ヒロインに転生しましたけど、私、王太子より悪役令嬢が好きなんです。

ねーさん

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「生徒会主催の校外学習…」
 ローゼが呟くと、デボラが「そうなの」と頷く。
「マリックが言ってたの。王都の外れにある湖でハイキング?何人かで作った班で湖の畔を歩いて、途中にある要所で通った印をもらいながら終点までの速さを競う。らしいわ」
 遠足とハイキングとオリエンテーリングとスタンプラリーを兼ねたような物なのかな?
「その、途中の印をするのが生徒会の役員たちらしいわ」
「それ…参加は義務なの?」
「うん。生徒会主催でも授業の一環の学校行事になるんだって」
「そうなんだ…」
 チェックポイント毎に攻略対象者が待ってるのか…ちょっと嫌かも。
「学年毎に回るルートが違うらしいけど、班はクラス違っても良いらしいから、一緒の班になろうね」
 前世で…先生や学校が班とかペアとか決めてくれる時は良いけど「仲良い人と組んで」って時、組む人いなくて辛かったの、思い出しちゃった…
 今も、デビィと友達になってなかったら同じ気持ちを味わってたのかも。

 寮のローゼの部屋にデボラとリリーがやって来て、デボラが校外学習の話をすると、リリーが唇を尖らせる。
「私も学年が同じならローゼとデビィと一緒に回れたのにな」
 ああ、拗ねるリリー様もかわいい!
「それにしても、まだ先生からは何も言われていない校外学習の事、そんなに聞いているなんて、デビィとマリック君の仲は順調みたいね」
 リリーが言うと、デボラは何かを思い出したように軽く
「あ、別れました」
 と言った。
「「ええ!?」」
 リリーとローゼの声が重なる。
 デボラはあっけらかんとした様子で言う。
「私の方が好きじゃなくなったので、私の方から別れようって言いました。でもまあ幼なじみで、家も近所で、親も仲が良いんで、そういえばあんまり距離感は変わってませんね。流石に部屋に二人きり、とかにはならなくなりましたけど」
「デビィの方が好きじゃなくなったの?」
 リリーがそう聞くと、デボラは大きく頷く。
「はい。ローゼと知り合った頃にはもう、かわいさ余って憎さ百倍って感じだったんですけど…ローゼを家に連れて帰った時、ローゼに近付くために私を利用されたら嫌だなと思って『別れる』って言いました」
「ああ…」
「マリックも無表情で『わかった』って。別に別れるの嫌だって感じでもなかったし、別れられて嬉しいって感じでもなかったかな…?」
 デボラはその時の事を思い出しながら、顎に手を当てて考えながら言った。

「わ…私のせい?」
 ゲームでは攻略対象者がどんなにヒロインと仲良くなろうとも、卒業パーティーまでに悪役令嬢と別れたりする事はない。卒業パーティーに断罪と婚約破棄などの破局を持って来るための設定だろうが、悪役令嬢が攻略対象者を好きではなくなるような展開は見た事がない。
 そういえば、リリーもサイオンを慕う気持ちが恋愛感情ではない、と気付いたと言った。
 そもそも、ヒロインと悪役令嬢がこうして「友達」になる事自体がイレギュラーなのだ。
 これも、がヒロインに転生してしまった弊害なのかな?じゃなければ、あの湖へ行く事はなかったし、そこでデビィと会う事もなかったし…本当ならヒロインがマリックのルートを選ばない限り、マリックとデビィが別れる事なんてなかったのに。ゲームが終わればマリックとデビィは「喧嘩しながらも仲の良いカップル」に戻れたのに…
「違うわよ。ローゼ」
 デボラはローゼに笑顔を向ける。
「姉弟みたいに育って来たマリックと恋人になったのが今思えば不思議で…むしろそれもゲームの力だったんじゃないかと思うの。だからもしゲームが終わった後でまたマリックと縁があるなら、それは本物だと思えるし。これで私は納得してるわ」
 マリックとデビィが恋人になったのがゲームの力…そういう考え方もあるんだ…
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