赤ずきん姫、愛する騎士に守られてお婆様のお見舞いに行く。今夜もまた一人犠牲者に、人狼は誰?

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第8話 そしてすべてが明らかになりました

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私は二つの薬瓶を出した。

「一つは持参した物、一つは今朝、馬車の中に置いてあった物です。本物かどうかは分からないけれど、猟師が置いて行ったのだと思います」

「本物だとしたら城から盗んだ事になる。なぜそれを姫様に?」

ランスロットの疑問はもっともです。

「理由は分かりませんが、とにかく彼は私を助けようとしていたのではないでしょうか?」

「助けようとした?何からですか?」

「私は色々な手段を使って追っ手を巻こうとしました。なのになぜか刺客は私達の居場所を見つけて襲ってくる…この不可思議な状況を全て説明できる簡単な答えがあります」

「それは何ですか?」

少し苛立たし気にランスロットは言いました。

「ねえランスロット様、剣を見せていただけませんか?」

「…構いませんよ」

ランスロットは面食らいながら剣を抜きました。

「珍しい剣ですよね…片側は鋭く、片側は獣の歯のよう…」

「獣の歯は酷いなあ…私の故郷、緑の里を象徴するのこぎりをモチーフにしたのですが」

「ありがとう…これで人を切ったら、まるで獣に食いちぎられたように見えるでしょうね」

「…私が、犯人だと言いたいのですか?」

「違いますよね?…そう言ってくださいランスロット様…」

私は絞り出すような笑顔でランスロットを見ました。

「…もっと早く殺しておくべきでした。失態です、一時の感情に流されてしまうとは…」

ランスロットは冷たい顔で私に剣を向けました。

「なんで…どうしてこんな事を」

「姫様は秘薬が何の薬か知っていますか?」

「…いいえ」

「長く生きた狼は魔力を身に付け、人を喰らう事で人に化けられるようになります。
そして、人に噛みつき病気に感染させるのです」

「病気…」

「人狼病、人間を狼に変える病気です。初期症状の頃なら意識を強く持てば人間に戻る事ができますが、やがて人間の意識は無くなり、身も心も狼になってしまう。こうなったらもう手遅れです。

その人狼病を治せる唯一の薬、それが王家に伝わる秘薬なのです」

その時まで私は知りませんでした、人狼病の事も薬の秘密も…

「ある日、故郷に住む私の妹が狼に嚙まれ、人狼病にかかったという連絡が入りました。
庶民にとって人狼病は不治の病です。妹はもう助からないと諦めかけた時、王妃様が私に囁きました、薬を分けてあげましょう…その代わり条件があります、と、私は従うしかなかった…」

「条件とは…」

「赤ずきん姫様、あなたを殺すことです!」
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