長身令嬢ですが、王太子妃の選考大会の招待状が届きました。

ねーさん

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「この子の母親は、父をられたと私の母を恨んでいるのよ。だから父が母に贈ったネックレスを盗んだんだわ」
 イザベラはクラリスを指差して言う。
「そんな!私、母と公爵様がお付き合いしてたんて…そんな事知りませんでした」
「嘘よ」
「嘘じゃありません」
 必死で言うクラリス。イザベラは腕を組んで言う。
「あくまで知らないで押し通す気ね?では、貴女の部屋に行って持ち物を検めても良いわよね?」
「…は?」
「盗んでいないなら、平気よね?それとも持ち物を見られたら不味いのかしら?」

「持ち物見られるなんて疚しくなくても嫌に決まってるわ」
 マリアが言う。
「…いえ。良いです。見てください」
 クラリスはイザベラの目を見ながら言う。
「そう。ではそこの貴女、第三者として一緒に来て頂戴」
 イザベラは食堂の隅にいた侍女に言う。
「お嬢様…それは…」
「何よ。侍女の癖に公爵家の者に逆らうの?」
 イザベラが一際大きな声で言い、食堂が静まり返った。

「…立場や家や権力を笠に着た振る舞い、私、嫌いです」
 シャーロットが低く落ち着いた声で言う。

「な…」
 小窓から様子を見ていたユリウスは、大きく目を見開いた。
 何故、あのが、彼女と同じ台詞を言うんだ?

「あ…貴女に嫌われたから何だと言うの!?」
「……」
 静かな瞳でイザベラを見つめるシャーロット。

 ああ、あの時の彼女と同じだ。

「たかが伯爵家の者に嫌われたからと言って、痛くも痒くもないわ。さあ、行くわよ!」
 イザベラは踵を返す。
「ロッテさん…」
 心配そうにシャーロットを見るクラリスに
「大丈夫よ」
 と微笑み掛けると、シャーロットはクラリスの手を握った。
「行きましょう」
 そう言って、クラリスの反対の手をマリアが握る。
「マリアさん」
「クラリス、疾しい事なんてないんだから、顔を上げて」
「はい!」
 三人は手を繋いだまま歩き出した。

-----

「ごめんなさい!!」
「申し訳ありません!」
 クラリスとシャーロットの部屋に入るなり、イザベラと侍女が頭を下げる。
「「「え?」」」
 三人の声が重なった。

 ネックレスを盗まれたと言うのは嘘で、クラリスに疑いを掛けたのも三次選考のためのお芝居だったと、イザベラと侍女が説明すると、クラリスはほっと息を吐いた。
「クラリスさんのお母様と私の父が昔お付き合いをしていたのは本当なの。でも円満にお付き合いは解消して、その後父は母と結婚したの。クラリスさんのお母様とケーリー男爵は恋愛結婚だと聞いているわ」
 ソファに座ったイザベラが申し訳なさそうに言う。
「はい。父と母は恋愛結婚で、今でもとても仲が良いです」
 イザベラの向かい側に座ったクラリスがそう言うと、イザベラは頷いた。
「少しでも本当の事が混じる方が信憑性があるかと思って…本当にごめんなさい」

「イザベラ様、最近隣国の第三王子とご婚約されましたよね?」
 マリアがそう言うと、イザベラは驚いた表情になる。
「ええ。でも発表されてないのに、何故知ってるの?」
「ちらっとルーカス様が話されてて…『ユリウス殿下の元婚約者様のご婚約が決まった』と」
「え?ユリウス殿下の元婚約者?」
 シャーロットが言うと、マリアとイザベラが頷いた。
「そうなの。殿下が立太子された時に私と婚約するって一度は決まったのよ。私とユリウス殿下は幼なじみなの。でもこれも公表されない内に無くなった話なのに、マリアさんよく知ってるわね」
「ちらっとルーカス様が…」
「ルーカス様って、ユリウス殿下の筆頭侍従よね?それならその辺りの事情に詳しくても不思議はないわね」
「お兄様、そんな話ししてたかしら?」
 シャーロットがマリアの方を向いて言うとマリアは苦笑いを浮かべる。
「私がルーカス様の部屋にお茶を持って行った時に話したのかも。ロッテはいなかった時かも知れないわ」
「ああ…」
 マリアはウェイン家の侍女だから、お兄様にお茶を持って行く事もあるわよね。
「でもマリアさん、そのちらっと言われた事、よく覚えてるのね」
 感心した様にイザベラが言うと
「…ええ」
 と、マリアは頬を赤くして俯いた。
 …あれ?マリア、もしかしてお兄様の事…?

 マリアは、騒ぎを起こした人物が婚約が決まったばかりのイザベラだったので、ネックレスの盗難は嘘で、イザベラは選考者側の人なのだと気付いたと話す。

「私どもがその場を去った後のお嬢様方の様子も見ております」
 侍女がそう言って、三次選考の最終日にこの事件は選考であった旨を皆に発表すると説明してくれた。



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