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「あ、あそこにイラクサがあるわ。イラクサはハーブとして料理にも使うけど、鼻炎の症状の緩和に使ったりするし、利尿作用、浄血作用もあるのよ」
デボラが指差しながら言う。ローゼが課題の書かれた紙を捲ると地図を持った他の班員も覗き込む。
「イラクサ…イラクサ…」
「あ、あった。これじゃない?」
班員が指差す。ローゼはペンを取り出した。
「ありがとう。じゃあ丸…と」
ローゼの手には観察と、採取のリストがあり、観察の方のイラクサの名の隣にある括弧に丸印を書いた。
「葉に棘があって刺さると痛くて痒くなるのよ」
「さすがムーサフさん、薬屋さんだっけ?詳しいのね」
地図を持つ班員が言うと、デボラは照れたように笑う。
「ハーブとか薬草はね。その代わり普通の観賞用の花とかよく分からないの」
「あらあ。そっちに詳しい方が女子的には良いのにね」
「そうなのよねぇ」
「惜しいわぁ」
他の班員と皆でクスクスと笑い合う。
こういう雰囲気、前世の学校生活でも、味わうの初めてかも。
「もうすぐ第一地点よ」
班長の子が班員に声を掛ける。
程なく木の棒に白い布を掛けたテントのような物が見えて来て、生徒会副会長のルーク・スペンサーと、サポートメンバーの女子生徒が立っていた。
「ローゼ、久しぶりだな」
班長がサポートメンバーから印を貰っている間、少し離れた所にいたローゼとデボラにルークが歩み寄って来る。
「…お久しぶりです」
少し身構えるローゼ。デボラがローゼの手を握ってくれた。
「そう身構えるな。顔が見られて嬉しいよ」
ルークが苦笑いしながら言う。
そこへ次の班がやって来て、ルークは「じゃあまたな。ローゼ」と手を上げてテントの方へ歩いて行った。
「私、露骨に身構えてた?」
ルークに何かされた訳じゃないのに、失礼だったかな?
「そうでもないと思うけど。印、終わったみたい。行こ」
デボラは笑って言うと、ローゼと手を繋いだまま歩き出した。
-----
次のチェックポイントには生徒会副会長で第二王子のロイズ・ルーセントがいて、ローゼを見ると
「無事で良かった。姿は見掛けていたけど、こうして話が出来てようやく安心した」
と言った。
そういえば、コーネリア様からロイズ殿下が心配してくださっていた事聞いてたのに、何の挨拶もしてなくて…ちょっと薄情だったかも。
「ありがとうございます。ご心配お掛けしました」
ローゼが少し笑顔で言うと、ロイズも少し微笑んだ。
三つ目のチェックポイントにはマリック・ドイル。生徒会会計のデボラの幼なじみの元恋人だ。
マリックはデボラといつものように会話を交わし、ローゼの方を向いて
「デビィと友達になったんだってな。良かったら俺とも友達になって…」
と言い掛けて、デボラに
「不純な動機の友達なんてローゼにはいらないの!」
と後ろから軽く蹴りを入れられていた。
湖を見下ろす丘の上で、学園から配られたサンドイッチと、各々水筒に入れて来た紅茶で昼食を摂る。
班員で話し合って、それぞれフレーバーティーを持って来ていて、皆で分け合って飲んだ。
ローゼは名前に因んでバラのフレーバーティーだ。甘い香りで好評だった。他にはオレンジ、アップルの定番の物、レモンとキウイとイチゴのフルーツティー、ラベンダーの香りの紅茶を少しづつ味わう。
デボラがカップに注いでくれた紅茶を一口飲んで…
「苦っ!」
「え!?何これ苦い!」
「にがーい」
「……」
皆一斉に声を上げる。苦すぎて声を出せない子もいた。
「センブリのお茶よ。胃腸に良いの。私いつも飲んでるのよ?」
ケロリとしてデボラが言う。デボラは平気な顔をして飲んでいる。
「センブリって『千回振っても苦い』からセンブリって名前になったんでしょ?」
班員の一人がそう言うと、残りの皆が
「そりゃあ苦いわ!」
と声を揃える。
「美味しいのに」
デボラが不思議そうに言った。
四つ目のチェックポイントにいたのはランドルフ・リード。生徒会長で、舞踏会でローゼを中傷したサフィの婚約者だ。
ランドルフはローゼを見るなり、帽子を取り頭を下げた。
「サフィ・デップマンは知っての通り俺の婚約者だ。サフィが酷い事を言って、悪い噂が流れてしまって本当に済まない」
「いえ、あの。デップマン様からも直接謝罪を受けましたので…こちらこそリード様にまで気を使わせて申し訳ありません」
ローゼも帽子を取って頭を下げる。
「ローゼが謝る事などないじゃないか…噂については耳にしたら訂正するようにしているが…」
「噂はその内消えるでしょうから大丈夫だと思います」
ローゼはできるだけ気にしていないように見えるよう、ランドルフに微笑んで見せた。
「あれか」
「後ろ姿だから顔が見えねえが…ピンクの髪だし、あれだな」
木の影で、二人の男が頷き合った。
「あ、あそこにイラクサがあるわ。イラクサはハーブとして料理にも使うけど、鼻炎の症状の緩和に使ったりするし、利尿作用、浄血作用もあるのよ」
デボラが指差しながら言う。ローゼが課題の書かれた紙を捲ると地図を持った他の班員も覗き込む。
「イラクサ…イラクサ…」
「あ、あった。これじゃない?」
班員が指差す。ローゼはペンを取り出した。
「ありがとう。じゃあ丸…と」
ローゼの手には観察と、採取のリストがあり、観察の方のイラクサの名の隣にある括弧に丸印を書いた。
「葉に棘があって刺さると痛くて痒くなるのよ」
「さすがムーサフさん、薬屋さんだっけ?詳しいのね」
地図を持つ班員が言うと、デボラは照れたように笑う。
「ハーブとか薬草はね。その代わり普通の観賞用の花とかよく分からないの」
「あらあ。そっちに詳しい方が女子的には良いのにね」
「そうなのよねぇ」
「惜しいわぁ」
他の班員と皆でクスクスと笑い合う。
こういう雰囲気、前世の学校生活でも、味わうの初めてかも。
「もうすぐ第一地点よ」
班長の子が班員に声を掛ける。
程なく木の棒に白い布を掛けたテントのような物が見えて来て、生徒会副会長のルーク・スペンサーと、サポートメンバーの女子生徒が立っていた。
「ローゼ、久しぶりだな」
班長がサポートメンバーから印を貰っている間、少し離れた所にいたローゼとデボラにルークが歩み寄って来る。
「…お久しぶりです」
少し身構えるローゼ。デボラがローゼの手を握ってくれた。
「そう身構えるな。顔が見られて嬉しいよ」
ルークが苦笑いしながら言う。
そこへ次の班がやって来て、ルークは「じゃあまたな。ローゼ」と手を上げてテントの方へ歩いて行った。
「私、露骨に身構えてた?」
ルークに何かされた訳じゃないのに、失礼だったかな?
「そうでもないと思うけど。印、終わったみたい。行こ」
デボラは笑って言うと、ローゼと手を繋いだまま歩き出した。
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次のチェックポイントには生徒会副会長で第二王子のロイズ・ルーセントがいて、ローゼを見ると
「無事で良かった。姿は見掛けていたけど、こうして話が出来てようやく安心した」
と言った。
そういえば、コーネリア様からロイズ殿下が心配してくださっていた事聞いてたのに、何の挨拶もしてなくて…ちょっと薄情だったかも。
「ありがとうございます。ご心配お掛けしました」
ローゼが少し笑顔で言うと、ロイズも少し微笑んだ。
三つ目のチェックポイントにはマリック・ドイル。生徒会会計のデボラの幼なじみの元恋人だ。
マリックはデボラといつものように会話を交わし、ローゼの方を向いて
「デビィと友達になったんだってな。良かったら俺とも友達になって…」
と言い掛けて、デボラに
「不純な動機の友達なんてローゼにはいらないの!」
と後ろから軽く蹴りを入れられていた。
湖を見下ろす丘の上で、学園から配られたサンドイッチと、各々水筒に入れて来た紅茶で昼食を摂る。
班員で話し合って、それぞれフレーバーティーを持って来ていて、皆で分け合って飲んだ。
ローゼは名前に因んでバラのフレーバーティーだ。甘い香りで好評だった。他にはオレンジ、アップルの定番の物、レモンとキウイとイチゴのフルーツティー、ラベンダーの香りの紅茶を少しづつ味わう。
デボラがカップに注いでくれた紅茶を一口飲んで…
「苦っ!」
「え!?何これ苦い!」
「にがーい」
「……」
皆一斉に声を上げる。苦すぎて声を出せない子もいた。
「センブリのお茶よ。胃腸に良いの。私いつも飲んでるのよ?」
ケロリとしてデボラが言う。デボラは平気な顔をして飲んでいる。
「センブリって『千回振っても苦い』からセンブリって名前になったんでしょ?」
班員の一人がそう言うと、残りの皆が
「そりゃあ苦いわ!」
と声を揃える。
「美味しいのに」
デボラが不思議そうに言った。
四つ目のチェックポイントにいたのはランドルフ・リード。生徒会長で、舞踏会でローゼを中傷したサフィの婚約者だ。
ランドルフはローゼを見るなり、帽子を取り頭を下げた。
「サフィ・デップマンは知っての通り俺の婚約者だ。サフィが酷い事を言って、悪い噂が流れてしまって本当に済まない」
「いえ、あの。デップマン様からも直接謝罪を受けましたので…こちらこそリード様にまで気を使わせて申し訳ありません」
ローゼも帽子を取って頭を下げる。
「ローゼが謝る事などないじゃないか…噂については耳にしたら訂正するようにしているが…」
「噂はその内消えるでしょうから大丈夫だと思います」
ローゼはできるだけ気にしていないように見えるよう、ランドルフに微笑んで見せた。
「あれか」
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木の影で、二人の男が頷き合った。
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