悪役令嬢なのに「赤い糸」が見えるようになりました!

ねーさん

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「ええ!?ブリジット、お兄様の事を好きだったの?」
 夜、マリアンヌの部屋を訪れたブリジットの告白に、マリアンヌは驚きの声を上げた。
「うん」
「お兄様と血の繋がりがないのは知っていたけど…そうだったのね」
 部屋のソファで向かい合うマリアンヌとブリジット。
 ブリジットは口角を上げて言う。
「マリアンヌはロイ殿下を好きなんでしょう?」
「え!?」
 途端にマリアンヌの頬が赤く染まった。
「でしょ?」
「…うん」
 マリアンヌは照れたように笑って頷いて、首の後ろに手を当てる。
「いつ頃から?園芸部で親しくなったからなの?」
「ううん。それより前…ブリジットと仲良くなった頃から」
「え?じゃあ学園に入る前、王宮のお茶会に行っていた頃?」
「うん」
 マリアンヌは手を首の後ろに当てたまま話していた。

「マリアンヌ、そこ、どうかしたの?」
 ブリジットは自分の首の後ろを指差す。
「あ、うん。ちょっと虫に刺されたみたいで、痛痒いの」
 ブリジットは立ち上がって、マリアンヌの側に行くとマリアンヌの頸を覗き込む。
 小さな赤い点のような虫刺されの跡があり、周囲が赤くなっていた。
「赤くなってるわ。草むらとかにも入ったものね。薬もらって来ましょうか?」
「ううん。大丈夫。それよりブリジットは?お兄様をいつから好きなの?」
 ブリジットはそのままマリアンヌの隣に座る。
「いつからか…もうわからないけど、お兄様が学園を卒業する頃にお父様が『そろそろアドルフの縁談も考えないと』って仰って…私、お兄様が結婚するなんて嫌だって思ったの。それで、好きなんだなあって自覚したの。その時はお兄様、お父様へ『イライザとブリジットの縁談が決まってから自分の縁談は考えてくれ』って…」
「そうなんだ」
「そうしていたら姉様の悪行が広まって、嫌な思いもしたけれど、イライザ・フォスターの兄と妹だと縁談も来ないのよね。その点では助かったわ」
 苦笑いしながら少し舌を出すブリジットにマリアンヌもクスクスと笑った。
「ねえブリジット、今夜は一緒に寝ない?もっと話したいわ」
「いいわね!私も話したい」

-----

 朝の食卓に、いつものような配置で皆が座ると、ディアナが笑顔で言う。
「今日は皆でお菓子を作りませんか?」

 五人の令嬢たちがディアナに注目すると、ディアナはニッコリと笑った。
「お菓子?ですか?」
 マリアンヌが言うと、ディアナは頷く。
「ええ。明日はミア様が提案されたピクニックでしょう?自分たちでお菓子を作って行って男性方に振る舞うのはどうかしらと思って」
 ミアが口を開けてディアナを見ている様子を、イライザとナタリアが窺い見ていた。
「楽しそうですね。でも私お菓子を作った事がないのですが…」
 ブリジットが顎に手を当てて言う。
「わ、わざわざ自分たちで作る事はないんじゃないですか?せっかく王宮から料理人も来ているのに」
「あら。私もお菓子を作った事はないけれど、せっかくだから挑戦してみたいわ」
 ミアが少し慌てて言うと、すかさずナタリアがミアの言葉に重ねて言った。
「……」
 ミアがナタリアを軽く睨むように見る。
「ミア様はグレイ殿下にマフィンやクッキーを焼いて差し上げていたでしょう?あれだけ上手なら皆さまに教えてあげられるのではないかしら?」
「それ、は…」
 ディアナの言葉にミアは言葉を詰まらせた。
「まあ!ミア様はお菓子作りがお得意なの?是非教えていただきたいわ!」
 ブリジットが顔の前で両手を合わせて言う。
「……ぅ…」
 ミアは小さな声で唸った。

「私とイライザ様と、他の友人たちとで、以前お菓子を作った事があるのよ。ね?イライザ様」
 ディアナに話を振られ、今まで黙っていたイライザは頷く。
「ええ。マフィンやクッキーもですけど、パウンドケーキやプリンも作って…もちろん初心者向けの簡単な物でしたけど、意外と上手にできて、とても楽しかったですわ」
「そういえば姉様はたまに家でクッキーを焼いてるわ。あれはディアナ様たちとお菓子を作ってから?」
 ブリジットが思い出したように言った。
「そうよ。混ぜて焼くだけの簡単レシピなの」
 ね。とイライザとディアナは顔を見合わせる。
「クッキーってそんなに簡単なの?それならますます作ってみたいわ」
「私も。作ってみたいです」
 ナタリアとマリアンヌがうんうんと頷きながら言った。

「わっ、私のクッキーはそんなに簡単なものじゃないんです。もっと、ほ…本格的で時間も掛かりますし、今回はディアナ様とイライザ様に簡単レシピを教わると良いと思いますわ!それに私はピクニックの主催者として準備がありますので、お菓子作りには参加できません!」
 ミアは立ち上がり、一気に言う。
「そう。それは残念ね。ではミア様には明日私たちの力作を食べていただく事にいたしましょうか」
 ディアナがそう言って笑うと、ナタリアが「そうですね」と言い、ブリジットとマリアンヌも頷いた。



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