濁った街

東京

『おう、この道を真っ直ぐ行ってあのチカラめしを左で駅だ。二度と来るなよ。』
『わかってるよ。田舎から東京に連れてこられて溜まったもんじゃねーよ。あばよ。』
そう言って練馬警察署から出て少し行ったコンビニに入って煙草とライターを買った。ちょうど近くに喫煙スペースがあったので煙草を立て続けに3本吸う。
『うめぇ。』
唾を吐き捨て踵のあるブーツで地面を蹴り歩き始める。
中の留置は最悪だった。地元のヤクザがちょうど入っていて生意気だと少し揉め事になって一人部屋で官本も読めなかったからだ。時間が過ぎるのが遅かった。東京からネタを引いていたがネタ元が捕まってガサが入ってネタは無かったが反応のある注射器があったので逮捕、捜査車両で東京まで移送という次第だ。
結果は不起訴だったがなんのこたあねぇ東京で釈放されただけ、新幹線代は出ないみたいだ。財布に9万、口座に140万。遊ばない手はないがネタ、特に新宿辺りは物騒だ。たまにタクシーで買いに行くビルもいいが……まあ時間は15:00、ホテルを探す事にした。

JR中央線に乗り換えて快速で西東京の立川まで向かった。駅周りで適当にライオンズというホテルに入る。
『あの、1週間泊まれる？』
『はいかしこまりました。身分証明書はお持ちで御座いましょうか。』
『あるよ。喫煙ルームで。』財布から免許証を渡す。
『こちらありがとうございます。7階の708のセミダブル7泊8日98000円でよろしいでしょうか。』
『頼むよ。』クレジットカードを渡す。
『はい、決済完了致しました。それでは……』
説明を受けてカードキーを貰い3階のフロントからエレベーターで7階に上がり部屋に入ってコンビニで買ったビールを飲み始めた。