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「協力するもしないも、リリーの自由だ」
サイオンは真剣な表情で言う。
「私が、この企てを世に明かしたら…とはお考えにならないんですか?」
「もちろん考えている。それでもリリーは協力しないまでも、暴露したりはしないだろう?それは偏にローゼのために」
少し微笑んで言うサイオンに、リリーはぐっと言葉に詰まった後、長く息を吐く。
「はあ…そうですね。クレイグ様の話を聞けばローゼが安心して生活するためには悪くない手立てのような気はします。王太子妃になる事とは別ですけど」
「別、かな?」
「殿下は、王太子妃になるという覚悟がいかほどか、ご存知ないからそんな風に軽く言えるんです」
リリーはサイオンをじろっと睨む。
「…そんなにか?」
「公爵家に生まれ育ち、王太子と婚約して何年も経つ私でも重圧に潰されそうな時があるんですから、ローゼなら尚更です。どうか殿下、結婚に関してだけはローゼの気持ちを蔑ろにしないでください」
リリーの訴えに、サイオンは視線を逸らした。
「簡単な事です。ローゼを口説けば良いのです。サイオン殿下が一人の男性として、ローゼという一人の女性が好きなんだと、立場や身分の保証のためだけでなく、ローゼに妃になって欲しいんだと、そう告げれば良いのです。そう、思っておられるんでしょう?」
サイオンはリリーに視線を戻す。
「ああ。そうだ」
サイオンの瞳に強い光を感じ、リリーは大きく頷いた。
-----
サイオンの考えた計画を聞き終えたクレイグは顎に手を当てて考え込む。
「難しいか?」
「そうですね…私の一存では何とも」
「それはそうだな」
サイオンとクレイグは二人でうーんと考え込む。
その傍らで、それまで黙って計画を聞いていたリリーが徐ろにソファから立ち上がった。
「リリー?」
「あの!サイオン殿下、この計画に協力するに当たり、私の願いと言うか…希望と言うか…」
リリーはもごもごと言いにくそうにしている。
「もちろんリリーの願いはできるだけ叶えてやるが、どうした?急に」
「あの…婚約解消については、ゲームと同じ『卒業パーティーでの婚約破棄』の形で発表して欲しいってお願いしていましたけど…」
「ああ。そのつもりで考えているが…気が変わったか?」
サイオンとしてはもっと穏便に、リリーの立場が悪くならないように婚約解消をしたいのだが、リリー自身が「こっ酷く振って欲しい」と言い、この形を望んだのだ。
「いいえ。気は変わってません。そこではなくて…あの…婚約破棄した後の…」
段々とリリーの頬が赤く染まって来る。
サイオン、クレイグ、イヴァンがそんなリリーを、頭に疑問符を浮かべながら見上げていた。
「婚約破棄の後?」
「あの、ゲームでのリリーは婚約破棄の上、断罪され、公爵家を勘当されるらしいのですが」
本当はその上、投獄され、獄中で亡くなるのだが、ローゼもコーネリアもそこまではリリーに言う事ができなかったのだ。
「リリーを断罪する理由がないから、勘当はされないと思うが…」
サイオンが言うと、リリーは頷く。
「そうですよね?しかし、勘当はされないとしても、王太子に婚約破棄された娘を公爵家は持て余すと思うんです」
「ああ…」
上位貴族で歳周りの合う令息は既に相手が決まっているだろうし、相手が居なくても「王太子に婚約破棄された令嬢」をわざわざ娶りたい者はそう居ないだろう。
リリーが若く美しい公爵令嬢である事を加味しても、次の縁談はあまり条件が良くない相手になるだろうと、本人もサイオンたちも予想しているのだ。
「リリーさえ望むなら、俺が良い相手を探して…」
そうサイオンが言い掛けると、リリーは
「それです!」
と言う。
「それ?」
「はい。あの、……私と、けっ結婚しろ、と、命じてくださいませんか!?」
リリーは意を決して、ぎゅっと目を閉じて言った。
「協力するもしないも、リリーの自由だ」
サイオンは真剣な表情で言う。
「私が、この企てを世に明かしたら…とはお考えにならないんですか?」
「もちろん考えている。それでもリリーは協力しないまでも、暴露したりはしないだろう?それは偏にローゼのために」
少し微笑んで言うサイオンに、リリーはぐっと言葉に詰まった後、長く息を吐く。
「はあ…そうですね。クレイグ様の話を聞けばローゼが安心して生活するためには悪くない手立てのような気はします。王太子妃になる事とは別ですけど」
「別、かな?」
「殿下は、王太子妃になるという覚悟がいかほどか、ご存知ないからそんな風に軽く言えるんです」
リリーはサイオンをじろっと睨む。
「…そんなにか?」
「公爵家に生まれ育ち、王太子と婚約して何年も経つ私でも重圧に潰されそうな時があるんですから、ローゼなら尚更です。どうか殿下、結婚に関してだけはローゼの気持ちを蔑ろにしないでください」
リリーの訴えに、サイオンは視線を逸らした。
「簡単な事です。ローゼを口説けば良いのです。サイオン殿下が一人の男性として、ローゼという一人の女性が好きなんだと、立場や身分の保証のためだけでなく、ローゼに妃になって欲しいんだと、そう告げれば良いのです。そう、思っておられるんでしょう?」
サイオンはリリーに視線を戻す。
「ああ。そうだ」
サイオンの瞳に強い光を感じ、リリーは大きく頷いた。
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サイオンの考えた計画を聞き終えたクレイグは顎に手を当てて考え込む。
「難しいか?」
「そうですね…私の一存では何とも」
「それはそうだな」
サイオンとクレイグは二人でうーんと考え込む。
その傍らで、それまで黙って計画を聞いていたリリーが徐ろにソファから立ち上がった。
「リリー?」
「あの!サイオン殿下、この計画に協力するに当たり、私の願いと言うか…希望と言うか…」
リリーはもごもごと言いにくそうにしている。
「もちろんリリーの願いはできるだけ叶えてやるが、どうした?急に」
「あの…婚約解消については、ゲームと同じ『卒業パーティーでの婚約破棄』の形で発表して欲しいってお願いしていましたけど…」
「ああ。そのつもりで考えているが…気が変わったか?」
サイオンとしてはもっと穏便に、リリーの立場が悪くならないように婚約解消をしたいのだが、リリー自身が「こっ酷く振って欲しい」と言い、この形を望んだのだ。
「いいえ。気は変わってません。そこではなくて…あの…婚約破棄した後の…」
段々とリリーの頬が赤く染まって来る。
サイオン、クレイグ、イヴァンがそんなリリーを、頭に疑問符を浮かべながら見上げていた。
「婚約破棄の後?」
「あの、ゲームでのリリーは婚約破棄の上、断罪され、公爵家を勘当されるらしいのですが」
本当はその上、投獄され、獄中で亡くなるのだが、ローゼもコーネリアもそこまではリリーに言う事ができなかったのだ。
「リリーを断罪する理由がないから、勘当はされないと思うが…」
サイオンが言うと、リリーは頷く。
「そうですよね?しかし、勘当はされないとしても、王太子に婚約破棄された娘を公爵家は持て余すと思うんです」
「ああ…」
上位貴族で歳周りの合う令息は既に相手が決まっているだろうし、相手が居なくても「王太子に婚約破棄された令嬢」をわざわざ娶りたい者はそう居ないだろう。
リリーが若く美しい公爵令嬢である事を加味しても、次の縁談はあまり条件が良くない相手になるだろうと、本人もサイオンたちも予想しているのだ。
「リリーさえ望むなら、俺が良い相手を探して…」
そうサイオンが言い掛けると、リリーは
「それです!」
と言う。
「それ?」
「はい。あの、……私と、けっ結婚しろ、と、命じてくださいませんか!?」
リリーは意を決して、ぎゅっと目を閉じて言った。
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