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マントを纏いフードを被った少年は、立てた人差し指を口元に当て「しー」っと言うと、病室の扉を閉めた。
そして、ゆっくりとフードを取る。
「ロー…あっ!」
デボラは慌てて自分の口を両手で塞ぐ。
「しーっ!」
「大きな声出す処だったわ…」
「小声でね。小声」
フードから出てきたのはピンクの髪の毛。
「本当に男の子みたいに髪短くなっちゃったのね…ローゼ」
ショートカットになったローゼはにっこりと笑った。
誰かが入って来た時のために、フードをまた被ると、ローゼは扉に背を向けるようにデボラのベッドの側の椅子に座る。
「伯爵家でクレイグ様に『ローゼは亡くなった』って言われた時は本当に心臓が止まるかと思ったわよ」
デボラは苦笑いをしながら言う。
「私も目が覚めて、サイオン殿下から『ローゼは死んだ事にする』って言われて…本当どうしようかと思ったわ」
ローゼもため息混じりに言った。
デボラは伯爵家でローゼが亡くなったと聞き、ショックを受けたまま、王城の医療棟へ移され、病室に入ってすぐにクレイグに頭を下げられたのだ。
「済まない。デボラ嬢、ローゼが亡くなったと言うのは嘘なんだ」
「…え?」
涙に濡れた瞳でクレイグを見る。
「本当に…泣かせてしまって済まない」
「どういう事…ですか?ううん。理由は何でも良いんです。本当にローゼは生きてるんですか?」
「ああ。まだ会う事はできないが…本当に、生きているよ」
デボラの目から大粒の涙がボロボロと溢れる。
「良かった…」
はあ~と息を吐く。
良かった。本当に。
「な、泣かないでくれ」
慌てた様子のクレイグ。
クレイグ様くらい大人の方でも女性に目の前で泣かれると慌てるのかあ。でも私じゃあ女性と言うより子供に泣かれてるようなものかもね。
-----
「さっきのお兄様、確かに少し様子がおかしかったわね」
ローゼはフードの中で顎に手を当てて言う。
「でしょ?」
「うーん…何がおかしかったんだろ?」
「何となく不機嫌と言うか…今ローゼはお兄様と会えてないんだっけ?」
「うん。さっきも病室にお兄様がいるのは外から見てわかっても廊下に人がいたから声を掛けられなかったし」
「うん」
「私…ほら、今、サイオン殿下の、所に…いるから、お兄様が頻繁に出入りするのは不自然でしょ?だから私の葬儀の前に一度会っただけなの」
サイオン殿下の所にいる、と口に出すのが余程恥ずかしいのが、ローゼは言いにくそうに言った。
「『私の葬儀』って考えてみたらすごい言葉ね…」
ローゼがしみじみと言って、デボラは頷く。
「確かにすごい言葉だわ」
デボラが伯爵家で眠っている間に葬儀は終わっているから、クレイグがローゼに会えていない期間は一週間くらいか。
「ローゼに会えなくて、淋しくて同級生の私に会いに来られてるのかも知れないと思ってたけど…一週間くらい会えないのは寮に入ってたら普通よね」
「そうね。それに私はその前は公爵家に居たから年に何回かしかお兄様には会ってないし」
「そっか…」
じゃあ何故毎日来られるんだろ?
ローゼの誘拐に巻き込まれて怪我をしたから責任を感じて?
「今夜、お兄様、殿下の所に来られるらしいから、ちょっと聞いてみるわ」
「そうなの?」
「うん。これからの事を相談するって…リリー様やコーネリア様もいらっしゃるんですって」
ローゼはマントの前で両手を合わせる。
「あの、ね、ローゼ」
ローゼを窺うようにデボラが言う。
「ん?」
「詳しく聞けてなかったんだけど、ローゼと…殿下は、そう言う事なのよね?」
デボラが「殿下」の所だけを小声で言うと、ローゼは若干焦って言う。
「そっそう言う事?」
「つまり、恋人、同士に、なった、の、よね?」
途端にローゼの頬が真っ赤に染まる。
「………うん」
真っ赤な頬を両手で押さえ、ぎこちない様子でローゼは頷いた。
マントを纏いフードを被った少年は、立てた人差し指を口元に当て「しー」っと言うと、病室の扉を閉めた。
そして、ゆっくりとフードを取る。
「ロー…あっ!」
デボラは慌てて自分の口を両手で塞ぐ。
「しーっ!」
「大きな声出す処だったわ…」
「小声でね。小声」
フードから出てきたのはピンクの髪の毛。
「本当に男の子みたいに髪短くなっちゃったのね…ローゼ」
ショートカットになったローゼはにっこりと笑った。
誰かが入って来た時のために、フードをまた被ると、ローゼは扉に背を向けるようにデボラのベッドの側の椅子に座る。
「伯爵家でクレイグ様に『ローゼは亡くなった』って言われた時は本当に心臓が止まるかと思ったわよ」
デボラは苦笑いをしながら言う。
「私も目が覚めて、サイオン殿下から『ローゼは死んだ事にする』って言われて…本当どうしようかと思ったわ」
ローゼもため息混じりに言った。
デボラは伯爵家でローゼが亡くなったと聞き、ショックを受けたまま、王城の医療棟へ移され、病室に入ってすぐにクレイグに頭を下げられたのだ。
「済まない。デボラ嬢、ローゼが亡くなったと言うのは嘘なんだ」
「…え?」
涙に濡れた瞳でクレイグを見る。
「本当に…泣かせてしまって済まない」
「どういう事…ですか?ううん。理由は何でも良いんです。本当にローゼは生きてるんですか?」
「ああ。まだ会う事はできないが…本当に、生きているよ」
デボラの目から大粒の涙がボロボロと溢れる。
「良かった…」
はあ~と息を吐く。
良かった。本当に。
「な、泣かないでくれ」
慌てた様子のクレイグ。
クレイグ様くらい大人の方でも女性に目の前で泣かれると慌てるのかあ。でも私じゃあ女性と言うより子供に泣かれてるようなものかもね。
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「さっきのお兄様、確かに少し様子がおかしかったわね」
ローゼはフードの中で顎に手を当てて言う。
「でしょ?」
「うーん…何がおかしかったんだろ?」
「何となく不機嫌と言うか…今ローゼはお兄様と会えてないんだっけ?」
「うん。さっきも病室にお兄様がいるのは外から見てわかっても廊下に人がいたから声を掛けられなかったし」
「うん」
「私…ほら、今、サイオン殿下の、所に…いるから、お兄様が頻繁に出入りするのは不自然でしょ?だから私の葬儀の前に一度会っただけなの」
サイオン殿下の所にいる、と口に出すのが余程恥ずかしいのが、ローゼは言いにくそうに言った。
「『私の葬儀』って考えてみたらすごい言葉ね…」
ローゼがしみじみと言って、デボラは頷く。
「確かにすごい言葉だわ」
デボラが伯爵家で眠っている間に葬儀は終わっているから、クレイグがローゼに会えていない期間は一週間くらいか。
「ローゼに会えなくて、淋しくて同級生の私に会いに来られてるのかも知れないと思ってたけど…一週間くらい会えないのは寮に入ってたら普通よね」
「そうね。それに私はその前は公爵家に居たから年に何回かしかお兄様には会ってないし」
「そっか…」
じゃあ何故毎日来られるんだろ?
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「そうなの?」
「うん。これからの事を相談するって…リリー様やコーネリア様もいらっしゃるんですって」
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「あの、ね、ローゼ」
ローゼを窺うようにデボラが言う。
「ん?」
「詳しく聞けてなかったんだけど、ローゼと…殿下は、そう言う事なのよね?」
デボラが「殿下」の所だけを小声で言うと、ローゼは若干焦って言う。
「そっそう言う事?」
「つまり、恋人、同士に、なった、の、よね?」
途端にローゼの頬が真っ赤に染まる。
「………うん」
真っ赤な頬を両手で押さえ、ぎこちない様子でローゼは頷いた。
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