3 / 83
2
しおりを挟む
2
ゲームでは講堂の場所が分からず迷子になって入学式に遅れそうになったローゼに生徒会長であるランドールと副会長で第二王子のロイズが声を掛ける事でローゼと生徒会役員に接点ができるのよ。
つまり、迷子にならない様に早く講堂へ入ってしまえば良いのよ!昨日、寮に荷物を運んだ時に下見もしたから大丈夫!
「と、思ったのに…ここどこ!?」
ローゼは中庭の噴水の前で呟く。
乙ゲーのヒロインは方向音痴が標準装備なの?中庭がたくさんあるのに全部似たような景色なのが悪いのよ。
…このままじゃ講堂へ向かうランドールとロイズに見つかってしまう。入学式は諦めて隠れてた方が良いかも。
そう思ったローゼが隠れる所を探して周りを見回した時、校舎から出てきたランドールと目が合った。
しまった。
「新入生?」
ランドールがにこやかに笑いながらローゼに近付いて来る。ランドールの後ろにはロイズが続く。
うわあ。さすが攻略対象者!ランドールもロイズも画面で見るよりカッコいい!
特にロイズの紫の髪と瞳!王族オーラ凄い!
「はひ」
…王族オーラにやられて噛んだわ。
「早く行かないと入学式遅れるよ。こっち」
ランドールが手招きをする。
「迷ったのか?」
ロイズがローゼを見ながら言う。
「はい」
「校舎も庭も似ているからな」
「はい」
ああ、できるだけ話したくないけど、話し掛けられたら答えない訳にもいかないし。
「…ピンクの髪とは珍しいな」
「はい」
まあ、ヒロインの特徴だから…私も同じ髪色の人ってお母様しか見た事ないし。
「ロイズ殿下の紫の髪の方が珍しいですよ」
少し先を歩くランドールが振り返りながら言う。
「それは比べる物でもないだろ?」
紫の髪と瞳は王族の特徴だ。生まれた時には違う色でも成長するにつれて濃淡はあれど紫になっていく。DNA鑑定などのない世界で、一目で王族と判るのは物語的にも便利な設定なのかも知れないとローゼは思った。
「それもそうですね」
「ランドールの緑も少ないよな」
「そうですね。あまり居ませんね」
このまま二人で喋っててくれると良いのにな。
ローゼはそう思っていたが、ランドールがニコニコと話し掛けて来る。
「新入生さん、名前を聞いても良いかな?」
うわ。来た。
「…ローゼ・エンジェルと申します」
できるだけ、平坦にローゼは言う。
「エンジェル?」
それでもロイズの眉がピクリと反応する。
「……」
「そうか」
何か言われるかと身構えたローゼだが、ロイズはそう言うと、後は何も言わなかった。
「ローゼちゃんか。俺はランドール・リード。生徒会長です。こちらはロイズ・ルーセント第二王子殿下。生徒会の副会長。あ、あそこが講堂だよ。ローゼちゃんは向こうの入口から入ってね。俺たちは裏から入るから」
ランドールが講堂を指差しながら言う。
「はい。ありがとうございました」
ローゼはペコリと頭を下げると、小走りで講堂へと向かった。
-----
「リリー様!私生徒会のサポートメンバーになっちゃいましたぁ」
寮のリリーの部屋へノックもそこそこにローゼが駆け込む。
「まあ、ローゼったら。それじゃノックの意味がないわよ?」
「ああ~申し訳ありません」
「学園だから良いけどね」
リリーはふふっと笑う。
ああ今日もリリー様は世界一かわいい。
生徒会には役員の他に各学年から男女一名づつ指名されたサポートメンバーがおり、舞踏会や卒業パーティーなどの大きな行事の前には手伝いをすることになっている。一年生の女子サポートメンバーにローゼが教師から指名されたのだ。
「一年生のサポートメンバーは先生からの指名ね。どうしてローゼを指名したのかしら?」
「教壇の前の席だったから…ニューマン先生と目が合ったんです」
ローゼは唇を尖らせて言う。イヴァン・ニューマンは生徒会の顧問で攻略対象者の一人だ。イヴァンが担任とわかった時点でローゼはこうなると思っていた。
「ニューマン先生が担任なの?先生はサイオン殿下のご学友で、今でもお二人は仲が良いのよ」
少し頬を染めて嬉しそうにリリーが言う。
ああ、リリー様、サイオン殿下の事本当にお好きなんだなあ。頬を染めるリリー様は超絶かわいいけど、こんなにかわいいリリー様が私のせいで悪役令嬢化するなんて許せない。どうにかサイオン殿下と出会わない方法はないかしら…
ゲームでは講堂の場所が分からず迷子になって入学式に遅れそうになったローゼに生徒会長であるランドールと副会長で第二王子のロイズが声を掛ける事でローゼと生徒会役員に接点ができるのよ。
つまり、迷子にならない様に早く講堂へ入ってしまえば良いのよ!昨日、寮に荷物を運んだ時に下見もしたから大丈夫!
「と、思ったのに…ここどこ!?」
ローゼは中庭の噴水の前で呟く。
乙ゲーのヒロインは方向音痴が標準装備なの?中庭がたくさんあるのに全部似たような景色なのが悪いのよ。
…このままじゃ講堂へ向かうランドールとロイズに見つかってしまう。入学式は諦めて隠れてた方が良いかも。
そう思ったローゼが隠れる所を探して周りを見回した時、校舎から出てきたランドールと目が合った。
しまった。
「新入生?」
ランドールがにこやかに笑いながらローゼに近付いて来る。ランドールの後ろにはロイズが続く。
うわあ。さすが攻略対象者!ランドールもロイズも画面で見るよりカッコいい!
特にロイズの紫の髪と瞳!王族オーラ凄い!
「はひ」
…王族オーラにやられて噛んだわ。
「早く行かないと入学式遅れるよ。こっち」
ランドールが手招きをする。
「迷ったのか?」
ロイズがローゼを見ながら言う。
「はい」
「校舎も庭も似ているからな」
「はい」
ああ、できるだけ話したくないけど、話し掛けられたら答えない訳にもいかないし。
「…ピンクの髪とは珍しいな」
「はい」
まあ、ヒロインの特徴だから…私も同じ髪色の人ってお母様しか見た事ないし。
「ロイズ殿下の紫の髪の方が珍しいですよ」
少し先を歩くランドールが振り返りながら言う。
「それは比べる物でもないだろ?」
紫の髪と瞳は王族の特徴だ。生まれた時には違う色でも成長するにつれて濃淡はあれど紫になっていく。DNA鑑定などのない世界で、一目で王族と判るのは物語的にも便利な設定なのかも知れないとローゼは思った。
「それもそうですね」
「ランドールの緑も少ないよな」
「そうですね。あまり居ませんね」
このまま二人で喋っててくれると良いのにな。
ローゼはそう思っていたが、ランドールがニコニコと話し掛けて来る。
「新入生さん、名前を聞いても良いかな?」
うわ。来た。
「…ローゼ・エンジェルと申します」
できるだけ、平坦にローゼは言う。
「エンジェル?」
それでもロイズの眉がピクリと反応する。
「……」
「そうか」
何か言われるかと身構えたローゼだが、ロイズはそう言うと、後は何も言わなかった。
「ローゼちゃんか。俺はランドール・リード。生徒会長です。こちらはロイズ・ルーセント第二王子殿下。生徒会の副会長。あ、あそこが講堂だよ。ローゼちゃんは向こうの入口から入ってね。俺たちは裏から入るから」
ランドールが講堂を指差しながら言う。
「はい。ありがとうございました」
ローゼはペコリと頭を下げると、小走りで講堂へと向かった。
-----
「リリー様!私生徒会のサポートメンバーになっちゃいましたぁ」
寮のリリーの部屋へノックもそこそこにローゼが駆け込む。
「まあ、ローゼったら。それじゃノックの意味がないわよ?」
「ああ~申し訳ありません」
「学園だから良いけどね」
リリーはふふっと笑う。
ああ今日もリリー様は世界一かわいい。
生徒会には役員の他に各学年から男女一名づつ指名されたサポートメンバーがおり、舞踏会や卒業パーティーなどの大きな行事の前には手伝いをすることになっている。一年生の女子サポートメンバーにローゼが教師から指名されたのだ。
「一年生のサポートメンバーは先生からの指名ね。どうしてローゼを指名したのかしら?」
「教壇の前の席だったから…ニューマン先生と目が合ったんです」
ローゼは唇を尖らせて言う。イヴァン・ニューマンは生徒会の顧問で攻略対象者の一人だ。イヴァンが担任とわかった時点でローゼはこうなると思っていた。
「ニューマン先生が担任なの?先生はサイオン殿下のご学友で、今でもお二人は仲が良いのよ」
少し頬を染めて嬉しそうにリリーが言う。
ああ、リリー様、サイオン殿下の事本当にお好きなんだなあ。頬を染めるリリー様は超絶かわいいけど、こんなにかわいいリリー様が私のせいで悪役令嬢化するなんて許せない。どうにかサイオン殿下と出会わない方法はないかしら…
6
あなたにおすすめの小説
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
王宮に薬を届けに行ったなら
佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。
カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。
この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。
慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。
弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。
「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」
驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。
「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」
※ベリーズカフェにも掲載中です。そちらではラナの設定が変わっています。(貴族→庶民)それにより、内容も少し変更しておりますのであわせてお楽しみください。
【完結】僻地の修道院に入りたいので、断罪の場にしれーっと混ざってみました。
櫻野くるみ
恋愛
王太子による独裁で、貴族が息を潜めながら生きているある日。
夜会で王太子が勝手な言いがかりだけで3人の令嬢達に断罪を始めた。
ひっそりと空気になっていたテレサだったが、ふと気付く。
あれ?これって修道院に入れるチャンスなんじゃ?
子爵令嬢のテレサは、神父をしている初恋の相手の元へ行ける絶好の機会だととっさに考え、しれーっと断罪の列に加わり叫んだ。
「わたくしが代表して修道院へ参ります!」
野次馬から急に現れたテレサに、その場の全員が思った。
この娘、誰!?
王太子による恐怖政治の中、地味に生きてきた子爵令嬢のテレサが、初恋の元伯爵令息に会いたい一心で断罪劇に飛び込むお話。
主人公は猫を被っているだけでお転婆です。
完結しました。
小説家になろう様にも投稿しています。
【完結】モブ令嬢としてひっそり生きたいのに、腹黒公爵に気に入られました
22時完結
恋愛
貴族の家に生まれたものの、特別な才能もなく、家の中でも空気のような存在だったセシリア。
華やかな社交界には興味もないし、政略結婚の道具にされるのも嫌。だからこそ、目立たず、慎ましく生きるのが一番——。
そう思っていたのに、なぜか冷酷無比と名高いディートハルト公爵に目をつけられてしまった!?
「……なぜ私なんですか?」
「君は実に興味深い。そんなふうにおとなしくしていると、余計に手を伸ばしたくなる」
ーーそんなこと言われても困ります!
目立たずモブとして生きたいのに、公爵様はなぜか私を執拗に追いかけてくる。
しかも、いつの間にか甘やかされ、独占欲丸出しで迫られる日々……!?
「君は俺のものだ。他の誰にも渡すつもりはない」
逃げても逃げても追いかけてくる腹黒公爵様から、私は無事にモブ人生を送れるのでしょうか……!?
行き遅れのお節介令嬢、氷の公爵様と結婚したら三人娘の母になりました
鳥柄ささみ
恋愛
お節介焼きで困っている人を放っておけないシアは、数多のご令嬢達から人気の令嬢だ。毎日ファンレターが届き、社交界に出れば令嬢に取り囲まれるほどである。
けれど、それに反比例するように男性からの人気はなく、二十七だというのに嫁の貰い手もないため、毎日母から小言をもらっていた。
そんなある日のこと、突然公爵家から縁談の話が。
シアは公爵家がなぜ自分に縁談など持ち掛けるのかと訝しく思いつつ話を受けると、なんと公爵の後妻として三人の娘の母代わりになれと言われる。
困惑するも、自分へ縁談を持ちかけた理由を聞いて、お節介なシアは嫁ぐこと決めたのだった。
夫になるレオナルドはイケメンなのに無表情で高圧的。三人の娘も二女のアンナを除いて長女のセレナも三女のフィオナもとても反抗的。
そんな中でもお節介パワーを発揮して、前向きに奮闘するシアの物語。
※他投稿サイトにも掲載中
【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない
朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。
ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…
ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。
一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。
そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。
読んでいただけると嬉しいです。
2/26 番外編を投稿しました。
読んでいただけると嬉しいです。
思っていたよりずっとたくさん読んでいただいていてとても嬉しいです。
とてもとてもありがとうございます!!
ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく
犬野きらり
恋愛
リディア・ガルドニ(14)、本日誕生日で転生者として気付きました。私がつい先程までやっていた行動…それは、自分の婚約者に対して重い愛ではなく、ストーカー行為。
「絶対駄目ーー」
と前世の私が気づかせてくれ、そもそも何故こんな男にこだわっていたのかと目が覚めました。
何の物語かも乙女ゲームの中の人になったのかもわかりませんが、私の黒歴史は証拠隠滅、慰謝料ガッポリ、新たな出会い新たな人生に進みます。
募集 婿入り希望者
対象外は、嫡男、後継者、王族
目指せハッピーエンド(?)!!
全23話で完結です。
この作品を気に留めて下さりありがとうございます。感謝を込めて、その後(直後)2話追加しました。25話になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる