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第7夜
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トントントンと野菜をリズム良く刻む包丁の音が響く。
【女性ばかりが狙われている事件だけど、
近頃は10代の―――もっと言うと、女子高生が狙われてるんだ。
ちょうど君くらいの背丈で、君みたいに髪をひとつに結んだ女子高生ばかり。
ねえ、君の周りに危ないヤツはいない?】
セーラー服の上から黒いシンプルなエプロンを身につけ、緋香梨はキッチンに立っていた。
頭の中で、スーパーの帰りに偶然出会って荷物を運ぶのを手伝ってくれた転校生の聖の言葉がさっきからずっとぐるぐる回っている。
食器棚から黎夜用の大きなガラスボウルを取り出して刻んだ野菜を盛り付ける。火にかけた鍋の蓋を開け、おたまでひと回しして、調味料を振って味を整える。黒崎家に引き取られてから料理はずっと緋香梨の担当だった。慣れ親しんだ家事に、上の空でも体は自然と動く。
「わたしの周りの危ないやつって……。黎夜くらいしかいないじゃない。黎夜がそんなことするわけないでしょ」
転校前から黎夜に興味を示し、緋香梨に構うフリして探りを入れ、ついにはあからさまな質問をされて。
さすがの緋香梨も、聖が何を言いたいのかは分かる。
魔人種共存推進機関から派遣されてきた聖は、最近このあたりを騒がせている事件の犯人として黎夜を疑っている。
聖の推測はありえないと、緋香梨は頭の中で否定する。
そもそも、事件が起こった翌日には、ニュースになるよりも早く学校にいる耳の早い友人たちが朝から話題にしている。
事件があったいつの夜も黎夜は家にいて、もっといえば緋香梨のそばにいることがほとんどだ。
「ありえなさすぎる。それに星宮くんが関わってくるなら、黎夜が魔人種ってことになるし。
ずっと一緒にいるのにそんな素振りひとつない」
片手で作業をしながら、緋香梨は無意識に首のチョーカーを指で撫で、笑う。
緋香梨のこと以外に無関心で、無気力で、心配するくらいのんびりで。
肉が嫌いで新鮮な野菜や果物が大好きな黎夜が、凶悪な魔人種だとは思えない。
何度考えたって答えは出ない。
そもそも黎夜に該当する魔人種がいるとも思えない。
この話はもう終わりだと緋香梨は結論づける。
「あ」
「………ただいま、ひーちゃん。……?………どうしたの、変な、顔、してる」
考えに没頭して気づかなかった。
いつの間に帰宅したのか。
ブレザー姿の黎夜が気配もなく後ろに立っていた。
いつのもように腰に手を回され密着されて、初めて気がついた。
「び……っくりした!もう、いつも言ってるよね、調理中はくっつかないでって」
心臓がばくばくと音を立てる。
「うん。でも、危なくないから、くっつく」
「危ないからね?
珍しいのね、今日は委員会長引いたの?いつもより遅いね。
って、あれ?黎夜、パーカーはどうしたの?」
ブレザーの茶色の袖が直に目に飛び込んできて、緋香梨は思わず問いかける。
家にいる時以外、黎夜はフードを被ってパーカー姿でいることを好む。
帰ってきたばかりの黎夜が当然着ているはずのパーカーがないことに気がついて尋ねれば、黎夜が何かを言うように口を開け―――…閉じる。
「黎夜?」
「……汚れだから、捨てた。それだけ。……制服、着替える」
「え」
黎夜の琥珀色の瞳が惑うように揺れ、ふいっと視線を逸らされて。
自主的に緋香梨から離れ、着替えるために2階の自室へと向かう。
「汚れたって……。美化委員の仕事かな」
花壇の植え替えでもして泥がついたのだろうかと考えながら、緋香梨は料理を仕上げてしまおうと調理の続きに取りかかる。
――――この日の夜、緋香梨と黎夜の通う十字高校のクラスの女子が襲われた。
翌日登校してすぐのホームルームで新しく眼鏡を新調した緑川の口から事件があったことを簡単に説明される。被害者は緋香梨の後ろの席のお喋り大好きな二人組だった。教室中がしんと水を打ったように静かになる。二人は放課後一緒に帰るところを襲われたらしく、一人は現在入院して治療中、もう一人は錯乱して話せる状態でなく警察とMCPOが身柄を預かっているらしい。
MCPOという単語に教室がざわめき、緋香梨の隣の席の聖に視線が集まる。
聖は困ったように肩を竦めるだけで、何も口にしない。興奮するクラスメイトたちを緑川が落ち着くよう呼びかけ、再度気をつけるよう言って、次の連絡事項に移る。
事件を身近に感じて怖いなと思っていると、聖から黎夜の目を盗むようにしてメモを渡される。
「……星宮君」
MCPOのローブを羽織らず、みんなと同じようにブレザーを着た聖の青い目は真剣で、その整った容貌を険しくさせている。首からさげた十字架のネックレスをいじりながら、緋香梨の一挙一動を逃さないようにしているのか瞬きもほとんどしない。
聖に圧力をかけるように凝視され、躊躇いながらもメモに目を通した。
『黒崎黎夜のアリバイは完璧かい?
………彼には気をつけたほうがいい。少し調べさせてもらったけど、宝条さん。
君と黒崎君はいとこでもなければ、血のつながりもない赤の他人だ』
大きめの四角い付箋に、クセのある字で走り書きされていた。
「…………」
読み終え、緋香梨はすぐに反対の席を見た。
隣の席の黎夜は、いつものように机に顔を伏せ眠っている。
昨日汚した黒のパーカーではなく、今日は洗い替えの予備のグレーのパーカーを着ている。
緋香梨の心臓が、早鐘を打ち始める。
おかしなことを聖は言っている。
(黎夜を疑うのはいい加減にして欲しい。
何も、おかしいことなんて、なかった。
それだけならまだしも、調べた?いとこじゃない?赤の他人?)
緋香梨は腹の底からムカムカしてきた。
怒りでシャープペンシルを持つ手が震えないように気をつけながら、付箋にメモへの返事を書く。
『星宮君、ちょっとおかしいよ。プライバシー侵害。
黎夜なら昨日もずっと私といました』
メモを聖に押しつけるように渡し、挑むように聖の青い瞳をココア色の瞳で見つめ返す。
「―――ふぅん。じゃ、宝条さんも黒崎君のお仲間かな?」
隣の席の緋香梨にだけ届くギリギリの音量で、聖が意味ありげに呟く。
「仲間?いとこですから。MCPOだとかなんとか。星宮君、ちょっと意味わかんないよ」
最後に冷めた視線を聖に送り、緋香梨は緑川の話を聞くために前を向いた。
「やれやれ」
(みんなの前で聖に変なことを言われないように、黎夜に近づけるはよそう)
わざとらしく溜め息を吐く聖を無視して、自分も聖に関わるのはよそうと緋香梨は決心するのだった。
【女性ばかりが狙われている事件だけど、
近頃は10代の―――もっと言うと、女子高生が狙われてるんだ。
ちょうど君くらいの背丈で、君みたいに髪をひとつに結んだ女子高生ばかり。
ねえ、君の周りに危ないヤツはいない?】
セーラー服の上から黒いシンプルなエプロンを身につけ、緋香梨はキッチンに立っていた。
頭の中で、スーパーの帰りに偶然出会って荷物を運ぶのを手伝ってくれた転校生の聖の言葉がさっきからずっとぐるぐる回っている。
食器棚から黎夜用の大きなガラスボウルを取り出して刻んだ野菜を盛り付ける。火にかけた鍋の蓋を開け、おたまでひと回しして、調味料を振って味を整える。黒崎家に引き取られてから料理はずっと緋香梨の担当だった。慣れ親しんだ家事に、上の空でも体は自然と動く。
「わたしの周りの危ないやつって……。黎夜くらいしかいないじゃない。黎夜がそんなことするわけないでしょ」
転校前から黎夜に興味を示し、緋香梨に構うフリして探りを入れ、ついにはあからさまな質問をされて。
さすがの緋香梨も、聖が何を言いたいのかは分かる。
魔人種共存推進機関から派遣されてきた聖は、最近このあたりを騒がせている事件の犯人として黎夜を疑っている。
聖の推測はありえないと、緋香梨は頭の中で否定する。
そもそも、事件が起こった翌日には、ニュースになるよりも早く学校にいる耳の早い友人たちが朝から話題にしている。
事件があったいつの夜も黎夜は家にいて、もっといえば緋香梨のそばにいることがほとんどだ。
「ありえなさすぎる。それに星宮くんが関わってくるなら、黎夜が魔人種ってことになるし。
ずっと一緒にいるのにそんな素振りひとつない」
片手で作業をしながら、緋香梨は無意識に首のチョーカーを指で撫で、笑う。
緋香梨のこと以外に無関心で、無気力で、心配するくらいのんびりで。
肉が嫌いで新鮮な野菜や果物が大好きな黎夜が、凶悪な魔人種だとは思えない。
何度考えたって答えは出ない。
そもそも黎夜に該当する魔人種がいるとも思えない。
この話はもう終わりだと緋香梨は結論づける。
「あ」
「………ただいま、ひーちゃん。……?………どうしたの、変な、顔、してる」
考えに没頭して気づかなかった。
いつの間に帰宅したのか。
ブレザー姿の黎夜が気配もなく後ろに立っていた。
いつのもように腰に手を回され密着されて、初めて気がついた。
「び……っくりした!もう、いつも言ってるよね、調理中はくっつかないでって」
心臓がばくばくと音を立てる。
「うん。でも、危なくないから、くっつく」
「危ないからね?
珍しいのね、今日は委員会長引いたの?いつもより遅いね。
って、あれ?黎夜、パーカーはどうしたの?」
ブレザーの茶色の袖が直に目に飛び込んできて、緋香梨は思わず問いかける。
家にいる時以外、黎夜はフードを被ってパーカー姿でいることを好む。
帰ってきたばかりの黎夜が当然着ているはずのパーカーがないことに気がついて尋ねれば、黎夜が何かを言うように口を開け―――…閉じる。
「黎夜?」
「……汚れだから、捨てた。それだけ。……制服、着替える」
「え」
黎夜の琥珀色の瞳が惑うように揺れ、ふいっと視線を逸らされて。
自主的に緋香梨から離れ、着替えるために2階の自室へと向かう。
「汚れたって……。美化委員の仕事かな」
花壇の植え替えでもして泥がついたのだろうかと考えながら、緋香梨は料理を仕上げてしまおうと調理の続きに取りかかる。
――――この日の夜、緋香梨と黎夜の通う十字高校のクラスの女子が襲われた。
翌日登校してすぐのホームルームで新しく眼鏡を新調した緑川の口から事件があったことを簡単に説明される。被害者は緋香梨の後ろの席のお喋り大好きな二人組だった。教室中がしんと水を打ったように静かになる。二人は放課後一緒に帰るところを襲われたらしく、一人は現在入院して治療中、もう一人は錯乱して話せる状態でなく警察とMCPOが身柄を預かっているらしい。
MCPOという単語に教室がざわめき、緋香梨の隣の席の聖に視線が集まる。
聖は困ったように肩を竦めるだけで、何も口にしない。興奮するクラスメイトたちを緑川が落ち着くよう呼びかけ、再度気をつけるよう言って、次の連絡事項に移る。
事件を身近に感じて怖いなと思っていると、聖から黎夜の目を盗むようにしてメモを渡される。
「……星宮君」
MCPOのローブを羽織らず、みんなと同じようにブレザーを着た聖の青い目は真剣で、その整った容貌を険しくさせている。首からさげた十字架のネックレスをいじりながら、緋香梨の一挙一動を逃さないようにしているのか瞬きもほとんどしない。
聖に圧力をかけるように凝視され、躊躇いながらもメモに目を通した。
『黒崎黎夜のアリバイは完璧かい?
………彼には気をつけたほうがいい。少し調べさせてもらったけど、宝条さん。
君と黒崎君はいとこでもなければ、血のつながりもない赤の他人だ』
大きめの四角い付箋に、クセのある字で走り書きされていた。
「…………」
読み終え、緋香梨はすぐに反対の席を見た。
隣の席の黎夜は、いつものように机に顔を伏せ眠っている。
昨日汚した黒のパーカーではなく、今日は洗い替えの予備のグレーのパーカーを着ている。
緋香梨の心臓が、早鐘を打ち始める。
おかしなことを聖は言っている。
(黎夜を疑うのはいい加減にして欲しい。
何も、おかしいことなんて、なかった。
それだけならまだしも、調べた?いとこじゃない?赤の他人?)
緋香梨は腹の底からムカムカしてきた。
怒りでシャープペンシルを持つ手が震えないように気をつけながら、付箋にメモへの返事を書く。
『星宮君、ちょっとおかしいよ。プライバシー侵害。
黎夜なら昨日もずっと私といました』
メモを聖に押しつけるように渡し、挑むように聖の青い瞳をココア色の瞳で見つめ返す。
「―――ふぅん。じゃ、宝条さんも黒崎君のお仲間かな?」
隣の席の緋香梨にだけ届くギリギリの音量で、聖が意味ありげに呟く。
「仲間?いとこですから。MCPOだとかなんとか。星宮君、ちょっと意味わかんないよ」
最後に冷めた視線を聖に送り、緋香梨は緑川の話を聞くために前を向いた。
「やれやれ」
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