40 / 79
39
しおりを挟む
39
「ええ!?ブリジット、お兄様の事を好きだったの?」
夜、マリアンヌの部屋を訪れたブリジットの告白に、マリアンヌは驚きの声を上げた。
「うん」
「お兄様と血の繋がりがないのは知っていたけど…そうだったのね」
部屋のソファで向かい合うマリアンヌとブリジット。
ブリジットは口角を上げて言う。
「マリアンヌはロイ殿下を好きなんでしょう?」
「え!?」
途端にマリアンヌの頬が赤く染まった。
「でしょ?」
「…うん」
マリアンヌは照れたように笑って頷いて、首の後ろに手を当てる。
「いつ頃から?園芸部で親しくなったからなの?」
「ううん。それより前…ブリジットと仲良くなった頃から」
「え?じゃあ学園に入る前、王宮のお茶会に行っていた頃?」
「うん」
マリアンヌは手を首の後ろに当てたまま話していた。
「マリアンヌ、そこ、どうかしたの?」
ブリジットは自分の首の後ろを指差す。
「あ、うん。ちょっと虫に刺されたみたいで、痛痒いの」
ブリジットは立ち上がって、マリアンヌの側に行くとマリアンヌの頸を覗き込む。
小さな赤い点のような虫刺されの跡があり、周囲が赤くなっていた。
「赤くなってるわ。草むらとかにも入ったものね。薬もらって来ましょうか?」
「ううん。大丈夫。それよりブリジットは?お兄様をいつから好きなの?」
ブリジットはそのままマリアンヌの隣に座る。
「いつからか…もうわからないけど、お兄様が学園を卒業する頃にお父様が『そろそろアドルフの縁談も考えないと』って仰って…私、お兄様が結婚するなんて嫌だって思ったの。それで、好きなんだなあって自覚したの。その時はお兄様、お父様へ『イライザとブリジットの縁談が決まってから自分の縁談は考えてくれ』って…」
「そうなんだ」
「そうしていたら姉様の悪行が広まって、嫌な思いもしたけれど、あのイライザ・フォスターの兄と妹だと縁談も来ないのよね。その点では助かったわ」
苦笑いしながら少し舌を出すブリジットにマリアンヌもクスクスと笑った。
「ねえブリジット、今夜は一緒に寝ない?もっと話したいわ」
「いいわね!私も話したい」
-----
朝の食卓に、いつものような配置で皆が座ると、ディアナが笑顔で言う。
「今日は皆でお菓子を作りませんか?」
五人の令嬢たちがディアナに注目すると、ディアナはニッコリと笑った。
「お菓子?ですか?」
マリアンヌが言うと、ディアナは頷く。
「ええ。明日はミア様が提案されたピクニックでしょう?自分たちでお菓子を作って行って男性方に振る舞うのはどうかしらと思って」
ミアが口を開けてディアナを見ている様子を、イライザとナタリアが窺い見ていた。
「楽しそうですね。でも私お菓子を作った事がないのですが…」
ブリジットが顎に手を当てて言う。
「わ、わざわざ自分たちで作る事はないんじゃないですか?せっかく王宮から料理人も来ているのに」
「あら。私もお菓子を作った事はないけれど、せっかくだから挑戦してみたいわ」
ミアが少し慌てて言うと、すかさずナタリアがミアの言葉に重ねて言った。
「……」
ミアがナタリアを軽く睨むように見る。
「ミア様はグレイ殿下にマフィンやクッキーを焼いて差し上げていたでしょう?あれだけ上手なら皆さまに教えてあげられるのではないかしら?」
「それ、は…」
ディアナの言葉にミアは言葉を詰まらせた。
「まあ!ミア様はお菓子作りがお得意なの?是非教えていただきたいわ!」
ブリジットが顔の前で両手を合わせて言う。
「……ぅ…」
ミアは小さな声で唸った。
「私とイライザ様と、他の友人たちとで、以前お菓子を作った事があるのよ。ね?イライザ様」
ディアナに話を振られ、今まで黙っていたイライザは頷く。
「ええ。マフィンやクッキーもですけど、パウンドケーキやプリンも作って…もちろん初心者向けの簡単な物でしたけど、意外と上手にできて、とても楽しかったですわ」
「そういえば姉様はたまに家でクッキーを焼いてるわ。あれはディアナ様たちとお菓子を作ってから?」
ブリジットが思い出したように言った。
「そうよ。混ぜて焼くだけの簡単レシピなの」
ね。とイライザとディアナは顔を見合わせる。
「クッキーってそんなに簡単なの?それならますます作ってみたいわ」
「私も。作ってみたいです」
ナタリアとマリアンヌがうんうんと頷きながら言った。
「わっ、私のクッキーはそんなに簡単なものじゃないんです。もっと、ほ…本格的で時間も掛かりますし、今回はディアナ様とイライザ様に簡単レシピを教わると良いと思いますわ!それに私はピクニックの主催者として準備がありますので、お菓子作りには参加できません!」
ミアは立ち上がり、一気に言う。
「そう。それは残念ね。ではミア様には明日私たちの力作を食べていただく事にいたしましょうか」
ディアナがそう言って笑うと、ナタリアが「そうですね」と言い、ブリジットとマリアンヌも頷いた。
「ええ!?ブリジット、お兄様の事を好きだったの?」
夜、マリアンヌの部屋を訪れたブリジットの告白に、マリアンヌは驚きの声を上げた。
「うん」
「お兄様と血の繋がりがないのは知っていたけど…そうだったのね」
部屋のソファで向かい合うマリアンヌとブリジット。
ブリジットは口角を上げて言う。
「マリアンヌはロイ殿下を好きなんでしょう?」
「え!?」
途端にマリアンヌの頬が赤く染まった。
「でしょ?」
「…うん」
マリアンヌは照れたように笑って頷いて、首の後ろに手を当てる。
「いつ頃から?園芸部で親しくなったからなの?」
「ううん。それより前…ブリジットと仲良くなった頃から」
「え?じゃあ学園に入る前、王宮のお茶会に行っていた頃?」
「うん」
マリアンヌは手を首の後ろに当てたまま話していた。
「マリアンヌ、そこ、どうかしたの?」
ブリジットは自分の首の後ろを指差す。
「あ、うん。ちょっと虫に刺されたみたいで、痛痒いの」
ブリジットは立ち上がって、マリアンヌの側に行くとマリアンヌの頸を覗き込む。
小さな赤い点のような虫刺されの跡があり、周囲が赤くなっていた。
「赤くなってるわ。草むらとかにも入ったものね。薬もらって来ましょうか?」
「ううん。大丈夫。それよりブリジットは?お兄様をいつから好きなの?」
ブリジットはそのままマリアンヌの隣に座る。
「いつからか…もうわからないけど、お兄様が学園を卒業する頃にお父様が『そろそろアドルフの縁談も考えないと』って仰って…私、お兄様が結婚するなんて嫌だって思ったの。それで、好きなんだなあって自覚したの。その時はお兄様、お父様へ『イライザとブリジットの縁談が決まってから自分の縁談は考えてくれ』って…」
「そうなんだ」
「そうしていたら姉様の悪行が広まって、嫌な思いもしたけれど、あのイライザ・フォスターの兄と妹だと縁談も来ないのよね。その点では助かったわ」
苦笑いしながら少し舌を出すブリジットにマリアンヌもクスクスと笑った。
「ねえブリジット、今夜は一緒に寝ない?もっと話したいわ」
「いいわね!私も話したい」
-----
朝の食卓に、いつものような配置で皆が座ると、ディアナが笑顔で言う。
「今日は皆でお菓子を作りませんか?」
五人の令嬢たちがディアナに注目すると、ディアナはニッコリと笑った。
「お菓子?ですか?」
マリアンヌが言うと、ディアナは頷く。
「ええ。明日はミア様が提案されたピクニックでしょう?自分たちでお菓子を作って行って男性方に振る舞うのはどうかしらと思って」
ミアが口を開けてディアナを見ている様子を、イライザとナタリアが窺い見ていた。
「楽しそうですね。でも私お菓子を作った事がないのですが…」
ブリジットが顎に手を当てて言う。
「わ、わざわざ自分たちで作る事はないんじゃないですか?せっかく王宮から料理人も来ているのに」
「あら。私もお菓子を作った事はないけれど、せっかくだから挑戦してみたいわ」
ミアが少し慌てて言うと、すかさずナタリアがミアの言葉に重ねて言った。
「……」
ミアがナタリアを軽く睨むように見る。
「ミア様はグレイ殿下にマフィンやクッキーを焼いて差し上げていたでしょう?あれだけ上手なら皆さまに教えてあげられるのではないかしら?」
「それ、は…」
ディアナの言葉にミアは言葉を詰まらせた。
「まあ!ミア様はお菓子作りがお得意なの?是非教えていただきたいわ!」
ブリジットが顔の前で両手を合わせて言う。
「……ぅ…」
ミアは小さな声で唸った。
「私とイライザ様と、他の友人たちとで、以前お菓子を作った事があるのよ。ね?イライザ様」
ディアナに話を振られ、今まで黙っていたイライザは頷く。
「ええ。マフィンやクッキーもですけど、パウンドケーキやプリンも作って…もちろん初心者向けの簡単な物でしたけど、意外と上手にできて、とても楽しかったですわ」
「そういえば姉様はたまに家でクッキーを焼いてるわ。あれはディアナ様たちとお菓子を作ってから?」
ブリジットが思い出したように言った。
「そうよ。混ぜて焼くだけの簡単レシピなの」
ね。とイライザとディアナは顔を見合わせる。
「クッキーってそんなに簡単なの?それならますます作ってみたいわ」
「私も。作ってみたいです」
ナタリアとマリアンヌがうんうんと頷きながら言った。
「わっ、私のクッキーはそんなに簡単なものじゃないんです。もっと、ほ…本格的で時間も掛かりますし、今回はディアナ様とイライザ様に簡単レシピを教わると良いと思いますわ!それに私はピクニックの主催者として準備がありますので、お菓子作りには参加できません!」
ミアは立ち上がり、一気に言う。
「そう。それは残念ね。ではミア様には明日私たちの力作を食べていただく事にいたしましょうか」
ディアナがそう言って笑うと、ナタリアが「そうですね」と言い、ブリジットとマリアンヌも頷いた。
22
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる