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一章、3
1、123得られた未来
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夜の山は元の静寂を取り戻した。激しい戦闘の後には失った腕を押さえてうめく俺と、動かなくなった影の巨人。
「直樹のバカ! なんでこんなことを!」
子手と繋いだ手が離れ、人の姿になった子手は俺の肩に布を巻いて止血してくれた。
「グッ!」
痛みは引かない。血の流れは止まってもなお、肩が痛む。だが痛みの中で俺は影の巨人を見た。
影の巨人は崩れて中に居た隆志と、隆志を支えている子どもがいた。黒い長い髪に穏やかな瞳で俺を見ている。
「ご、めんなさい……」
子どもが喋った、か細く弱々しい声で。そして俺の方へと歩き隆志を連れてきてくれる。
俺は残された左腕で隆志の肩をゆすった。
「隆志! 無事か?」
「ん、ああ……。なんとか、一体何が……」
隆志は俺の手を見た。そして、叫んだ。
「直樹っ! 直樹の腕が……!」
「いいんだ。とにかく無事でよかった」
「なんで許せるんだ! 漫画が描けなくなったんだぞ! 僕のせいで!」
「誓ったから。隆志を助けるのと、子手と子影に思い出つくってやるって」
その時に子手と子影は目を見合わせた。そして、2人揃って俺を見る。
「ありがとう。きっと直樹の勇気が無かったら、一生争っていた」
「ご、めんなさい……。でも神に戻していただいて感謝をします」
謝罪をした子影を子手は抱き寄せた。
「子影。僕たちからも、ごめんね。手助けしたかったのに、邪魔しちゃって」
「ううん。兄上は正しい、昔からずっと。でなければ彼らは生き残れなかった」
抱き合った2人はしばし沈黙した。それは長い時間喧嘩していたからこそ、必要な時間だったのだろう。
「我々からも感謝を。あなたは神話を描き、神々を元に戻した」
稲荷さんが頭を下げた。
「いえ。俺たちの問題でもあったわけですし。やるしか無かった」
「僕のせいで直樹が。どう謝れば……」
「いいよ。今は嬉しいんだ。隆志たちの様に頑張れない自分を認められず、時間がないからと隠していた。そんな自分が嫌だった」
「直樹……」
「俺さ、やっと自分に価値があったって分かったんだ。漫画を描いてた時も、隆志と競ってた時も、ずっとっ虚しかった。けれど、手が無くなってようやく俺は今までの俺を誇れたんだ」
俺は左腕で目を覆った。だが、地面の濡れだけは隠せなかった。
「直樹のバカ! なんでこんなことを!」
子手と繋いだ手が離れ、人の姿になった子手は俺の肩に布を巻いて止血してくれた。
「グッ!」
痛みは引かない。血の流れは止まってもなお、肩が痛む。だが痛みの中で俺は影の巨人を見た。
影の巨人は崩れて中に居た隆志と、隆志を支えている子どもがいた。黒い長い髪に穏やかな瞳で俺を見ている。
「ご、めんなさい……」
子どもが喋った、か細く弱々しい声で。そして俺の方へと歩き隆志を連れてきてくれる。
俺は残された左腕で隆志の肩をゆすった。
「隆志! 無事か?」
「ん、ああ……。なんとか、一体何が……」
隆志は俺の手を見た。そして、叫んだ。
「直樹っ! 直樹の腕が……!」
「いいんだ。とにかく無事でよかった」
「なんで許せるんだ! 漫画が描けなくなったんだぞ! 僕のせいで!」
「誓ったから。隆志を助けるのと、子手と子影に思い出つくってやるって」
その時に子手と子影は目を見合わせた。そして、2人揃って俺を見る。
「ありがとう。きっと直樹の勇気が無かったら、一生争っていた」
「ご、めんなさい……。でも神に戻していただいて感謝をします」
謝罪をした子影を子手は抱き寄せた。
「子影。僕たちからも、ごめんね。手助けしたかったのに、邪魔しちゃって」
「ううん。兄上は正しい、昔からずっと。でなければ彼らは生き残れなかった」
抱き合った2人はしばし沈黙した。それは長い時間喧嘩していたからこそ、必要な時間だったのだろう。
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稲荷さんが頭を下げた。
「いえ。俺たちの問題でもあったわけですし。やるしか無かった」
「僕のせいで直樹が。どう謝れば……」
「いいよ。今は嬉しいんだ。隆志たちの様に頑張れない自分を認められず、時間がないからと隠していた。そんな自分が嫌だった」
「直樹……」
「俺さ、やっと自分に価値があったって分かったんだ。漫画を描いてた時も、隆志と競ってた時も、ずっとっ虚しかった。けれど、手が無くなってようやく俺は今までの俺を誇れたんだ」
俺は左腕で目を覆った。だが、地面の濡れだけは隠せなかった。
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