ヒロインに転生しましたけど、私、王太子より悪役令嬢が好きなんです。

ねーさん

文字の大きさ
34 / 83

33

しおりを挟む
33

「ローゼ…さん、今日当番?」
 イヴァンが放課後の教室に残っていたローゼと、授業終わりにローゼの所へ来ていたデボラに声を掛ける。
「はい。日誌書くの忘れてて」
「ニューマン先生、他の生徒いないんでローゼの事呼び捨てにしても良いですよ?」
 デボラがニヤニヤしながら言うと、イヴァンは苦笑いで眉を寄せる。
「いや、学園内では呼び捨てにしないってサイオンと約束してるんだ」
「え?」
「王太子殿下と?」
「サイオンは卒業パーティーが終わるまでローゼ、さんに会わないつもりでいるらしい」
「え?」
「『俺が抑えるんだから、お前も辛抱しろ』って言うんだ。本当は『学園内で二人きりになるな』とも言われたんだが『攻略対象者たちに俺が恋人だと見せなきゃいけないから』って却下した。ローゼさんが何かされてはいけないからそこは納得してたけど。かなり渋々ね」
「王太子殿下って意外と…かわいらしい方なんですね」
 デボラが感心したように言う。
「だろ?普段は王太子然としてるのに、たまにこういう処を見せるのが萌えるんだわ」
 萌えるとか、また前世の言葉が出てきたわ。
「コーネリアから教わった言葉」
 イヴァンはローゼに向けてニコッと笑った。

 卒業パーティーが終わるまで会わない、か。
 卒業パーティーが終わればゲームの力も失くなるから、実質もう会わないって事になるのかな。
 リリー様の言われてた「卒業パーティーで婚約破棄してもらう」話ってどうなってるんだろう?
 サイオン殿下もゲームの力さえ失くなれば、リリー様ほど王太子妃に…後の王妃に相応しい方はいないってわかる筈だから、婚約破棄、しないで欲しいな…
 それでもリリー様の望み通り婚約破棄する事になったら、王太子妃には誰がなるんだろう。
 公爵家や侯爵家の令嬢だと、学園に入るまでには婚約が整ってる方がほとんどだし。伯爵家ならまだ…とは言え学園を卒業するとみんな割と早めに結婚しちゃうから、もしかして学園の生徒と婚約とかもあり得るかも。
 もしかして、同じ学年や同じクラスの令嬢かも。
 もしかして、もっと歳下とかもあり得るかも。

「…嫌だな」
 ポツリと声が溢れた。

「ローゼ?」
 イヴァンと話していたデボラがローゼを見る。イヴァンも不思議そうにローゼを見ていた。
「ううん。何でもない」
 ローゼは二人に笑顔を向けた。

-----

「結婚?私の?」
「はい。お兄様の」
 週末にエンジェル男爵家に戻ったローゼは兄クレイグとの夕食の席に着いていた。
「…しないんじゃないかな?」
 クレイグは少し考えた後で言う。
「え?」
「『しない』と決めている訳ではないが…私は結婚はしないんじゃないかと思うよ」
「そっそれはやっぱり父親とか妹とかの悪評のせいですか!?」
 少し焦って言うローゼに、クレイグは笑い掛けた。
「妹の悪評なんか事実無根だし気にもならないが、あの男の事は影響あるかな。家の評判が悪いのはあの男のせいだし。ただ…私はね、ローゼ、『恋』と言う物をした事がないんだ」
「え?」
「誰かを特別に好きだと感じた事がない。家族愛とは別の恋愛感情として。だから自分が気付いていないだけで、実は嗜好が…偏っているのかも知れない不安がある。特にあの男のように偏っていたとしたら…」
「お兄様…」
「ああ、今まで二十七年生きていて、そんな欲望は欠片も感じた事はないんだが…それでも、もし私がに気付いた時に妻子がいたとすると…ぞっとする話だろう?」
「……」
 淡々と言うクレイグにローゼは無言で頷く。
「だから、私は私が本当に好きだと思う相手が現れるまで結婚はしない。無理に結婚してまで残すほどの家ではないし」
「そう…」
「ああ、エンジェル男爵家の評判が悪くても、ローゼに好きな相手ができたらちゃんと結婚させてあげるから」
 クレイグはニコニコと笑う。
「ええ!?でもお兄様、私も恋は…」
「ローゼはサイオン殿下を好きだろ?まあ『恋』かどうかは判らんが」
「え?」
 また私がサイオン殿下を好きなんだろうって言われた…
 よっぽどそう見えるの?
 それも「ゲームの力」で周りもそう思い込まされてるだけなんじゃないの?
「ゲームの力だもん…」
 ローゼは小さな声で呟いた。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

王宮に薬を届けに行ったなら

佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。 カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。 この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。 慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。 弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。 「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」 驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。 「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」 ※ベリーズカフェにも掲載中です。そちらではラナの設定が変わっています。(貴族→庶民)それにより、内容も少し変更しておりますのであわせてお楽しみください。

【完結】僻地の修道院に入りたいので、断罪の場にしれーっと混ざってみました。

櫻野くるみ
恋愛
王太子による独裁で、貴族が息を潜めながら生きているある日。 夜会で王太子が勝手な言いがかりだけで3人の令嬢達に断罪を始めた。 ひっそりと空気になっていたテレサだったが、ふと気付く。 あれ?これって修道院に入れるチャンスなんじゃ? 子爵令嬢のテレサは、神父をしている初恋の相手の元へ行ける絶好の機会だととっさに考え、しれーっと断罪の列に加わり叫んだ。 「わたくしが代表して修道院へ参ります!」 野次馬から急に現れたテレサに、その場の全員が思った。 この娘、誰!? 王太子による恐怖政治の中、地味に生きてきた子爵令嬢のテレサが、初恋の元伯爵令息に会いたい一心で断罪劇に飛び込むお話。 主人公は猫を被っているだけでお転婆です。 完結しました。 小説家になろう様にも投稿しています。

【完結】モブ令嬢としてひっそり生きたいのに、腹黒公爵に気に入られました

22時完結
恋愛
貴族の家に生まれたものの、特別な才能もなく、家の中でも空気のような存在だったセシリア。 華やかな社交界には興味もないし、政略結婚の道具にされるのも嫌。だからこそ、目立たず、慎ましく生きるのが一番——。 そう思っていたのに、なぜか冷酷無比と名高いディートハルト公爵に目をつけられてしまった!? 「……なぜ私なんですか?」 「君は実に興味深い。そんなふうにおとなしくしていると、余計に手を伸ばしたくなる」 ーーそんなこと言われても困ります! 目立たずモブとして生きたいのに、公爵様はなぜか私を執拗に追いかけてくる。 しかも、いつの間にか甘やかされ、独占欲丸出しで迫られる日々……!? 「君は俺のものだ。他の誰にも渡すつもりはない」 逃げても逃げても追いかけてくる腹黒公爵様から、私は無事にモブ人生を送れるのでしょうか……!?

行き遅れのお節介令嬢、氷の公爵様と結婚したら三人娘の母になりました

鳥柄ささみ
恋愛
お節介焼きで困っている人を放っておけないシアは、数多のご令嬢達から人気の令嬢だ。毎日ファンレターが届き、社交界に出れば令嬢に取り囲まれるほどである。 けれど、それに反比例するように男性からの人気はなく、二十七だというのに嫁の貰い手もないため、毎日母から小言をもらっていた。 そんなある日のこと、突然公爵家から縁談の話が。 シアは公爵家がなぜ自分に縁談など持ち掛けるのかと訝しく思いつつ話を受けると、なんと公爵の後妻として三人の娘の母代わりになれと言われる。 困惑するも、自分へ縁談を持ちかけた理由を聞いて、お節介なシアは嫁ぐこと決めたのだった。 夫になるレオナルドはイケメンなのに無表情で高圧的。三人の娘も二女のアンナを除いて長女のセレナも三女のフィオナもとても反抗的。 そんな中でもお節介パワーを発揮して、前向きに奮闘するシアの物語。 ※他投稿サイトにも掲載中

【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない

朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。

ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…

ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。 一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。 そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。 読んでいただけると嬉しいです。 2/26 番外編を投稿しました。 読んでいただけると嬉しいです。 思っていたよりずっとたくさん読んでいただいていてとても嬉しいです。 とてもとてもありがとうございます!!   

ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく

犬野きらり
恋愛
リディア・ガルドニ(14)、本日誕生日で転生者として気付きました。私がつい先程までやっていた行動…それは、自分の婚約者に対して重い愛ではなく、ストーカー行為。 「絶対駄目ーー」 と前世の私が気づかせてくれ、そもそも何故こんな男にこだわっていたのかと目が覚めました。 何の物語かも乙女ゲームの中の人になったのかもわかりませんが、私の黒歴史は証拠隠滅、慰謝料ガッポリ、新たな出会い新たな人生に進みます。 募集 婿入り希望者 対象外は、嫡男、後継者、王族 目指せハッピーエンド(?)!! 全23話で完結です。 この作品を気に留めて下さりありがとうございます。感謝を込めて、その後(直後)2話追加しました。25話になりました。

処理中です...