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「イライザ!待って!」
ハッと目を開けると、見慣れたベッドの天蓋が見えた。
…ん?
この感じ、覚えがある。私が初めて目覚めた時もこんな感じだったな。
と言う事は、ここは王都のフォスター侯爵家のイライザの部屋なのね。
あの時は天蓋から降りてるカーテンを開けてアンリが顔を覗かせたっけ。きっとまたアンリが私の声を聞きつけて声を掛けて来る筈だわ。
イライザがぼんやりと考えていると、カーテンの向こうから声がした。
「イライザ」
ドックンッ!
ショックで止まるかと思う程、心臓が跳ねる。
「……」
この声。ありえない。何で!?
イライザは声も出せずにパクパクと口を開け閉めした。
ででで殿下の声。
空耳?似た声色?ううん。私が殿下の声を聞き間違える訳がない。
何で私の部屋に殿下が居るの!?
「イライザ?目が覚めたのか?開けても?」
「ひぃ!」
思わず悲鳴に似た声が出た。
待って。ね…寝起きって…一番見られたくない顔じゃない!?
「お待ちください。流石に起き抜けの姿を異性に晒すのは…」
あ、ブリジットの声だわ!
さすが女子!良くわかってる!
「私が様子を見ますので、少しお待ちください」
そう言うと、カーテンを開けてブリジットが顔を出す。
「ブリジット…」
カーテンが開いた事により見える範囲にはグレイの姿はなく、イライザはホッと息を吐いた。
「姉様、気分はどう?」
心配そうなブリジットの表情に、多分階段から落ちて一週間目が覚めなかった時のブリジットはこんな心配そうな表情はしなかったんだろうな、とイライザは思う。
「…大混乱中よ」
眉を顰めてイライザが言うと、ブリジットは
「思ったより大丈夫そうね」
と少し微笑んだ。
「起きられそう?とりあえずアンリを呼ぶわ」
「うん」
ブリジットが寝室から続く部屋で待機しているアンリを呼びに行く。
イライザは起きあがろうとするが、ものすごく身体が重くて腕に力が入らなかった。
「お嬢様!」
戻って来たブリジットに続いてアンリが手に小さな籠を持ってカーテンの中に入って来る。
「アンリ、久しぶりね」
敢えて明るくイライザが言うと、アンリは瞳を潤ませながら籠をベッドの端に置いた。
「お嬢様ったらもう…」
そう言いながらイライザの背中に手を入れて起き上がらせると、寄りかかれるように背中にクッションを入れていく。
「心配かけてごめんね」
「本当ですよ」
泣き笑いのアンリは座らせたイライザの顔を籠から取り出した濡らした手巾で手早く拭くと、髪を梳いた。
髪を整えられながら、イライザはブリジットへ視線を送る。
ブリジットと目が合うと、小さく手招きして口の横へ手を当てた。内緒話がしたいというジェスチャーだ。
ブリジットがイライザに近付いて、口元へ耳を寄せる。
「…どうして殿下が?」
小声で言うと、ブリジットは首を傾げた。
「『謝りたい』と仰ってたけど…」
「何を?」
「さあ?ただ…姉様が王都に戻ってから毎日来られてるのよ」
毎日?
って、あれから何日経ってるんだろう?
王家の保養地から王都まで馬車で二日かかるから、少なくともそれ以上なんだろうけど。
「毎日って…何日?」
「八日よ」
「…は!?」
思わず声が出て、イライザは慌てて自分の口を両手で押さえた。腕も重くていつもより随分のろのろとした動きではあったが。
「姉様が湖に落ちてから今日で十二日経つの。エドモンド殿下も毎日ではないけれど来られてるわ。でもグレイ殿下は毎日。もちろん朝から晩までって訳ではないけど」
「……」
イライザは口を押さえたままでコクコクと頷く。
そりゃあ朝から晩までベッタリここにおられる訳はないだろうけど、毎日は毎日なのね。
一体何をそんなに謝りたいんだろう…?
支度を整えて、ブリジットがカーテンを出て
「お待たせしました」
と声を掛けた。
ほ、ほんとに殿下がそこにおられるのね…
アンリが天蓋から吊るされたカーテンを開けていく。
ベッドの足元の方の窓の前にグレイが立っていた。
窓からの光で顔が良く見えないけれど、髪が光に反射して紫に光っている。
ブリジットとアンリが出て行き、部屋にはイライザとグレイだけになる。もちろん扉は開けたままだが、二人きりだと認識すると、ドッドッドッとイライザの心臓が鳴った。
「イライザ」
グレイがベッドに近付いて来て、真剣な表情がイライザの眼に映る。
「ベッドの上で、不調法で申し訳ありません」
イライザが頭を下げると、グレイが申し訳なさそうな表情になった。
「目が覚めたばかりなんだ。気にする事はない」
「ありがとうごさいます」
「それに…謝るのは俺の方だ」
そう言うと、グレイはベッドの傍らに跪いた。
「イライザ!待って!」
ハッと目を開けると、見慣れたベッドの天蓋が見えた。
…ん?
この感じ、覚えがある。私が初めて目覚めた時もこんな感じだったな。
と言う事は、ここは王都のフォスター侯爵家のイライザの部屋なのね。
あの時は天蓋から降りてるカーテンを開けてアンリが顔を覗かせたっけ。きっとまたアンリが私の声を聞きつけて声を掛けて来る筈だわ。
イライザがぼんやりと考えていると、カーテンの向こうから声がした。
「イライザ」
ドックンッ!
ショックで止まるかと思う程、心臓が跳ねる。
「……」
この声。ありえない。何で!?
イライザは声も出せずにパクパクと口を開け閉めした。
ででで殿下の声。
空耳?似た声色?ううん。私が殿下の声を聞き間違える訳がない。
何で私の部屋に殿下が居るの!?
「イライザ?目が覚めたのか?開けても?」
「ひぃ!」
思わず悲鳴に似た声が出た。
待って。ね…寝起きって…一番見られたくない顔じゃない!?
「お待ちください。流石に起き抜けの姿を異性に晒すのは…」
あ、ブリジットの声だわ!
さすが女子!良くわかってる!
「私が様子を見ますので、少しお待ちください」
そう言うと、カーテンを開けてブリジットが顔を出す。
「ブリジット…」
カーテンが開いた事により見える範囲にはグレイの姿はなく、イライザはホッと息を吐いた。
「姉様、気分はどう?」
心配そうなブリジットの表情に、多分階段から落ちて一週間目が覚めなかった時のブリジットはこんな心配そうな表情はしなかったんだろうな、とイライザは思う。
「…大混乱中よ」
眉を顰めてイライザが言うと、ブリジットは
「思ったより大丈夫そうね」
と少し微笑んだ。
「起きられそう?とりあえずアンリを呼ぶわ」
「うん」
ブリジットが寝室から続く部屋で待機しているアンリを呼びに行く。
イライザは起きあがろうとするが、ものすごく身体が重くて腕に力が入らなかった。
「お嬢様!」
戻って来たブリジットに続いてアンリが手に小さな籠を持ってカーテンの中に入って来る。
「アンリ、久しぶりね」
敢えて明るくイライザが言うと、アンリは瞳を潤ませながら籠をベッドの端に置いた。
「お嬢様ったらもう…」
そう言いながらイライザの背中に手を入れて起き上がらせると、寄りかかれるように背中にクッションを入れていく。
「心配かけてごめんね」
「本当ですよ」
泣き笑いのアンリは座らせたイライザの顔を籠から取り出した濡らした手巾で手早く拭くと、髪を梳いた。
髪を整えられながら、イライザはブリジットへ視線を送る。
ブリジットと目が合うと、小さく手招きして口の横へ手を当てた。内緒話がしたいというジェスチャーだ。
ブリジットがイライザに近付いて、口元へ耳を寄せる。
「…どうして殿下が?」
小声で言うと、ブリジットは首を傾げた。
「『謝りたい』と仰ってたけど…」
「何を?」
「さあ?ただ…姉様が王都に戻ってから毎日来られてるのよ」
毎日?
って、あれから何日経ってるんだろう?
王家の保養地から王都まで馬車で二日かかるから、少なくともそれ以上なんだろうけど。
「毎日って…何日?」
「八日よ」
「…は!?」
思わず声が出て、イライザは慌てて自分の口を両手で押さえた。腕も重くていつもより随分のろのろとした動きではあったが。
「姉様が湖に落ちてから今日で十二日経つの。エドモンド殿下も毎日ではないけれど来られてるわ。でもグレイ殿下は毎日。もちろん朝から晩までって訳ではないけど」
「……」
イライザは口を押さえたままでコクコクと頷く。
そりゃあ朝から晩までベッタリここにおられる訳はないだろうけど、毎日は毎日なのね。
一体何をそんなに謝りたいんだろう…?
支度を整えて、ブリジットがカーテンを出て
「お待たせしました」
と声を掛けた。
ほ、ほんとに殿下がそこにおられるのね…
アンリが天蓋から吊るされたカーテンを開けていく。
ベッドの足元の方の窓の前にグレイが立っていた。
窓からの光で顔が良く見えないけれど、髪が光に反射して紫に光っている。
ブリジットとアンリが出て行き、部屋にはイライザとグレイだけになる。もちろん扉は開けたままだが、二人きりだと認識すると、ドッドッドッとイライザの心臓が鳴った。
「イライザ」
グレイがベッドに近付いて来て、真剣な表情がイライザの眼に映る。
「ベッドの上で、不調法で申し訳ありません」
イライザが頭を下げると、グレイが申し訳なさそうな表情になった。
「目が覚めたばかりなんだ。気にする事はない」
「ありがとうごさいます」
「それに…謝るのは俺の方だ」
そう言うと、グレイはベッドの傍らに跪いた。
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