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エピローグ
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「リア!これからサイオン殿下の所?」
学園の寮の廊下で、ローゼはデボラに声を掛けられる。
「うん。デビィは?お兄様の所へ?」
「そうなの。今日の夜にはリリー様とシドニー様が到着されるんですって。リアと殿下も夜来るんでしょ?」
「もちろん!」
ローゼとデボラは正門の前でそれぞれ迎えの馬車に乗り込む。
二人はこの春で学園の四年生になった。あと半年で卒業だ。
デボラとクレイグは相変わらず「正式なお付き合い」はしていない。それでもデボラが卒業したら、お付き合いを通り越して正式に婚約する約束をしているそうだ。
それは付き合っているのとは違うのかとローゼたちは思うが、本人たちにとっては違うらしい。
「ローゼ。良い話だ」
迎えに出てきたサイオンが馬車から降りるローゼの手を取りながら言う。
「良い話ですか?」
「ああ。教会から許可が降りた」
「婚約の?」
「婚約と婚姻、両方だ」
サイオンは馬車から降りたローゼをぎゅっと抱きしめる。
「次の議会では婚儀の日程を決める事になるだろう」
「……」
「ローゼ?」
サイオンがローゼの顔を覗き込む。ローゼは静かに涙を流していた。
「ローゼ…」
「…ごめんなさい。嬉しくて…」
「ああ。俺も嬉しい」
サイオンはローゼの目尻に口付けた。
ローゼがローゼリアになってからもうすぐ三年。サイオンの恋人として、あらゆる人々からあらゆる事を言われて来た。
学園内でも「お前のような卑しい出自の女が王太子妃になるなんて」「所詮ローゼの身代わりの癖に」と数え切れない程言われた。
巷でも、ローゼリアが成り上がるためにローゼを殺害したのではと噂されたり、ローゼリアの出生についてありもしない話を流されたり、サイオンを廃太子すべしとの一部国民からの声が届いたり、王太子と別れろと一部貴族から脅されたりもしたのだ。
「これからも色々あるだろうが、正式に婚約すれば俺が守ってやれる」
「私は大丈夫です。でも嬉しいです」
「強くてかわいいな、ローゼは」
サイオンはローゼの額に自分の額をこつんと着ける。二人は見つめ合って、微笑み合った。
-----
「ローゼリア様~」
廊下の向こうから声がして、ローゼが目をやるとコーネリアが小さく手を振っていた。
「コーネリア様!お久しぶりです。里帰りですか?」
「私が王宮の侍女を辞めて隣国へ行ってから、なかなか会う機会がなかったものね」
コーネリアは一年前行われた隣国との会談で、隣国の王太子に伴いこの国に来ていた侍従と、互いに一目で恋に落ち、あっと言う間に隣国へと嫁いで行ったのだ。
「旦那様が仕事でこっちに来るって言うから着いて来ちゃった。城で元同僚とかに会えるかな~と思ってたけど、ローゼリア様に会えるなんてラッキーだわ」
ローゼとコーネリアは並んで廊下を歩く。
「コーネリア様が『一目惚れしたから結婚します』と言われた時には本当にビックリしました」
「自分が一番ビックリな展開だったわ」
コーネリアは「実はね」と言うと、ローゼの耳元に顔を寄せた。
「旦那様…前世の夫にそっくりなの」
「え?」
もしかして、転生者?
そう思ってコーネリアを見ると、小さく首を横に振る。
「全然そういうのじゃなくて、向こうは私が初恋の人に似てたから好きになったらしいわ。ちょっとムカつくけど、美女だったって言うからまあ良いかって」
ペロリと舌を出して笑う。
コーネリア様…幸せそうだわ。
「ローゼリア様もいよいよ婚約が本決まりになりそうなんでしょ?良かったわ」
「はい。ありがとうございます」
「あ、そろそろ行かなくちゃ。じゃあローゼリア様、またお手紙書くわね」
「私も!今日は会えて嬉しかったです」
コーネリアは「新婚旅行では隣国にも寄ってね!」と言って手を振って去って行った。
-----
エンジェル男爵家の前に馬車が停まる。
「ローゼ!デビィ!久しぶり」
馬車から降りて来たリリーは、待っていたローゼとデボラに駆け寄って抱き着いた。
「リリー、走るな」
シドニーが慌ててリリーを追い掛ける。
「あらもう安定期ですもの。平気よ」
少し膨らんだお腹を摩りながらシドニーを振り向くリリー。
「リリー様、見ている方が心配な物ですよ」
「そうです。走るのはなしです」
ローゼとデボラがそう言うとリリーは肩を竦めた。
「そうだ。心配だから大人しくしてくれ」
「はあ~い旦那様」
シドニーは後ろからリリーのお腹に手を回す。リリーは微笑んでシドニーの手に自分の手を重ねた。
リリーとシドニーは、リリーが学園を卒業して一年後、サイオンとの婚約解消の許可が出てすぐに結婚し、ブラウン伯爵家でローゼの母アメリアと三人で暮らしている。
待望の第一子を授かり、夫婦はとても幸せそうだ。
夜、リリーとデボラと、いつかのように三人で同じベッドに横たわるローゼは嬉しそうに言った。
「今日はとても嬉しい事がたくさんあったの」
ー了ー
「リア!これからサイオン殿下の所?」
学園の寮の廊下で、ローゼはデボラに声を掛けられる。
「うん。デビィは?お兄様の所へ?」
「そうなの。今日の夜にはリリー様とシドニー様が到着されるんですって。リアと殿下も夜来るんでしょ?」
「もちろん!」
ローゼとデボラは正門の前でそれぞれ迎えの馬車に乗り込む。
二人はこの春で学園の四年生になった。あと半年で卒業だ。
デボラとクレイグは相変わらず「正式なお付き合い」はしていない。それでもデボラが卒業したら、お付き合いを通り越して正式に婚約する約束をしているそうだ。
それは付き合っているのとは違うのかとローゼたちは思うが、本人たちにとっては違うらしい。
「ローゼ。良い話だ」
迎えに出てきたサイオンが馬車から降りるローゼの手を取りながら言う。
「良い話ですか?」
「ああ。教会から許可が降りた」
「婚約の?」
「婚約と婚姻、両方だ」
サイオンは馬車から降りたローゼをぎゅっと抱きしめる。
「次の議会では婚儀の日程を決める事になるだろう」
「……」
「ローゼ?」
サイオンがローゼの顔を覗き込む。ローゼは静かに涙を流していた。
「ローゼ…」
「…ごめんなさい。嬉しくて…」
「ああ。俺も嬉しい」
サイオンはローゼの目尻に口付けた。
ローゼがローゼリアになってからもうすぐ三年。サイオンの恋人として、あらゆる人々からあらゆる事を言われて来た。
学園内でも「お前のような卑しい出自の女が王太子妃になるなんて」「所詮ローゼの身代わりの癖に」と数え切れない程言われた。
巷でも、ローゼリアが成り上がるためにローゼを殺害したのではと噂されたり、ローゼリアの出生についてありもしない話を流されたり、サイオンを廃太子すべしとの一部国民からの声が届いたり、王太子と別れろと一部貴族から脅されたりもしたのだ。
「これからも色々あるだろうが、正式に婚約すれば俺が守ってやれる」
「私は大丈夫です。でも嬉しいです」
「強くてかわいいな、ローゼは」
サイオンはローゼの額に自分の額をこつんと着ける。二人は見つめ合って、微笑み合った。
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「ローゼリア様~」
廊下の向こうから声がして、ローゼが目をやるとコーネリアが小さく手を振っていた。
「コーネリア様!お久しぶりです。里帰りですか?」
「私が王宮の侍女を辞めて隣国へ行ってから、なかなか会う機会がなかったものね」
コーネリアは一年前行われた隣国との会談で、隣国の王太子に伴いこの国に来ていた侍従と、互いに一目で恋に落ち、あっと言う間に隣国へと嫁いで行ったのだ。
「旦那様が仕事でこっちに来るって言うから着いて来ちゃった。城で元同僚とかに会えるかな~と思ってたけど、ローゼリア様に会えるなんてラッキーだわ」
ローゼとコーネリアは並んで廊下を歩く。
「コーネリア様が『一目惚れしたから結婚します』と言われた時には本当にビックリしました」
「自分が一番ビックリな展開だったわ」
コーネリアは「実はね」と言うと、ローゼの耳元に顔を寄せた。
「旦那様…前世の夫にそっくりなの」
「え?」
もしかして、転生者?
そう思ってコーネリアを見ると、小さく首を横に振る。
「全然そういうのじゃなくて、向こうは私が初恋の人に似てたから好きになったらしいわ。ちょっとムカつくけど、美女だったって言うからまあ良いかって」
ペロリと舌を出して笑う。
コーネリア様…幸せそうだわ。
「ローゼリア様もいよいよ婚約が本決まりになりそうなんでしょ?良かったわ」
「はい。ありがとうございます」
「あ、そろそろ行かなくちゃ。じゃあローゼリア様、またお手紙書くわね」
「私も!今日は会えて嬉しかったです」
コーネリアは「新婚旅行では隣国にも寄ってね!」と言って手を振って去って行った。
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エンジェル男爵家の前に馬車が停まる。
「ローゼ!デビィ!久しぶり」
馬車から降りて来たリリーは、待っていたローゼとデボラに駆け寄って抱き着いた。
「リリー、走るな」
シドニーが慌ててリリーを追い掛ける。
「あらもう安定期ですもの。平気よ」
少し膨らんだお腹を摩りながらシドニーを振り向くリリー。
「リリー様、見ている方が心配な物ですよ」
「そうです。走るのはなしです」
ローゼとデボラがそう言うとリリーは肩を竦めた。
「そうだ。心配だから大人しくしてくれ」
「はあ~い旦那様」
シドニーは後ろからリリーのお腹に手を回す。リリーは微笑んでシドニーの手に自分の手を重ねた。
リリーとシドニーは、リリーが学園を卒業して一年後、サイオンとの婚約解消の許可が出てすぐに結婚し、ブラウン伯爵家でローゼの母アメリアと三人で暮らしている。
待望の第一子を授かり、夫婦はとても幸せそうだ。
夜、リリーとデボラと、いつかのように三人で同じベッドに横たわるローゼは嬉しそうに言った。
「今日はとても嬉しい事がたくさんあったの」
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