ。

「服も好きな物選んでいいんですよ。選ばないなら僕が選びます」

「ま、待って。私も自分で選びたい」

　あくまでも、アイトに一任するだけでないことを表明して、レベッカは服の売り場に向かって行った。

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